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【小説】家族が殺される銃声音。子どもだけが取り残され…

幻冬舎ゴールドライフオンライン

※本記事は、神戸古里氏の小説『ミスタープレジデント』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

第一章  ヨーロッパでの生活

NATO軍駐留から三ヶ月が過ぎようとしたある日、ベンス郊外の閑静な住宅街に戦車部隊が乗り込んで来た。カスター一家は、近くに住む親戚と庭でパーティーを楽しんでいた。そこへ突然、銃を持った兵士が乗り込んで来て、いきなり反体制派の幹部を匿っているだろうと言い放ち、家に上がり込み家中を無茶苦茶にしながら探したが、見つからない。すると突然銃口をお父さんの頭に突き付け、どこに隠したのかと迫るのであった。

その場にいたカスター家の人達は何の事だか全く理解出来ず、特に子供達にとっては、ただ恐ろしいだけであった。双子のボブとケント、いとこのマイケルはまだ7歳、恐怖で立ちすくんでいた。すると兵士の一人が三人を家の中へと連れていき、中にいるようにきつく言いつけた。すると三人は、お父さんお母さんそしておばあちゃん達の姿を心配そうに見つめていた。

兵士の数はどんどん増え、銃を構えたまましつこく幹部の居場所を聞いていた。半時程が過ぎた頃、銃声と共に庭は血の海へと変わった。三人は信じられない形相でただただ立ちすくむだけであった。三人にはその恐ろしい場面が脳裏に焼きつけられた。血の匂いがした兵士が家に押し込んで来て、三人を外へと連れ出した。

「お前達の親はテロリストだが、お前達に罪はない」と傲慢に言い放った。三人はただただ恐ろしく、家族を殺されたのに涙も出ない。だが、ボブの目には兵士のヘルメットの大きな星条旗とCの文字が焼き付き忘れる事は出来なかった。そして、心の底で必ず仇を取ると誓ったのだ。

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三人はNATO軍の施設に保護され、女性保護官がとても親切にしてくれ、少しずつ食事も取れるようになり落着きを取り戻していった。だが、夜になるとあの恐ろしい出来事がよみがえりうなされる日々が続いた。12月25日のクリスマスにアメリカの保護施設へ移る事が決まった。子供とはいえ、三人とも生きていく決心をしており、アメリカへと渡って行った。

アメリカに渡ってからの少年時代

アメリカは三人にとってびっくりする世界であった。今まで見た事もないスポーツや聞いた事のない音楽が溢れている。三人の入る施設にはペアレントと呼ばれるサーマンという男性と、ミルキーと呼ばれる女性がおり、同じ施設で暮らす子供達も他に七人おり、子供同士すぐに打ち解けた。

ペアレントのミルキーはとても穏やかで優しく料理上手だ。子供達ともとても打ち解けている。だがサーマンは最悪だ。いつもウイスキーのボトルを抱え、サラミをくわえていていつも決まってミルキーにとても耳障りな声で、

「おい、奴らにはジャガイモを食わせとけ、裏の畑で沢山採れるからな」

このサーマンという男は最悪で、子供達にはジャガイモばかり食べさせて、国から出ている養育費をピンハネしてウイスキーとサラミばかり買っているのだ。気に入らない事があるとすぐにミルキーを殴り子供達を蹴飛ばす最低の男だ。だが三人は優しいミルキーと気の合う子供達に囲まれ成長していった。それとは裏腹にサーマンの暴力は日に日に増すばかりで子供達をろくに学校へ行かせずに裏の畑でこき使うようになった。

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