ミシシッピー州の大農園の次男ブリックは泥酔したままハードルを跳び、足首を骨折。翌日、邸宅では病院の検査を終えて帰宅する父ビッグ・ダディの誕生会の準備が行われていた。父の莫大な遺産を狙う長男グーパーと妻、その子供たちが賑やかに騒ぐ一方、ブリックと美しい妻マギーの間には冷え冷えとした空気が漂っていた。パーティーが一段落し、ビッグ・ダディは息子の飲酒癖と虚無的な生き方を叱責するが、ブリックは聞く耳を持たない。妻の愛も父親の遺産も受け取ることを拒否するブリックに苛立ったマギーは、ついにブリックの親友スキッパーの名前を出してしまう。
ニューマンが演じるブリックは、絶世の美女エリザベス・テーラー(が演じるマギー)をして、「私を夢中にさせる美貌」と言わせる南部紳士。冒頭から思い詰めた目つきをしていて、美しくセクシーな妻の誘惑を拒むあたりから、何やら訳ありなのは一目瞭然。マッカーシズムが吹き荒れ、同性愛者への偏見が強かった時代にホモセクシュアルと推察されるキャラクターを堂々と演じたニューマンの演者としてのチャレンジ魂とリベラルな人間性にも感動するはず。人間のエゴイズムと愛憎を描き、ピュリッツァー賞にも輝いたテネシー・ウィリアムズの名戯曲が、ニューマンと大女優‟リズ“の競演で見事に映画化され大ヒットとなった。
[1958年製作|108分|アメリカ|原題:Cat on a Hot Tin Roof]
© 1958WBEI
★ポール・ニューマンの代表作!挫折と苦悩を背負いつつ、勝負に人生の全てを賭ける男の魅力と哀しさをにじませる名演が高く評価され、円熟期に差し掛かった60年代初期のニューマンの芸術性を方向付けた
『ハスラー』
第34回 アカデミー賞(1962年) 男優賞:ノミネート
第19回 ゴールデングローブ賞(1962年)最優秀主演男優賞(ドラマ部門):ノミネート
■監督:ロバート・ロッセン
■出演:ジャッキー・グリーソン,ポール・ニューマン,ジョージ・C・スコット
© 1961 Twentieth Century Fox Film Corporation.
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新進気鋭のハスラー、エディは15年間無敗の大物ミネソタ・ファッツに戦いを挑む。最初は押されていたが、調子が上がったエディは宣言通りに1万ドル以上もの大金を 稼ぐ。相棒チャーリーが止めるのも聞かず、一昼夜以上も勝負を続けたエディは結局、ファッツに大敗。チャーリーをホテルに置き去りにし、バス停留所に荷物を預けたエディは、カフェで本を読んでいた女性をナンパ。サラと名乗った彼女は会ったその日はエディを部屋に入れるのを拒むが、数日後に再会した二人は同棲を始める。バーで賭けビリヤードをして小金を稼ぐエディは、地元のギャンブラー、ゴードンと組むことにする。最初の勝負相手はケンタッキーの富豪で、慣れないスリークッションに苦しんだエディは最終的に勝利を収める。稼いだ金で再びファッツに戦いを挑むと勇んだエディだったが、ホテルに戻った彼を衝撃の事件が待っていた。
主人公エディは勝ちに固執して自滅したり、ホテル代を浮かそうと女性をナンパしたり、恋人の財布から金をくすねたりと冷静に見るとダメ男。しかしニューマンが演じると、負け犬ですらかっこいいのだ。サラを演じたパイパー・ローリーが後のインタビューで「彼が美しいから、撮影中に気が散って困った」と語ったのも納得である。ニューマンはエディが数々の障害を乗り越え、人間的に成長するさまを抑制した演技で体現し、アカデミー賞男優賞へのノミネートも果たした。
役者としての円熟期に差し掛かった60年代初期のニューマンの芸術性を方向付けたとも言える作品。1986年にはマーティン・スコセッシ監督、トム・クルーズとの共演による続編「ハスラー2」も製作され大ヒットとなった、まさにポール・ニューマンの鉄壁の名作。
[1961年製作|135分|アメリカ|モノクローム|原題:The Hustler]
© 1961 Twentieth Century Fox Film Corporation.
★実はポール・ニューマンと言えばこの作品!との評価も高い、隠れた名作。体制に屈しない反骨精神と、どんな戦いでも負けを認めない “不屈”の象徴=主人公ルークが本人の姿にも重なり、ニューマンのカリスマ性が光るヒューマン・ドラマ
『暴力脱獄』
第40回 アカデミー賞(1968年) 男優賞:ノミネート
第25回 ゴールデングローブ賞(1968年) 最優秀主演男優賞(ドラマ部門):ノミネート
■監督:スチュアート・ローゼンバーグ
■出演:ポール・ニューマン,ジョージ・ケネディ, J・D・キャノン
© 1958WBEI
泥酔し、器物破損財で懲役刑を受けたルークは、刑務所にぶち込まれる。囚人間のヒエラルキーを無視するルークは囚人ボスの怒りを買い、二人はボクシングで決着をつけることに。大柄なボスのパンチに屈しないルークは、彼と囚人仲間から一目置かれることになる。やがてルークの母親の訃報が届き、彼の脱獄を危惧した刑務所長が彼を懲罰房に入れてしまう。再び脱獄するも、またもや捕らえられてしまうルーク。しかし、懲りずに再び脱獄。ルークは、彼のあだ名“クール・ハンド”とサインした写真が載った雑誌を囚人ボスに送り、仲間たちは彼の自由をうらやむのだった。が、それも束の間、再び捕縛されたルークを待っていたのは、「脱走したら射殺する」との警告と残酷な懲罰。涙ながらに「もう逃げない」と誓うルークに囚人仲間は冷ややかな目を向けるが……。
ポール・ニューマンのカリスマ性が際立つ人間ドラマ。彼が演じたルークは体制に屈することなく、どんな戦いでも負けを認めない、“不屈”の象徴。賭けでゆで卵を50個食べたり、厳しい懲罰中も涼しい顔で笑うルークの無軌道さが印象的だ。ニューマンの笑顔モンタージュとなっているエンディングからもわかるが、血や土、汗にまみれていてもチャーミングという奇跡的存在なのだ。強大な権力に挑み続ける≪永遠の反逆児≫ポール・ニューマンの真骨頂とも言うべき快作。
[1967年製作|127分|アメリカ|原題:Cool Hand Luke]
© 1958WBEI
~黄金期(ゴールデン・エラ)のハリウッドと世界を魅了し、映画史上最も愛された、碧い瞳のチャーミングな反逆児~タフだが繊細/クールでエレガント!ヴィンテージ極まるその生き様を刻み込んだ名演に、この秋、酔いしれる、待望にして至福のスペシャル・プログラム≪テアトル・クラシックス ACT.2 名優ポール・ニューマン特集≫を、劇場にてご堪能ください!
◆テアトル・クラシックス とは・・・
誰もが知る過去の名作や、余り知られることのなかった隠れた傑作を、東京テアトルがセレクションするスペシャル・プログラム。≪往年の映画ファンには再びスクリーンで名作を鑑賞する感動と高い満足を、これまで名作に触れてこなかった若い世代にはクラシック映画の素晴らしさをお届けする≫をコンセプトに、作品ジャンルや監督、俳優など様々なカテゴリーで過去の名作をお届けします。
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