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【投資初心者向け】株価の適正水準を見極める指標、「PBR」でわかること…経済評論家が解説

幻冬舎ゴールドオンライン

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資産が有効活用できていない、あるいは将来の収益に疑念がある、といった話はこれくらいにして、優良企業同士を比較してもPBRは会社ごとに大きく異なる、という話をしましょう。

たとえば塚崎経済研究所という会社がパソコン1台だけの資産で原稿料を稼いでいるとすれば、利益額と比べた1株あたり純資産額は非常に小さくなり、したがってPBRは非常に大きくなるかもしれません。

一方で、たとえば不動産賃貸業は、巨額の費用をかけて不動産を取得して、それを賃貸して利益を稼いでいるわけですから、利益額と比べて保有資産額は大きくなります。その結果、1株あたり純資産は大きく、それに対する株価はそれほど高くならないでしょう。

なお、同じ不動産賃貸企業でも、資産取得費用の大部分を借金で賄っているという場合には、1株あたり自己資本が小さく、PBRが大きくなる場合もあるので、会社の本業の性質のみならず、借金と自己資本の比率などもPBRに大きく影響することになります。

PBRは、大不況時等の「不測の事態」の影響は軽微

PERについては、大不況が来て企業の利益がマイナスになれば計算できなくなってしまいますし、企業の利益が非常に小さなプラスの場合にはPERが異常に大きな数字になったりする場合があります。

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そうした場合には「現在の株価を過去数年間の1株あたり利益の平均と比べる」といった工夫が必要になるわけですね。

しかし、PBRの場合には、そうした問題は軽微です。1株あたり純資産は過去からの出資と内部留保の蓄積なので、今期が赤字になってもそれほど大きな影響は受けないのが普通だからです。

内部留保増は株価の上昇要因

企業が稼いだ利益は、配当されるか、内部留保されます。配当された分は「銀行に預金して金利を受け取るより、株を買って配当をもらうほうが得だ」と考える投資家を増やし、株価を上昇させる要因となります。

配当されずに内部留保された部分は、1株あたり純資産を増加させるので、株価が一定ならばPBRが下がります。それによって、「割安だから買おう」という投資家が増え、株価が上昇する要因となるわけです。

別の考え方をすれば、内部留保された資金は新しい工場の建設等に使われて将来の利益を増やすと期待されますから、「将来のPERが一定で推移するならば株価は上がるはずだ」と期待して株を買う投資家も増えるでしょう。

つまり、企業の利益は配当しても内部留保しても株価を押し上げる要因となるわけです。配当利回りよりも益利回り(PERの逆数)が重要だ、と筆者は考えていますが、その理由が「内部留保は株価の押し上げ要因だから」ということなのです。

PBRが1倍を上回る部分は「見えない資産」の価値

PBRが1倍を超えている企業が多いはずだ、という理由として、企業は見えない資産を持っているから、ということもいえるでしょう。それは、ノウハウや信用や顧客リスト等々、バランスシートには計上されないけれども利益には貢献する多くの物のことです。

持っている不動産や設備機械が同じでも、ノウハウや顧客リストが豊富な会社のほうが利益を稼ぎやすいので、株価は上がります。その分が「見えない資産」の価値だと考えてよいでしょう。

余談ですが、見えない資産を獲得するためのコストが「創業赤字」ですね。創業してからノウハウや信用等を獲得するまでは赤字が続きますが、それは前向きの赤字だ、というわけです。ちなみに、それを払いたくない場合は、「他社を買収するために、PBRが1倍より高い値段で株を買い集める」必要があるわけです。

なお、適正水準の議論は「短期投資」には不向き

以上、PBRが株価の適正水準を判断する材料として有効であること、判断する際には留意事項も多いこと、等を記してきましたが、最後に重要なことは、株価が割安だから買う、割高だから売る、というのは長期投資の際の話なので、注意が必要です。

株価が割安でも、短期的には株価は更に下落する可能性も決して小さくありませんから、短期投資の際には株価の割安割高を重視しすぎないことが重要です。

特に、株価が暴落している時には、「暴落して割安になったから買おう」と考えて買った初心者が、その後も下がり続ける株価を見て恐ろしくなって投げ売りした、といった話を耳にすることも多いので、要注意ですね。

本稿は以上ですが、投資は自己責任でお願いします。なお、本稿は筆者の個人的見解です。また、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「幻冬舎ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「幻冬舎ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

塚崎 公義
経済評論家

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