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猫のにゃん太郎大反省…「えびせん」を飼い主に差し出した結果

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榎本さんの奥さんの話はこうだ。山川さん曰く「さっき、品数を点検した時は、はっぱえびせんは5袋あったが、今は4袋しかない。1袋いつの間にかなくなっている」と。目撃者はいないが、状況証拠で俺が盗んで行ったことにされた訳だ。まあ事実はそうに違いないんだけどさ。

俺は榎本さんから「にゃん太郎。よく聞けよ。よその家から無断で物を持って来ると、泥棒ということになるんだ。ましてや、山川さんところはお店だ。お金を払って物を買うんだ。猫はお金を持っていないから、買い物はできないってこと分かるな。だから二度と山川商店には行ってはいけない」と説教された。

榎本さんは、猫が人間の言葉が分からないことは分かっているのに、猫に本気で説教している。叱られながらもそれがおかしくて、何かほんわかした気分になった。榎本さんは真面目でいい人なんだと再認識したよ。

しかし、榎本さんの論法は人間本位なもの。猫の立場から言わせてもらうとナンセンス。猫が物を得る方法は、人間からいただくか、自分で取って来るかの二通りしかない。どんな上品な猫でも、よその家が開いていて、そこに好物の食べ物があったら、それを取って来るよ。それは猫の本能、習性である。猫のこの行為は「人間の目からみれば泥棒である」ということに過ぎないんだ。

むしろ今回の件は、泥棒かどうかより、猫が飼い主のために好物をわざわざ持って来た。自分が食べたい衝動を抑えながら、飼い主に食べてもらおうとして起こしたことだ。「思いやり」とか「孝行」と考えて欲しいのだ。俺には榎本さんを喜ばせたい一念しかなかったんだ。その点を分かってもらえなかったのが無念で仕方ない。これが俺の本音だ。

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榎本さんの奥さんはメロンを買って来て、改めて山川商店にお詫びに行ってくれました。同様なことが前にもあったよな。これで三度目だ。俺は招き猫ならぬ金喰い猫だ。苦労ばかりかけている。ごめんなさい。榎本さん。これでは高貴な血筋だとは言えないよな。一息付いたところで夕食になった時、昼間の事件について榎本さん夫婦が話していた。実は榎本さんは事件の核心をよく分かってくれていたのだ。

榎本さん

「にゃん太郎をきつく𠮟ったけれど、よく考えてみると、猫だから、店から好物を盗んで来るのは仕方ないことだよな」

「俺が感心するのは、俺のために持って来てくれたことだ。海老の匂いがするものを、自分で食べずに我慢してさ。そんな思いやりが猫にもあるなんて驚きだよ」

奥さん

「ほんとうにね。にゃん太郎は思いやりや孝行心があって、立派だわ。飼い主のために、店から好物を盗んで来てくれる猫の話なんて、聞いたこともない」

「にゃん太郎を飼うようになってそろそろ5年になるわ。飼ってもらった恩を感じているのかしら。5年経っても恩を忘れないなんて、義理堅いのね」

二人の話はまあ的を射ていると満足したよ。俺が盗んで来たはっぱえびせんが食卓にのぼっている。

「にゃん太郎のプレゼントだ。ありがたくいただくよ」と言って夫婦でお酒のおつまみにして食べてくれた。俺にも3つほどくれた。猫がたくさん食べると、塩分取り過ぎになって、腎臓に悪いという話があるらしいからだと。その日の夕食は、はっぱえびせんを皆でつまんで盛り上がり、とても幸せな気持ちに包まれたよ。

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