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休日のお出かけは、東京タワーのeスポーツパークでサイバーボッチャ!

パラサポWEB

続けて先攻の住本さんがジャックボールをめがけて赤いボールを転がすと、お見事、ジャックボールのすぐ近くでストップ。すると、上に取り付けられているセンサーがジャックボールとの距離をミリ単位の精度で自動計測し、前面のモニターに表示してくれた。競技のように審判に計測してもらう手間がかからないのも、『CYBER BOCCIA S』ならではの特徴。

ジャックボールとの距離はわずか13.29cm。さすが開発者の住本さん!

次は後攻の高柳が青いボールをストローク。ボッチャ初体験となる高柳だが、ビギナーズラックが起きたのか、住本さんの赤いボールを押し退けてさらに近くへとアプローチ。

目視では、ほぼ同じくらいの位置にあるように見えたが、僅差で高柳がリード

ボッチャでは、ジャックボールから遠い方のチームがボールを投げ続けていくルールになっているため、次は赤チームの住本さんの投球に。この要領で6球ずつを投げ、最終的にジャックボールに最も近いボールを投げた方に得点が入り、勝者となる(実際の競技ではこれを4~6回繰り返し、得点の多い方が勝利する)。得点は、ジャックボールに最も近い敵側のボールとジャックボールの間に残った勝者側のボールの数で計算する。

頭ではわかっていても、目標球に近づけるように投げるのは意外と難しい

ボールの色や高さ、距離をリアルタイムに自動計測してくれるセンシング機能に加え、ボッチャの戦略性やゲーム性を美しくビジュアライズ化している点も『CYBER BOCCIA S』ならではの魅力だ。次に投球するチームをスクリーン上に表示してくれたり、投球中のチームのカラーをLEDで照らすことでゲームの盛り上がりも演出してくれる。また、ゲームのクライマックスに向けて、音楽も徐々に盛り上がっていく仕組みも面白い。

次の投球者が青チームだと教えてくれるモニター スローイングラインに付けられたLEDライトが、投球中のプレイヤーのカラーを浮かび上がらせる

初めて挑戦した感想は、ビリヤードやダーツのような知的好奇心を刺激するゲーム性がありながらも非常に親しみやすく、何度でもやりたくなる中毒性があるということ。ボールを弾ませてジャックボールに近づける「ジャンプ」や、密集したボールの上にボールを乗せる「ライジング」といった独自のテクニックもあるなど、知れば知るほど奥深い魅力がある。とはいえ、感覚的に楽しめるゲームなので、友だちや家族で対戦すれば、思わず熱中してのめり込んでしまうのは間違いないだろう。

効かせたのは、「面白いと思って調べたら、実はパラスポーツだった」というギミック

ワントゥーテンが設計およびデザインを担当したパラサポのオフィス。「 i enjoy ! (楽しむ人は、強い)」というキーメッセージを掲げ、パラスポーツの魅力や世界で活躍するアスリートをアピールする場所として機能した

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そんな新感覚なアトラクション『CYBER BOCCIA S』を開発したのは、日本財団パラスポーツサポートセンターのオフィスデザインやプロモーションも手掛けたクリエイティブスタジオ、ワントゥーテンだ。デジタル技術を駆使した新サービスの開発やプロジェクションマッピングを活用したデジタル演出など、クリエイティブとテクノロジーを融合させた独自のコンテンツやソリューションを展開している。

『CYBER BOCCIA S』は、同社が2017年から始動したパラスポーツとデジタル技術を融合させたプロジェクト「CYBER SPORTS(サイバースポーツ)」の一環として生み出されている。先述の住本さんは、その開発理由について次のように語ってくれた。

ワントゥーテンのプロデューサーとして、「CYBER SPORTS」プロジェクトを統括し、『CYBER BOCCIA S』の開発にも携わった住本宜子さん

「東京2020パラリンピックの開催に向け、一般の方たちにもパラスポーツに興味を持ってもらいたいと考えたのがきっかけです。これまでに触れ合ったり、観戦する機会もなかったパラスポーツを自分ゴトとして捉えてもらうには、パラスポーツの面白さやパラアスリートたちのすごさをゲーム化し、エンタメ体験として味わってもらうのが一番だと思ったんです。

そのなかでボッチャを題材にしたのは、実際にプレーしてみると、戦略性もゲーム性も高い競技でありながら、老若男女、障がいの有無を問わず楽しめるスポーツだから。誰でも気軽に楽しめることをコンセプトに、ビリヤードやダーツといったバーで遊べるクールなナイトスポーツをイメージして開発しました。最初からパラスポーツであることを全面に押し出すのではなく、やっているうちに『このゲームは面白いな! なんていうスポーツなんだろう?』と調べてみると、実はパラスポーツだったという展開の方が気づきもあるし、印象に残ると思ったんです」(住本さん)

『CYBER BOCCIA S』の魅力は、どちらが勝っているのか戦局が読み取りづらい、審判がその都度メジャーやコンパスを使って計測しないとゲームが進行しないといった、ボッチャがいまひとつ盛り上がらなかった問題点をテクノロジーの力で解決し、ビジュアルやサウンドの演出でよりエンターテインメント性の高いゲームに仕上げたところにある。それは障がいのある人と健常者の間にある見えない壁を取り払い、みんなで楽しめるスポーツを開発したいと願う住本さんや開発スタッフの志があったからこそ得られた進展に違いない。

こうしたパラスポーツを身近にする取り組みの一つひとつが、障がいへの偏見をなくし、社会にダイバーシティ&インクルージョンを根付かせる足がかりとなってくれる。これまでパラスポーツに挑戦したいと思っていてもなかなかやる機会を持てなかったという人は、ぜひ『CYBER BOCCIA S』で楽しみながら挑戦してみてはいかがだろうか。

text by Jun Takayanagi(Parasapo Lab)
photo by Yoshio Yoshida, 1→10

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