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「久しぶりに旅行に行ける!」と思ったら大誤算。田舎でゆっくりしたい彼に、31歳女の不満が募り…

東京カレンダー

男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「結婚願望の強い女が、今の彼氏と結婚したがらない理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:結婚願望の強い31歳の女。だけど今の彼氏と結婚できないのにはワケがあって…



「里帆。今後のことなんだけど…」

交際して約半年の俊明からそう問われ、私は思わず視線をそらす。

「そうだよね、考えないとだよね。でも…」

俊明はバツイチだ。20代の時に結婚していた過去がある。でも子どもはいないので、彼が子どもを欲しがってることは薄々気がついている。

ただバツイチであるかどうかは関係ない。私の親もそんなことは気にしないタイプだと思う。

そもそも、私はとても結婚願望が強いタイプだった。

今年で31歳になるということも大きい。

だから俊明から告白された時、自ら「結婚を前提にしないと交際できない」と言ったほど。

でも交際していくうちに、その結婚願望が薄まってきた。

いや、引き続き誰かと結婚はしたい。でも俊明とは結婚できないと思い始め、他の人を探したほうがいいかもと真剣に思い始めている。


A1:当初は、結婚願望が本当に強かったから。


俊明と出会ったのは、食事会の席だった。友人が開いてくれた2対2の食事会で、正面に座ったのが俊明。

― 端正な顔立ちだなぁ。

そう思った。高身長で少し細身。切れ長の瞳に、綺麗な鼻筋が印象的だった。

2軒目で隣になり、だいぶ話し込んだ私たち。しかも解散後、すぐに俊明のほうから連絡をくれた。

― 俊明:良ければ今度、2人で食事へ行きませんか?

この時婚活をしていた私としては、食い気味で返信をしたことを覚えている。

そして初デート当日。彼は「恵比寿に住んでいる」という私の言葉を覚えてくれており、『蔭山樓 恵比寿店』を予約してくれていた。



「里帆ちゃん、家は恵比寿って言ってたよね?」
「そうです!だから今日、ここにしてくださったんですか?」
「そうそう。近いほうが来やすいかなと思って」

こういう気遣いは、嬉しい。すぐに自分のテリトリーに呼びつける男性もいるが、そういうことをいない俊明は素敵な人だと思った。

「俊明さんって、優しいですね。そういう気遣いができる男性って意外に少ないから、嬉しいな♡」
「そうなの?でも初デートから、男性の家の近くに呼びつけるとか嫌じゃない?」
「それがわかっていない男性もいるんですよ〜」

そんなことを話しながら、お互い笑い合った。初めての2人でのご飯だったけど、とにかく楽しい。

― この人と交際して、結婚したらきっと幸せなんだろうな…。

自然にそう考えていた自分がいた。



だから2軒目へ移動する際に、渋谷橋付近で急に俊明が立ち止まった時、私は少しドキドキしていた。

「里帆ちゃんって、今彼氏いないの?」
「そうなんです。俊明さんもフリーですよね?どれくらい彼女がいないんですか?」
「僕は半年くらいかな。里帆ちゃんは?」
「私も同じくらいです」

すると、急に真面目な顔で私の方を向いた俊明。

「里帆ちゃん。僕と付き合ってほしい」
「え…!!??」

驚いたけど、私の心は天にも昇る気持ちだった。

― ようやくこれで、私にも彼氏ができる!!

そう思ったけれど、すぐに冷静になる。今年で31歳になる私。今は完全に浮かれているけれど、大事なことを確認しないといけない。

「私も俊明さんいいなと思っていたので…嬉しいです。でも交際するなら、一つだけ条件があります」
「条件?」
「はい。私も今年で31歳になるので、結婚を前提としたお付き合いをすること。俊明さんに結婚願望がないならば、申し訳ないですがお付き合いはできません」

