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冤罪防止の切り札となるか?脳波から直接情報を引き出す捜査法

カラパイア


 冤罪は法の執行に関わる者なら、絶対に起こしてはならないことだ。もしあなたが身に覚えのない事件に巻き込まれ、目撃者を名乗る人物に、あなたの犯行を見たと証言したらどうだろうか?

 世界の法執行機関は、目撃者による証言の信憑性の低さや、犯罪現場の物的証拠の少なさに大いに悩まされている。

 そして恐ろしいことに、目撃者の誤認が冤罪の要因であることを示す証拠はいくつもある。警察が物的証拠を得られる犯行現場は15%以下でしかなく、それゆえに目撃証言が重要視されることも1つの要因だ。

 だがもし脳から直接情報を引き出すことができれば、少なくとも冤罪を減らすことはできるかもしれない。嘘発見器より信頼性の高いこの捜査法は、すでにいくつかの国で犯罪捜査に採用されている。

誰もが冤罪になる可能性はある

 あなたがどんな善良な人物だったとしても、犯していない罪を証明することができず、冤罪になり犯罪者として投獄されるリスクはある。

 例えば、ケビン・ストリックランドというアメリカ人男性は、まったく身に覚えのない3人を殺害した罪で有罪となり、42年間も刑務所で過ごす羽目になった。2021年11月にようやく冤罪を証明し、無罪を勝ち取った。

 そもそも彼が1978年に無実の罪で投獄されたのは、目撃者の誤認が原因だった。

 この目撃者の証言によれば、事情聴取の際、彼女が見た犯人の顔はストリックランドと同じだったと証言するよう警察から圧力を受けたのだという。

photo by iStock

脳から情報を引き出す技術

 もしも当時、ウェスタン大学の故ピーター・ローゼンフィールド教授が開発した「コンプレックス・トライアル・プロトコル(CTP)」があれば、ストリックランドも冤罪になることはなかったかもしれない。

  CTPは「P300」という脳波を測定して、容疑者や目撃者が犯罪について何か知っているのか判断する信頼性の高い方法だ。

情報を認識していない人(左)としている人(右)の脳波の比較。情報を認識している人は、p300が強く出ていることがわかる。なおPzは、電極が頭頂葉皮質の半球正中線上に取り付けられていることを示す/image credit:Funicelli, et all, 2021

 学校や職場などで、誰かが自分の名前を口にしていれば、気になってしょうがないだろう。これは聞こえてきた音や目にしたものが脅威かどうかを判断するための生存機能だが、CTPはこうした反応を利用する。

 脳にP300が生じるのは、自分の名前や好きなアーティストの声など、本人にとって何か意味のある情報が入ってきたときだ。

 だから頭皮に取り付けた電極がこれを検出すれば、本人はそれを知っているということになる。

 犯罪の目撃者に犯人とされる人物の顔写真を見せたとき、もしもP300が発生しなかったとすれば、本人が「この人物を見た」と証言したとしても、実際は見ていないだろうと推測できる。

 CTPは、容疑者や目撃者が犯罪について本当に何かを知っているかどうか判断できるだけではない。検査結果と証言内容に食い違いがあれば、その人物を信頼できそうもないと判断することもできる。

 アメリカ、インド、ニュージーランド犯罪の捜査などでは、嘘発見器を含め「秘匿情報検査」としてすでに採用されている方法でもある。

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あってはならない冤罪を防ぐために

 CTPが使われていれば、ケビン・ストリックランドの冤罪を防げたのかどうかはわからない。

 しかし、警察活動の専門家であるティーズサイド大学のマイケル・ファニセリ氏は、脳から情報を引き出せるCTPは、法執行機関の重要な資産になるだろうと、海外メディア『The Conversation』で述べている。

 ただCTPには注意すべきこともある。最大の懸念事項は、犯罪に関する情報が世間にリークされてしまったようなケースだ。

 例えば、CTPの結果に基づき罪に問われた容疑者は、「目撃者はマスコミに報道された自分の顔を見たのだ」(だからCTPが反応した)と言い逃れできるかもしれない。

 このような状況を防ぐために、法執行機関はこれまでより厳格な情報の管理が必要になってくるだろう。

References:How your brainwaves could be used in criminal trials / written by hiroching / edited by / parumo

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