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美人だけが招待される謎のLINEグループ。そこで共有される秘密の情報とは…

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美人だけが招待される謎のLINEグループ。そこで共有される秘密の情報とは…

「羨ましい」
「あの人みたいになりたい」
「別世界の人間だな…」

そんなふうに憧れられる側の人間にも、闇がある。

彼らが、どんなものを抱えているか。

あなたは、ご存じですか?

▶前回:「絶対に、誰にも言えない」大企業の社長が、ストレス発散のために夜な夜な大金をつぎ込むのは…



ケース3:ミスコン出身、苦労しらずの美女


知ってる?

美人は生涯で、3億の得をするのよ。

…つまり、美人じゃないあなたたちは3億の損をするの──。


都内の女子大に通っていたころ、教室にいる“凡人”に向かって、私は心の中でそう問いかけていた。

自分が美人だと、これでもかというほどに自覚していた20歳のとき、私は高飛車全盛期だった。


両親はともに、至って普通の“平均的な日本人”という顔立ち。だけど、私は突然変異だったのか、目鼻立ちのくっきりとした美しい顔立ちで生まれてきた。

そして、幼い頃から“可愛い”という言葉を飽きるほど聞かされて育ち、これでもかというほどの恩恵を受けてきた。

その恩恵がピークに達したのは、20代前半だろうか。

美人は生涯3億の得をする。

都市伝説くらいにしか思っていなかったこの言葉が、少しずつ信憑性が帯びてくることを感じていた。

でも、この時の私は理解していなかった。

“ただより高いものはない”という、恐ろしい言葉もあることの意味を──。


子どもの頃から、「可愛いね」「美人だね」と声を掛けられ続けていたけれど、もう、それはほとんど洗脳に近かったと思う。

ことあるごとにそう言われつづければ、嫌でも自分が可愛いのだいう事実を自覚する。

周囲から賞賛のことばをかけられるほどに、私の自尊心はブクブクと膨らんでいった。

けれど、小学校高学年あたりから高校生までは、美人であるという恩恵は大して感じなかった。

もちろんモテはしたけれど、そこにあまり価値を見いだせなかったのだ。

というより、みんなが私を好きになることが当たり前だと思っていたから、モテるということが稀有なことだと知らなかった。

それに、気持ち悪いやつからモテるのは相当に厄介。変に断れば逆上されるし、ストーキングされるリスクもある。周囲にあることないこと噂を立てられることもある。とにかくモテるということが面倒くさかった。

自分が好きだと思った人からだけ好かれるのが、一番いいモテ方。このときからそう思っていた。

けれど、都内の有名女子大に進学してからは、考えが変わった。

必要以上にモテるのは厄介であることに変わりないのだが、とにかく美人であることは、非常に価値あることだと知ったのだ。

大学1年生のころ、学内でスカウトされ、ミスコンに出場しグランプリを受賞した。

『有名女子大ミスコングランプリ』

この肩書は、とんでもなく殺傷能力の高い武器となった。



それ以来、どこからともなく色んな人が私に声を掛けてきた。色んなLINEグループに招待された。

芸能活動をしているわけじゃない、一般人の美人だけのLINEグループ。

女優も含む、出会いを求めている美人だけのLINEグループ。

その他、美人だけが入会を許可されるLINEグループに、数えきれないほど招待された。

そして、色んな世界へのアクセス権を手に入れたのだ。

某アイドルグループ。日本有数の経営者。年俸数億に上るスポーツ選手…。普段決して会うことのできない、ファンなら何十万払ってでもその場にいたいであろう食事会。そんなところに“美人”というだけで呼ばれ、チヤホヤされ、タクシー代5万円まで支給されるのだ。

京都・祇園四条にある有名なお茶屋さんに連れて行ってもらったこともあるし、私を気に入ったおじさまに、プライベートジェットでハワイに連れて行ってもらったこともあった。

受けた恩恵自体をひとつひとつ換算しても、3億円には満たないかもしれない。けれど、自力でこんな経験ができる人間になるためには、きっと3億円以上の稼ぎを要する。

アルバイトで月10万稼ぐのがやっとの女子大生じゃ、とてもじゃないけれど経験できない。そんなことが、私の日常と化していった。

入学当初はカフェでアルバイトをしていたが、すぐにやめた。

夜な夜な誘われるがままに街に繰り出しては、美味しい思いをして、数万円もらって帰る。

そんなふうに楽しく過ごしているだけで、月収が50万を超える月もあった。



一生懸命に居酒屋でアルバイトして、1時間1,000円ほどの時給をもらって満足してる同級生たちを、心の底から見下していた。

私は特権階級。私は選ばれし人間なのよ、と。

そして、とある飲み会で知り合った大企業の社長と懇意になり、私は大した就職活動もしないまま、大手企業の総合職として内定をもらったのだ。


就職するか否かは、相当に悩んだ。

楽しい思いをしてお金をもらうか、つまらない仕事をしてお金をもらうか。どう考えたって前者がいいに決まっている。

けれど、華やかな世界でいつまでも恩恵を受け続けることなんてできない。いつか痛い目を見る…いや、取り返しのつかない事態になることだけは避けたい。

プロの港区女子と化していく人間を横目に、私は就職するという堅実な選択肢を取ったのだった。

この時の私は、自分のとった選択を心から誇らしく思っていた。

私は美しいだけじゃなく、賢いのだ、と…。



総合職として就職したが、配属されたのは営業管理という部署で、割と楽だった。自分たちで営業するわけじゃない。上から降ってきた仕事をこなすだけのルーティンワーク。

― あ、仕事ってこんな感じなんだ。案外楽勝じゃん。

そんなふうに思いながら、仕事は終わっていなくても定時で切り上げ、夜は毎晩飲みに繰り出した。

新入社員当時から、バルコニーがある10畳ほどの南麻布の新築マンションに住んでいた。東京タワービューで、家賃は29万円。欲しいブランド物は躊躇なく購入。そんな暮らしを続けた。