私の言葉に、どう出るか…。

バツイチだし結婚願望があるのかどうかも不安だった。でも俊明は、笑顔でこう答えてくれた。

「もちろんだよ。ちゃんと結婚を前提としたお付き合いで、お願いします」

こうして、私たちの“結婚を前提とした”付き合いが始まった。


A2:価値観、生活感の違いを強く感じてしまった。


最初は、俊明といるとただ幸せだった。優しいし、特に悪い点も見当たらない。だからこのまま、結婚に向かって進んでいくのだと信じていた。

でも私の中で、少しずつ拭いきれない違和感が生じ始めた。

例えば久しぶりの旅行で、北海道へ行った時のこと。私は綺麗なリゾートや都会が好きだけれど、俊明はとにかく田舎へ行きたがる。泊まるところも、安くて汚い場所でも平気なようだった(それだけは阻止したけれど…)。

「あ〜やっぱり田舎って最高だわ」
「そう?」

何もない、田舎道。空気も綺麗だし素敵な所だけど、旅行で十分だ。そう思っていると、俊明はこんなことを言い始めた。

「俺さ、将来早く引退して田舎に引っ越したいんだよね。埼玉の奥のほうって田んぼとか畑も多いし。そこで自給自足の田舎暮らししたくて」



― 嘘でしょ?田舎なんて、絶対に嫌なんだけど。

そう思ったけれど、ハッキリとは言いづらい。明らかに嫌そうな顔をしていたとは思うけれど、俊明は気がついていなさそうだ。

「え〜。それ大変そうじゃない?」
「これだから都会っ子は…。里帆もきっと気にいるよ」
「私は東京が好きだから」
「里帆は将来、どこに住みたいの?」
「そりゃ港区か渋谷区、もしくは千代田区か世田谷区あたりだよ」
「そうなんだ。田舎最高だけどな」

― 待って…。もし俊明と結婚したら、私は田舎住まい決定ってこと?

そういう田舎も素晴らしいところだとは思うけれど、私は東京の都心を離れられない。心がザワザワと音を立てる。

そして何より決定的だったのが、俊明の生活ペースだった。



毎週末には俊明の家へ泊まることが定番になっていたけれど、行くたびに私は毎回ゲンナリしていた。

なぜなら、俊明は壊滅的に家事ができない。

毎週家の掃除をしてあげているはずなのに、1週間も経てば元通り。毎回、私が俊明の家のことをするのがルーティン化していた。

「里帆、もうこっち引っ越してきたら?毎回家に帰るの面倒じゃない?」
「うーん。そうしたいけど、会社まで遠くなっちゃうからな」

部屋が汚いのが、本当に無理だった。だからせめて自分が泊まる日は、部屋を綺麗にしておきたかった。

「それにとし君のお部屋の掃除、毎日できないよ(笑)」
「別にやらなくてもいいのに。里帆だって仕事があるんだし、大変でしょ」
「気になっちゃうんだよね」

そして私が信じられなかったのが、俊明の価値観だった。

「そうなんだ。でも里帆は、結婚後も仕事続けるでしょ?」
「うん。続けたいなと思ってるよ」
「そっか。まぁダブルインカムのほうがいいよね。それに女性も仕事を続けていたほうがいいと思うし…。自立って大事だからさ」

結婚しても、仕事は続けてほしい。でも家事も、全部やってほしい。

そんな俊明と結婚して、私は幸せなのだろうか。

仕事で忙しい時に家へ帰り、何にもしない俊明を見たら腹が立つに決まっている。段々と、俊明と一緒に暮らす…いや、その後の子育てなどもワンオペになることが明白で、嫌になってきた。

「そうだね。それに私は性格的に、専業主婦には向かないかな〜」
「里帆は働いているほうがずっと輝いてそうだよね」

せめて生活費やお金を全額出してくれならば我慢できたかもしれないけれど、俊明は意外に財布の紐が堅い。

― 隠れ亭主関白なんだよな…。

結婚前からこんな様子では、先が思いやられる。そう感じ、私は俊明との結婚に二の足を踏んでいる。


▶【Q】はこちら:結婚願望の強い30歳の女。だけど今の彼氏と結婚できないのにはワケがあって…

▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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