
世界経済に影を落とすロシアのウクライナ侵攻、収束の兆しが見えないパンデミック、止まらない円安、急速に進展するインフレ…。日本で暮らす私たちはいま、大変な危機的状況に置かれています。しかし、それらを正しく理解し、リスク回避の行動をとっている人は、決して多くありません。今後どのような問題が起こり得るのか、資産防衛のプロであるウエルスマネージャーが、事象から読み解いていきます。
「非民主主義&核保有国」に囲まれている日本
日本は、北朝鮮、中国、ロシアと、いわゆる非民主主義国に囲まれています。悪いことに、これらの国は核も保有しています。海を隔ててはいるものの、中国の国力がまだ小さかった頃に比べて、このリスクは見逃すことができないレベルとなってきています。
防衛省の防衛白書でも「日本の周辺には大規模な軍事力が集中している」と指摘されています。さらには中国だけではなく、「ロシアの軍事活動は活発化」ともあります。
ロシアによるウクライナ侵攻をそのまま日本に置き換えると、よりリアルに感じられるかもしれません。また、香港、台湾、沖縄と中国の海洋進出の野心も取りざたされているのはご周知かと思います。
ちなみに北朝鮮には豊富な地下資源が眠っているといわれています。一説には420兆円、世界で10位以内に入る規模ともいわれており、これを狙う国々も多く、北朝鮮にとっては核こそがその国体や安全を保障できる唯一の存在であると考えていてもおかしくはないと思います。だとすれば、北朝鮮が核兵器を捨てることはなかなかなさそうです。
戦後の枠組み・シビアな地政学的状況を理解しているか
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第2次世界大戦の敗戦国である日本は、自由に軍備し自国を守ることは認められていません。日本は「賊軍」であり、官軍から見ればいつ矛先を向けてくるかもしれない危ない国家、という懸念が常に付きまとっているのでしょうか。そして、戦後70年以上経ってもその懸念は払拭されていない、ということです。
日本には第2次世界大戦の「くびき」があり、最終決定権はないが、民主主義・自由国家としての役割や責任はそれなりに負わされた上で、日本が運営されていると考えたほうがより話は見えてくるでしょう。
筆者の理解をサラリーマン風にたとえるなら、派閥争いに敗れ解雇寸前の役員が、勝ち組の都合や温情、そして多少の能力を認められて再度居場所を見つけたものの、調子に乗ったため再度窓際へ追われ、現在は片道切符で子会社行きの瀬戸際…といったところでしょうか。
そしてこの役員は、新鋭のライバル会社から「会社をめちゃくちゃにして裏切れば、重役として迎えるぞ」との甘い誘いを囁かれているのです。万一騙されて転職すれば、約束も反故にされライバル会社も辞めることになる、というシナリオでしょう。
いずれにせよ、このくびきを直ちに外すことは現実的ではありません。それはアメリカでの南軍、日本での武士の復権とほぼ同じと考えれば理解しやすいかもしれません。
ロシアとの戦闘が激化するなか、ウクライナのゼレンスキー大統領は国民総動員令に署名しています。18歳~60歳の男性の出国を全面的に禁止しているのです。国を守るため、国民が戦場で戦うことが将来の日本で起こらないと、自信を持っていえるでしょうか。