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渡辺優『ラメルノエリキサ』レビュー!復讐の申し子の痛快な青春ミステリー

ホンシェルジュ

あなたは復讐に対しどんな感情をお持ちですか?
「復讐は何も生まない」「虚しくなるだけだ」……それもまた事実かもしれません。「復讐なんかしたところで被害者は喜ばないぞ」というのも一理あります。

第28回小説すばる新人賞を受賞した渡辺優のデビュー作『ラメルノエリキサ』は、そんな穏健派の風潮に一石を投じる最高にエッジの効いた問題作。
主人公は復讐の申し子と呼ばれるユニークな女子高生・小峰りな。

ハンムラビ法典をバイブルと仰ぐ彼女の過激な生き様が強烈な印象を残す『ラメルノエリキサ』は、推理作家・宮部みゆきが、「なんて不謹慎な小説!」と帯で絶賛した青春ライトミステリーです。

早速ご紹介していきます。

『ラメルノエリキサ』の簡単なあらすじと登場人物

本作の主人公は女子高生・小峰りな。美しく優しくピアノが上手な母親に劣等感と愛情を募らせる、自称マザコンです。

りなは幼い頃から復讐に異様なこだわりを持っていました。

「目には目を、歯には歯を」で有名なハンムラビ法典を愛好し、飼い猫をいじめたピアノ教室の生徒を階段から突き落とすなど子どもの頃からクレイジーな復讐を重ねてきたりなに、姉は「復讐の申し子」の異名を送りました。しかしりなは自分をサイコパスだとはこれっぽっちも思ってません。「復讐は誰の為?」なんて愚問です、自分の為に決まっています。さらに言えば自分が気持ちよくなる為なのです。

そんな普通と少しズレたりなが、ある日突然災難に見舞われます。音楽を聴きながら下校中、正体不明の通り魔に襲われてしまったのです。幸い軽傷ですんだものの、りなは卑劣な通り魔に復讐を誓い、犯人捜しを始めました。

唯一のヒントは通り魔が犯行時に呟いた言葉、「ラメルノエリキサ」。一体誰が何の目的でりなを襲ったのでしょうか?その真相は彼女の想像を絶するものでした……。

著者渡辺 優 出版日

復讐の申し子・小峰りなのエゴイスティックな生き方に憧れる

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ずばり本作は「復讐者による復讐者のための復讐の教科書」

正直りなの印象は賛否分かれます。逃げていく通り魔に叫んだ言葉が「お前絶対ぶっ殺すからな!」なあたり、エキセントリックなキャラクター性が伝わるのではないでしょうか。

何が何でも復讐を完遂しようとするりなにドン引きし、「サイコパス」「ゲスの極み乙女」と批判するレビューも少なからず見受けられました。一方で絶対泣き寝入りをせず、自分が受けた不愉快をきっちり叩き返す信念に痺れ、絶賛していた読者も少なくありません。

個人の私怨による復讐は許されざる行いで、犯人の裁きは警察に委ねるべき……法治国家に住んでいる以上、我々も頭では理解してます。

では何故復讐をテーマにした勧善懲悪のフィクションが、こんなにも流行っているのでしょうか?

答えは簡単、復讐はとても気持ちいいからです。見ていてスッとするからです。

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