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日本人3名がノーベル賞獲得!「青色LEDの発見」に学ぶイノベーションの“生み方”

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こうした実験を繰り返した結果、中村氏は高品質の窒化ガリウムからなる圧倒的な性能の半導体デバイス作製についに成功します。

かつて誰もなしえなかった科学的ブレイクスルーです。欲しい結果に対し、試行錯誤と実験を繰り返し、狙ったとおりの科学的成果を得たのです。

ただし、科学的ブレイクスルーは「出発点」にすぎない

この科学的ブレイクスルーは人類による真理の探究に向けた多数の仮説と実験による検証の試行錯誤から見出されるものです。ギリシアの時代から今日までの科学の発展はそれら真理の発見を継続的に積み上げてきたものだということができます。

しかしそれ自体がイノベーションではありません。

仮説と検証から見出された科学的発見と、それが社会に浸透していく過程としてのイノベーションはまったく異なるものです。科学的ブレイクスルーがなければイノベーションは起こりません。しかし科学的ブレイクスルーはイノベーションへの出発点にすぎません。

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青色LEDが実用的な照明の光として社会に浸透していくというイノベーションが起こるには、まずは科学者によるブレイクスルー、特に3人の卓越した科学者の先導的な業績がありました。そして後続する多くの人の試行錯誤があってはじめてLED照明として、照明のイノベーションとして浸透していったという一大プロセスだったのです。

「試行錯誤の積み重ね」がイノベーションに繋がる

大切なことは誰かがさあこれでイノベーションを起こそうと思って設計したり、実験していたのではないということです。

進んでいたのは目の前の事象の改良、変化のための試行錯誤だけです。思いどおりの結果が得られない実験は、次々と淘汰されます。青色LEDを例に挙げれば、関連特許もゆうに1000を超える数があり、細かい技術特許候補は無数にあります。やがてそれらの試行錯誤のなかから生き残る技術が出てきます。それが製品として成熟し、市場で受け入れられる価格、社会情勢になればいよいよ社会のなかに浸透していくことになります。この一連のプロセスがイノベーションです。

高輝度青色LEDの発明でノーベル物理学賞を受賞した3氏に限らず、日本だけでもおそらく何百人という研究者、企業関係者が関わって初めてLED照明の実用化が達成されました。イノベーションは集団作業であり、本格的な社会実装と普及にはさらにけた違いに多くの人間の関与があるということです。

LED開発に関わった誰にも“天才的なひらめきに導かれた一発勝負”のようなものはありませんでした。あったのは3氏を始めとする多くのエンジニアが繰り返した失敗と、それに対する洞察と粘り強いチャレンジだけです。そして無数のフォロワーがイノベーションを成就するのです。

太田 裕朗

早稲田大学ベンチャーズ 共同代表

山本 哲也

早稲田大学ベンチャーズ 共同代表

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