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「殺意が僕の中で育っていった」父親から理不尽な暴力を受け続け…

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父もコミュニケーションの取り方がわからないのだろう、父も心の傷を負っているようだ。だから、歴史は繰り返される。心の傷は親から子へ、子はまた、その子供へと。何処かで誰かが気が付かなければ永遠に不幸が伝染していく。

昨今、テレビで子供の虐待が世間を騒がしているがニュースを見る度に心が痛む。自分の心の傷に向き合えず自覚のない子供のままの親が躾とうたって子供に依存して暴力を子供に与える。本当に親も子供も不幸な出来事だ。僕等兄弟にとって父は恐怖の対象だった。

その日も不機嫌な父は仕事が終わり家に着く。玄関の鍵穴に鍵をさす。ガチャと鍵を回して玄関を開ける音が家の隅々まで響く。僕等兄弟は背筋がピンと伸びて駆け足で二階へ逃げる。しかし、母は逃げることは許されず、父の機嫌が悪いといつものやり取りが二階まで響く。父の金切り声は一階から二階へと続く階段を通り、僕の鼓膜にまで刺さってくる。

確かに、掃除をしない母にも非はあるがたまらない。毎日、毎日、大魔神の怒りに耐える母の姿は僕の心を締め付けた。しかし、僕は臆病なので心で耳を塞ぎゲームに没頭していた。感情の起伏が激しい父に見えるが、父はあまり笑わなかった。頑なに笑わなかった。少なくとも子供の前ではあまり笑わなかった。笑うとしてもテレビを見ているときくらいだろう。

笑うと父の威厳がなくなると思っているのか? 自分の弱さを見せたくないのか? それとも平等主義で平等に子供を愛するため平等の感情を与えるため、感情を抑え込んでいるのか……わからないが笑わない。戦前、戦後の頃の親父像を演じているようにも見える。きっと、父の父親もうまく子供を愛せなかったのだろう。父が子供とうまくコミュニケーションがとれないのはそこが原因だと思う。誰かが負の連鎖を絶たない限り心の傷は親から子へと繰り返される。

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