そして、28歳のとき私を気に入ってくれた経営者の男性と結婚した。その後も暇つぶし程度に仕事を続けながら、夜の活動は少しセーブしつつ、今まで通りの暮らしを続けていた。


転機が訪れたのは、35歳のときだった。

女はみな、なぜか30歳という年齢をやたらベンチマークにするけれど、30歳を過ぎても案外何も変わらない。飲み会などに声がかかる頻度も変わらなかった。

露骨に呼ばれなくなっていったのは、35歳を過ぎたあたりからだった。

想定の範囲内だったが、少し寂しかった。

そして、ある日。

私はついに、自分が特権階級ではなくなっていたことを知る。

その日は仕事関係の男性が3人と食事へ出かけたのだが、食事を終え、「ごちそうさま」でしたと挨拶した瞬間、その場が凍ったのだ。

― え…?私なんかまずいこと言った?

感じたことのない空気感に動揺を覚える。

― ごちそうさまって挨拶するのは礼儀だよね…?もしかして、私みたいな美人が律儀に挨拶したことに驚いてる?

そんなふうにぐるぐると考えを巡らせていると、1人の男性がおもむろにこう言ったのだ。

「…えっと、じゃ、1人5,000円で」

空気が凍った意味を、ようやく理解した。

「お前はもう、奢られる側の人間じゃない」というメッセージを嫌でも受け取ってしまったのだった。

それから、飲み会という場に顔を出しても、誰も私をチヤホヤしなくなっていたことに気がついた。私より若い子には奢るのに、私にはお金を請求してくる男性もいた。

それはもう、露骨そのものだった。

そういえば、私が若いころも、飲み代を請求されていた年上女性がいたっけ…。

普通に考えればわかることなのに、自分にそのターンが回ってくるなんて夢にも思わなかったのだ。

そして、嫌な事というのは重なるものだ。

私は、夫から離婚を突きつけられた。

新しい恋人ができたらしい。美しく、私より10歳も若い女だった。彼女とは真剣なんだとか…。

私のときも、同じようなことを言っていたけれど…。



慰謝料としてたんまりお金をもらったからよかったけれど、私はこれから自分で自分の生活費を賄っていかなくてはならないという事実に、愕然とした。

当たり前のこと?

そうかもしれないけれど、私にとっては人生で初めての事態なのだ。

一度上げた生活レベルはなかなか落とせない。そう悟った私は、年収をあげるべくステップアップ転職にチャレンジした。

22歳のとき、就職するという選択を取ったことは大正解だったと改めて実感する。

一応これまでもずっと仕事は続けている。大企業勤続12年、年収は600万円。悪くないレベルだろう。

年齢は重ねたけれど、肩書もルックスも悪くない。少なくとも800万円にはすぐ手が届くだろうと高を括っていたのだが…。

「今まで、どんな経験をされてきましたか?どんなスキルをお持ちですか?」

面接1発目の質問で、躓いた。

― スキル…。

思い返せば、これと言って自慢できる経験も成果もない。ただただ機械のように言われた仕事をこなすだけ…。いや、満足にこなせてすらいなかったのかもしれない。

「あと…。この会社の平均年収を考えると、相当年収レベルが低いように思うのですが…、休職されていたりしたのでしょうか…?」

面接官は気まずそうに、こちらを見つめる。

― え…。

会社における自分の年収レベルがどれくらいなんて、考えたこともなかった。

たしかに、うちの会社の平均年収1,000万。35歳になっても600万っていうことはつまり…。

「…」
「検討して、ご連絡いたしますね」

面接は一瞬で終わりを告げた。

そういえば、この会社に入ったのも顔面のおかげだったっけ。

どこかで、“大企業で総合職として働いている”ということにプライドを持っていたけれど…。

それもこれも、全部若かりし頃の美貌のおかげだったのだ。

実力ではない。

よく考えればわかりそうなことかもしれないけれど、私はずっと勘違いをしていたようだった。

シンデレラの魔法が解けていくような感覚だった。



ただただ、“普通”に戻っただけ。

別に借金地獄に陥ったわけでも、大きな事故にあったわけでもない。“普通”になっただけ。

だけど…。

今まで、当たり前に享受していた恩恵が一気に消えるということは、とてもじゃないけれど耐えられるものではなかった。

…22歳のあのとき。

完全にプロの港区女子として道を歩きだした子たちは、とんでもない富豪と結婚したり、離婚しても一生遊べるだけの財産を手にしたりしていた。

彼女たちはきっと、安定した職がない、自分には美貌以外スキルがないという事実を、十分すぎるほどに自覚していた。だからこそ、身の振り方を真剣に考えたのだろうか。

港区に中途半端に片足を突っ込み続けた私だけが、だらだらと大きな勘違いをし続けてしまったように思う。

あのとき、完全に港区女子として生きていくことを選んだのであれば、こんなことにならなかったのか──。

それは誰にもわからない。

けれど、“美人が3億の得をした”あとに待ち受けている現実を、もっと真剣に考えるべきだったと、後悔してもしきれない。


▶前回:「絶対に、誰にも言えない」大企業の社長が、ストレス発散のために夜な夜な大金をつぎ込むのは…

▶1話目はこちら:「ヒゲが生えてきた…」美人すぎる女社長の悩みとは

▶Next:8月7日 日曜更新予定
挫折を知らない男


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