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5分でわかる太宰治『駆け込み訴え』解説!ユダとキリスト、新約聖書の主従の知られざる確執とは?

ホンシェルジュ

『駆け込み訴え』は文豪・太宰治の名作短編です。

タイトルから時代劇を連想するかもしれませんが、本作の舞台は紀元前。登場人物はキリスト、ユダをはじめとする十二使徒、およびマグダラのマリヤなどで皆聖書に名前が出てきます。

今回はユダ視点で語り直される裏切りの真実、『駆け込み訴え』をご紹介します。

『駆け込み訴え』の簡単なあらすじ、登場人物を紹介

『駆け込み訴え』の語り手はイスカリオテのユダです。

ユダといえばイエス・キリストを銀貨30枚と引き換えに役人に売ったとして、聖書やその他フィクションで悪者に描かれることが多い人物。先に結論を述べれば、ユダに告発されたキリストは磔刑に処されます。

物語の冒頭、「私」は「旦那様」に対し主人の理不尽な仕打ちの数々を訴えます。

この「私」こそユダ。ユダは献身的に主人=キリストに尽くしているにもかかわらず、周囲に軽んじられる現状に鬱積していました。

ちなみに「旦那様」が誰かは言及がなく、読者各自の想像に委ねられています。自然に考えればキリストを捕らえた役人でしょうか。

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実際の所キリストが民に奇跡を施す聖人でいられるのは、ユダが火の車の台所を取り仕切っているからに他なりません。しかしキリストはユダの訴えを取り合わず、「お前の苦労は天の父だけがわかってくださってればいいではないか」と諭します。

しかしユダは天の父などどうでもよく、キリストただ一人に認められたい、褒められたいと煩悶します。

やがてユダはキリストへの独占欲に駆り立てられ、布教をやめた彼が畑を耕し、それを手伝って暮らす日々を夢見るようになりました。

そんなある日、ベタニヤのシモンの家で食事中にトラブルが起こりました。村の娘・マリヤが手違いでキリストに香油を浴びせてしまったのです。されどキリストはマリヤのミスを優しく許し、その寛大さで尊敬を集めます。

美しいマリヤと主人の関係に嫉妬したユダは、「自分こそが一番キリストを愛している」と狂おしい激情に駆られました。

後日村を発ち、最終目的地エルサレムを目指す一行。その道中キリストは宮殿にたむろする商人たちに怒り狂い、彼等を縄の鞭で追い立てる暴挙にでます。

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