日本では年間約100万頭以上の国産牛が出荷されています。このほか、例年32~33万トンほど(ざっと85万頭分)の牛肉も輸入されています。
「いい肉」の定義とは難しいもので、食べる人の好みや習慣、調理法などによっていろいろな基準があります。中でも牛肉は「霜降りが好き」な人もいれば、赤身好きや熟成肉好きなど、食いしん坊の間でも品種、部位、育て方、保存方法などで大きく好みが分かれます。
人間にとって牛は経済動物です。古くは農耕用の”馬力”として(牛ですが)、現代ではミルクや食肉の供給源である以上、飼料代や人件費以上の経済性がなければ、育てる意味がなくなってしまいます。生き物として尊重したいが、赤字になるなら飼うことはできません。食肉となる牛がいる一方で、その生命を人間の都合でおろそかに扱われてしまう牛もいます。
いまから10年前、北海道は十勝清水のホルスタイン肥育農家だった「コスモスファーム」に手違いでブラウンスイス種の牛が到着します。
「返却すれば殺処分」になると聞き、コスモスファームではそのブラウンスイスを受け入れますが、育てる過程で「ブラウンスイスのオスには経済的な価値がなく、ほとんどが市場に出る前、生後すぐに殺処分される」というショッキングな現実を牧場主は知らされます。
広告の後にも続きます
乳牛は乳を出すメス牛にこそ価値がある。それでもホルスタインは体が大きくなり、肉牛としても一定の認知を得ているので、去勢して肥育し「国産牛」として出荷する道がありますが、頭数も少なく、ホルスタインほど大きくならないブラウンスイスには肉牛としての道が確立されていませんでした。
それからコスモスファームは、ブラウンスイスのブランディングと加工品開発に着手します。ブラウンスイスという牛の価値を確立し、知ってもらうことが「命を無駄にしないことになる」と信じたからです。
目指したのは「全部位を活用できる食肉加工品」「誰もが安全・安心に食べられる無添加」「常温で長期保存できる」アイテム。そうして2015年10月に完成したのが、国内唯一となるブラウンスイス牛のコンビーフ。
原材料は「牛肉、牛脂、食塩」のみとまさしく「安心・安全」。賞味期限も常温で2年間保存性でき、万一に備えての備蓄性もばっちりです。
シンプルでやさしい味つけなので、いつものキャベツ炒めやポテトサラダといったコンビーフ料理のほか、肉を使うほとんどの料理の素材としても使うことができるので、料理の幅も広がります。