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クォン・サンウ、キム・テリらが出演する珠玉の名作から、激動の時代を歩んできた韓国を知る!

MOVIE WALKER PRESS

日本初上陸の最新海外ドラマや厳選映画が観られる動画配信サービス「スターチャンネルEX」。2021年11月よりサービスインし、映画スター出演作や賞レースを賑す映画監督が手掛ける話題の海外ドラマをはじめ、スターチャンネルの映画レーベル最新作など、映画ファン必見の作品を見放題で楽しめるのはもちろん、毎月多彩なラインナップを特集して配信している。

8~10月の3か月間は「もっと観るべき韓国映画」特集を展開。『パラサイト 半地下の家族』(19)が第92回アカデミー賞において作品賞をはじめ、監督賞、脚本賞など4部門の受賞に輝き、世界的にその実力を認められた韓国映画。特に激動の現代史を巧みに取り入れたエンタテインメント作品の数々は、観る者を強く引きつけてきた。本稿では8月に「スターチャンネルEX」で配信される作品を手がかりに、韓国が歩んできた歴史にフォーカスし、現代にまでいたる道筋を振り返っていきたい。

■朝鮮戦争の最前線で戦う南北兵士の過酷な現実を映しだす『高地戦』

朝鮮半島の現代史は、日本が連合国に降伏して太平洋戦争が終結し、1910年以来続いていた日本による統治が終わった1945年8月15日に始まる。しかし、独立を果たした朝鮮半島は、すぐにアメリカとソビエト連邦によって分割占領され、1948年に、南側で李承晩(イ・スンマン)を大統領とする大韓民国、北側では金日成(キム・イルソン)主席のもと朝鮮民主主義人民共和国が成立する。両国それぞれで国づくりが始まるが、1950年に朝鮮戦争が勃発する。

当初、南下してきた北朝鮮の軍に押されて劣勢だった韓国軍は、釜山の西を流れる洛東江まで追いつめられるが、9月に米軍を中心とする国連軍による仁川上陸作戦が成功すると北上して38度線を突破。しかし、10月に中国人民志願軍が参戦すると再び北朝鮮軍が勢いを取り戻し、1953年7月に軍事停戦協定が結ばれるまで南北両軍が一進一退を繰り返した。

チャン・フン監督の『高地戦』(11)は、戦争が終わりに近づき停戦協定成立から発効までの12時間に行われた最後の戦闘を描きだす。南北の兵士たちが最前線の要地である“高地”を巡って激しい戦闘を繰り返し、その領有権が何度も入れ替わる様子に目を奪われる。朝鮮戦争をテーマとする作品は数多くあるが、急斜面を舞台にした迫力の戦闘シーンや、祖国の命令に翻弄され極限状態の戦いを続ける南北の兵士たちの間にいつしか生まれる暗黙の“共犯関係”といった独特の描写が印象的だ。

戦死した兵士の死体から味方の弾丸が発見されたという事件から始まるこの映画では、『トンマッコルへようこそ』(05)のシン・ハギュンが真相を調査するため最前線へとやってくるカン・ウンピョ中尉役で出演。そこで再会する『白夜行 白い闇の中を歩く』(09)のコ・ス扮する友人キム・スヒョクや、『建築学概論』(12)のイ・ジェフン扮する命知らずのシン・イリョンらと行動を共にしながら、過酷な戦場の現実に気づいていく。さらに、コメディからシリアスまで多彩な演技を見せるリュ・スンリョンが北朝鮮の兵士の複雑な心情を見せている。チャン・フン監督は本作の6年後に、このあと登場する1980年の光州事件(光州民主化運動)を題材にした『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』(17)を発表している。


■軍事政権下での高校生たちのみずみずしい初恋と暴力の対比が印象的な『マルチュク青春通り』

建国以来、大統領を務めていた李承晩が1960年の「四・一九学生革命」によって退任した翌年、軍部の朴正煕(パク・チョンヒ)らがクーデターを敢行し、軍事政権の時代が始まる。大統領となった朴正煕は1971年に憲法を改正して三選を果たすと、翌年には非常戒厳令を布告して国会を解散。強大な権力を自身に集中させる「維新体制」を作り上げた。

長期にわたる朴正煕政権末期の1978年を舞台にしたノスタルジックな青春映画『マルチュク青春通り』(04)では、この時代の高校生たちがどんな毎日を送っていたのかを、主人公と同世代のユ・ハ監督がリアリティたっぷりに見せていく。開発ブームに沸くソウル・江南地域にやってきた転校生ヒョンス(クォン・サンウ)は、登校途中のバスの中で女子校に通うウンジュ(ハン・ガイン)にひと目惚れをするが、なかなか思いを告げることができない。そんななか、同じクラスのウシク(イ・ジョンジン)も彼女に好意を持っていることに気づく…という初恋の物語が、暴力にあふれていた男子校の日常のなかで綴られていく。特に目を引くのは、軍服を着て学生たちを厳しく指導する教練担当教師。“教練”とは、北朝鮮との緊張関係が続くなか、高校生たちに対して軍事的な訓練を行う科目だったという。

デビュー当時から“モムチャン(美しい肉体)”俳優として人気を集めてきたクォン・サンウが、意外にも内気なキャラクターに扮しているのも見どころ。アクションスターのブルース・リーに憧れているもののケンカは苦手で、それでも友だちのためならヤンキーに立ち向かい、ラジオ局へ手書きのハガキを送り、お気に入りの洋楽で気持ちを伝えようとするところが愛しさを感じさせる。さらに、思いを寄せるウンジュらと出かけるディスコのシーンも懐かしさ満点だ。そんな彼が“覚醒”して挑むアクションシーンからも目が離せない。


