covid-19の世界的パンデミックは都市の姿を様変わりさせた。とりわけ観光都市として国内外に大きな影響力をもっていたエリアは、コロナ禍以降、変革をせまられている。
世界でもっとも有名な商業地区のひとつであるイギリスの首都ロンドンにおける「ウエスト・エンド」も例外ではなく、ロックダウンにより消費者のオンライン購買への移行を加速させ、企業は新たな消費者行動に対応せざる負えなくなった。
しかし、一方でこの状況は欧州進出を狙う企業やブランド、投資家にとってチャンスともいえる。
ロンドン有数のビジネスとデスティネーションエージェンシーである「London&Partners(ロンドン&パートナーズ)」のCEOであるローラ・シトロン氏は、「ウエスト・エンドは今、街をエキサイティングに変えてくれる新しい日本ブランドの登場を待っている」と話す。
コロナ禍以降のロンドン
ロンドンの「ウエスト・エンド」といえば、イギリス最大の商業・歓楽地区であり、さまざまな歴史や文化の発祥の地。映画、小説、演劇、音楽など誰もが知る作品の舞台となってきたエリアだ。
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コヴェント・ガーデン、ソーホー、ウェストミンスター、セント・ジェームズ、オックスフォード・ストリート、シャフツベリー・アベニュー、リージェント・ストリート、ピカデリー …
ざっと思いつくままに書いてみても、これだけの地区や通り名が浮かぶ。当然、その知名度と比例して賃料も高く企業にとって理想的な物件探しは困難だった。
しかしパンデミック後の今、コロナ禍で空いた物件や家賃のディスカウントなどが影響し条件の良い物件を選びやすいうえに、シトロン氏によると、ロンドンにおいてビジネスの規制が緩和され商売がしやすくなっているという。
例えば、以前は飲食店において屋外席を設けるためにはライセンスが必要だったが、コロナ禍をへて規制が緩和され、多くの場所で屋外での食事ができるようになった。
ボンドストリートにある「ラルフ ローレン」では、パンデミック時に店舗と並行してカフェエリアを導入し好評を得た。そこで同社は地元自治体のウェストミンスター市議会と協力し、このカフェを歩道にまで広げ屋外席を増設、今ではこのビルの中心的な存在になるほどの盛況ぶりだ。
また、不動産物件を商業目的で使用する場合、カテゴリー用途(リテール物件は、小売、オフィス、飲食、パブやバー、テイクアウトの5つ)に順ずる必要があったが、2020年にこれらを1つに統合する方針が打ち出されたことで、より柔軟にビジネスを行えるようになった。