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ローマ兵が使用した2000年前の古代ローマ神殿が発見される

カラパイア


 ローマ帝国から遠く離れたオランダの地で、生贄用の祭壇など、兵士たちが利用していたと思われる北ヨーロッパでもっとも大規模な古代ローマ神殿の一部が発見された。

 西暦1世紀の神殿聖域として知られるこの遺跡は、ライン川とヴァール川の分岐点近くにあり、当時、帝国の最北端の国境だった下ゲルマニア・ライムズ沿いのローマ要塞から歩いてすぐのところだ。

 現在のドイツとの国境近く、オランダのヘルダーランド地域東部の都市ゼーフェナール近くになる。

古代ローマ兵が使用していた聖域

 この聖域には、少なくとも3つの大きな神殿と、ローマの神々に捧げられた小さな祭壇がたくさんある。

 オランダ考古学庁RAAPの考古学者エリック・ノルデ氏によると、これらはおもに、砦近くに駐屯していたローマ兵が神聖な誓いをたてるために使っものだという。

 この遺跡からは、硬貨や宝飾品のほか、槍の穂先、鎧や馬具など、軍にゆかりのある遺物が数多く見つかっている。

 こうした発見物から、ローマ帝国から遠く離れた辺境にいた兵士たちの当時の生活が垣間見える。

「これは、オランダにおける非常に保存状態のいいローマ聖域で、おそらくはもっと広大だったと思われます」ノルデ氏は言う

 オランダ中央政府とヘルダーラント州政府は、2021年の商業用粘土採取工事の際に初めて発見された遺跡の発掘を進めるため、RAAPと契約した。

 発掘のために粘土採取工事は中止されたが、近くで作業は続いている。遺跡は今のところ、一般公開はされていない。

殿遺跡から出土した古代ローマの遺物。豊穣のシンボルである男根の形をした馬具 / image credit:RAAP

奉納祭壇が数多く存在していた

 この神殿は、川の分岐近くの小高いところに建っている。その後、丘は少し高くされた。

 石の階段が水辺まで続いていて、大きな井戸もある。神殿を囲むようにいくつかの竃があり、生贄儀式のための大きなかがり火がたかれたのではないかという。

 この聖域の主要な神殿は、フレスコ画で色鮮やかに彩られ、タイル張りの屋根もあった。タイルにつけられた印章から、兵士たちがこれらを作っていたことがわかる。これはローマ軍が商業的専門にしていた分野でもある。

2021年、ライン川とヴァール川の分岐点近くでこの神殿聖域は発見された。ライン川は、当時、ローマ帝国の最北国境だった。 / image credit:RAAP

 この聖域には、メインの神殿の周辺に、ワインを注ぎ、動物の生贄を捧げて祈りや誓いをたてるために使った奉納祭壇がたくさんあることが特徴だ。

 この祭壇は、さまざまなローマの神々に捧げられているという。

 メッセージ、貨幣、魔術の神メルクリウス、古代エジプトが起源の主神の化身であるジュピター=セラピス、ローマの半神半人ヘラクレスと、無名のゲルマン神または英雄が合体したヘラクレス・マグサヌス、ローマのガリアで崇められた女神集団などである。

 それぞれの祭壇には、崇められている神々の名前、祭壇設置の費用を担ったローマ兵士の名前、階級、所属部隊などが、ラテン語で刻み込まれている。

 祭壇を設置したのは、ローマ砦の上級士官らしい。戦いに勝利したとか、故郷から遠く離れた北の果てで無事に生き延びられたことなど、願いをかなえてもらった神々への感謝の証ではないかという。

 刻まれている碑文は、必ず「Votum Solvit Libens Merito」という言葉で締めくくられている。”正当な理由をもって、喜んで誓いをたてる”という意味のラテン語だ。

オランダの古代ローマ遺跡で発見された、文字が刻まれた祭壇 / image credit:RAAP

辺境の国境

 新たに見つかったこの聖域は、下ゲルマニア・ライムズとして知られるかつてのローマ帝国の北の国境線にあった。ライン川に沿って要塞が連なっていた地域のひとつだ。

 西暦1世紀ごろ、国境の最西端は、北海に注ぎ込むライン河口で、現在のオランダ、ライデンの近くだった。

 これが巨大な川の西岸に沿って、ドイツ、ボンの南、バート・ブライジッヒ付近まで続いていた。もうひとつの要塞群は、対岸からドナウの南東へ続く上ゲルマニア・ラエティア・ライムズだ。

 オランダやドイツに残る多くの遺構は、ユネスコの世界遺産に登録されており、専門家はゼーフェナール付近の神殿聖域もいずれ登録されることを望んでいる。

 現在は、遺跡から回収された遺物が、オランダ、ナイメーヘンのファルクホフ博物館で展示されている。

祭壇から発見された硬貨 / image credit:image credit:RAAP

 これらさまざまな建造物の年代を正確に割り出すために、考古学者たちはまだ作業を続けているが、この聖域は、紀元1世紀ごろから、ゲルマン人の侵略によってローマ北部の支配が衰退し始めた3世紀後半まで使用されていたようだ。

 この聖域は、ローマ砦の最寄りにあっただけでなく、遠方からの兵士もやってきた。

 多くの部隊が奉納祭壇とかかわっているため、この聖域がなんらかの地域的な機能をもっていた可能性があるという。

 神殿、祭壇、遺物だけではなく、生贄の動物の骨もたくさん出土している。鶏のような鳥が多いが、ブタやヒツジ、ウシなど大型の動物もある。

「兵士たちによって捧げられたたくさんの供物の痕跡、神への食べ物などが発見されています。当時の神殿での日々の生活をうかがうことができるのです」ノルデ氏は言う。

References:Ancient sanctuary used by Roman soldiers nearly 2,000 years ago found in the Netherlands | Live Science / Compleet en relatief ongeschonden Romeins heiligdom ontdekt in Gelderland | Nieuwsbericht | Rijksdienst voor het Cultureel Erfgoed / written by konohazuku / edited by / parumo

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