■民主化運動を背景にした若者たちのリアルを描く『サニー 永遠の仲間たち』

18年間にわたって最高権力者の座にあった朴正煕は1979年10月26日に側近の金載圭(キム・ジェギュ)の放った銃弾に倒れ、街には一時、「ソウルの春」と呼ばれる開放的な雰囲気が生まれた。しかし、同年12月に全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)らを中心とする軍部がクーデターを起こし、政治の実権を握る。彼らはさらに1980年5月17日に非常厳戒令を拡大して政治活動や集会、デモを禁止し、翌日には政治家や民主化運動家を連行した。同じ日、光州では学生や市民が民主化を要求するデモを敢行したが、戒厳軍が武力で鎮圧し、多くの死傷者を出した光州事件が発生。全斗煥は同年に大統領に就任し、軍事政権の時代が続いた。

『サニー 永遠の仲間たち』(11)では、そんな80年代に高校生活を送った主人公ナミ(ユ・ホジョン)が25年を経て友人チュナ(チン・ヒギョン)と再会し、余命短い彼女のために疎遠となっていた仲間を捜していく。『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(18)として日本でもリメイクされたこの映画では、“サニー”という名のグループを結成していきいきと飛び回る高校生たちの背後で80年代の様子が描かれている。

高校生のナミ(シム・ウンギョン)が家で食事をするシーンではテレビに全斗煥大統領が映り、大学生である彼女の兄は軍事独裁に反対する運動に身を投じている。また、ナミと仲間たちが敵対するグループとケンカをするために出かけた街中では、デモ隊と機動隊が衝突する。90年代の東京を舞台とした日本版とは背景が大きく違い、軍事政権下の80年代を生きる韓国の若者が見た世界を知ることができる。本作の監督であるカン・ヒョンチョルは、その後、朝鮮戦争中の捕虜収容所を舞台にした『スウィング・キッズ』(18)も手掛けている。



■学生運動家不審死事件を発端とする韓国全土を巻き込む闘争の物語『1987、ある闘いの真実』

『サニー 永遠の仲間たち』のなかにも登場した民主化を求める闘争は、1987年にピークを迎える。『1987、ある闘いの真実』(17)は、1月14日にソウル大生が取り調べ中に不審死を遂げた事件から始まる、この年の出来事を時系列で語っていく。事件を担当した検事から、死の真相に迫ろうとする新聞記者、受刑者からのメッセージを外部に伝える刑務官、民主化運動の意味に気づいていく大学生と、まるでリレーのバトンを渡すかのように中心人物が交代していく展開がユニークだ。

また、実在の人物をモデルにしたキャラクターを多数登場させつつも、不審死についての調査を行おうとするチェ検事役のハ・ジョンウと、力で民主化運動を潰そうとするパク所長役のキム・ユンソクの対決シーンを西部劇風に見せるなど、随所に映画的な楽しさも挿入されている。映画の後半を牽引する大学生役を『リトル・フォレスト 春夏秋冬』(18)やドラマ「二十五、二十一」のキム・テリがいきいきと演じている。

1987年の民主化運動は、全斗煥の後継者と目されていた盧泰愚に「大統領直選制」を盛り込んだ「民主化宣言」を発表させるという結果をもたらしたが、同年の12月に行われた大統領選挙では、盧泰愚が当選。その後、1992年の選挙で民主化運動のリーダーであった金泳三(キム・ヨンサム)が大統領に当選した。

1997年11月には、アジア通貨危機の波及で外貨が不足し、IMF(国際通貨基金)から緊急融資を受けるという事態が発生し、多くの人が仕事を失うなど、社会に大きな傷を残した。その最中である1998年に大統領に就任した金大中(キム・デジュン)はIT化を推進し、映画を中心としたコンテンツ事業の育成にも力を入れたことで知られ、現在に至る基盤を作った。

北緯38度線付近を境に2つの国が対峙するという状態が70年以上にわたって続くなか、激動の歴史を基にした完成度の高い映画を作り続けてきた韓国。8月のスターチャンネルEXの「もっと観るべき韓国映画」特集ではほかにも、ソウルの街の真ん中を流れる漢江に浮かぶ島でサバイバル生活を送る男が主人公の『彼とわたしの漂流日記』(09)、ラジオの生放送中にかかってきた爆破予告の電話から始まるサスペンス『テロ,ライブ』(13)、カン・ドンウォンが美しい悪役として華麗に登場する時代劇アクション『群盗』(13) 、叩き上げの刑事と財閥の御曹司の対決を痛快に見せる『ベテラン』(15)といった多彩なジャンルの作品がそろっている。さらに、9月には「梨泰院クラス」や『ベイビー・ブローカー』(公開中)で注目を集めたイ・ジュヨンが主演を務め、プロ野球選手を目指す女子高生の奮闘を描く『野球少女』(19)や、実力派俳優ソン・ガンホが主演し、盧武鉉元大統領が弁護士時代に担当した釜林事件を題材にした人間ドラマ『弁護人』(13)など話題作をラインナップ。世界を魅了するその真髄を、スターチャンネルEXで確かめてみてほしい。


文/佐藤結
 
   

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