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【三浦泰年の情熱地泰】静学同級生の前で敗戦…悔しくて辛い、しかし笑いが舞った不思議な夜

SOCCER DIGEST Web

【三浦泰年の情熱地泰】静学同級生の前で敗戦…悔しくて辛い、しかし笑いが舞った不思議な夜

 7月に入った。最近では梅雨が最も短く感じた6月から、57歳の誕生日を迎える7月に突入した。

 鈴鹿ポイントゲッターズは百年構想クラブの資格を剥奪され、今シーズンのJリーグ昇格を果たせなくなり、また今年の11月に再申請し、再来年の昇格を目指すことになった。
 

 そんな中だからこそ、何よりも大事になった7月2日(土)のJFL第14節の奈良クラブ戦は、ホームで0-4の大敗。支えてくれているステークホルダー、ファン、サポーター、市民のため、暑い中、四日市にこのような状況になってもスタジアムに足を運んでくれた人たちのために、何がなんでも勝ちたかった試合にあっさり敗れてしまった。

 決して、気持ちやモチベーションなどのせいにしてはいけない。しっかりと自分たちの力を受け止めて、この先のシーズンを闘い抜かなければならないと思っている。

 この日は静岡学園時代に一緒だったサッカー部の同級生が観戦に訪れてくれた。彼らとは39年前、全国高校サッカー選手権の静岡予選を一緒に戦った仲間。静岡代表を決める決勝戦で悔しくも清水東に1-6で負けた。ともに痛い想い出を分け合っている同志なのである。

 18歳から39年が経ち57歳になるのだから、高校を卒業して以来39年ぶりに会うことになった奴もいる。10人が3年間辞めずにサッカー部を卒団したのだが、そのうちの5人が鈴鹿に車で相乗りし、観戦に来てくれたのだ。

 静岡学園は、今でこそ部員が各学年100人を超えるという大所帯の名門であるが、僕らが通っていた頃は1学年で20人もいない。僕の3年間は厳しかったこともあり、3学年で40人いたであろうか……。

 そんな難しい時期に、全ての大会で決勝に進んだ。新人戦、総体(インターハイ)、選手権。だが、静岡の3大会で優勝できたのは新人戦のみで、全国大会出場の夢は叶えることが出来なかった。

 この鈴鹿に来れなかった仲間の名前をふと思い出し、皆で「ひとり足りない」と笑って話し込んだ。その足りない同級生は、大島や旗手、長谷川(現在横浜FC)といった静学の卒業生や、三笘などを発掘して川崎フロンターレに入団させた。一番の出世頭である向島建を忘れて、皆で笑いながら昔を懐かしんだ。
 
 副キャプテンの川村尊之は中学から同じで、本当の実力者だった。彼がいなければその時のチームは常勝にはなれなかった。彼は東芝の実業団でプレーして、清水エスパルスに誘われたが断った。

 もう1人は馬場芳浩。彼は法政へ進みANAの実業団でプレー。彼も中学から同じで優しい巨人だった。

 塩野真は金沢からサッカー留学して来た。クラスが同じであったが、グラウンド外のキャプテンのように明るい性格だった。

 中野直樹は皆、「ミーシャ」と呼んでいたが、彼は向島と同じくらい小さかったが、それでもセンターバックを務められるほど、凄くクレバーな選手だった。彼とは39年ぶりの再会であった。
 

 もう1人は岩崎武道(旧姓 浅原)彼は選手権で相手の先制点に絡んでしまった選手だったが、新人戦、インターハイでセンターフォワードを務めて得点を量産し、冬の選手権時はサイドバックを務めたポリバレントな選手だった。

 冗談で「お前らが来たから負けたんだ」から始まり、疲れるまで一緒にサッカーの話から昔の話まで……修学旅行で起きた事件の真相を明かしながら、忘れられない数時間前の悔しい敗戦を忘れさせてくれると思いきや試合分析をトコトンされた。静岡の人たちは本当にサッカーのことになると凄い勢いで意見を言う。

 そんな日は本当に久しぶりだ……。

 先制点を奪われて動揺し、その試合の修正が効かなくなる。微妙な判定もあったからだ。

 静岡学園時代に、40年も前に起こったことと似たような奈良戦でのシーン。オフサイドの旗が上がった判定がそのままゴールとなり、難しい試合展開になっていった……。もちろんフラッシュバックのように思い出されるシーンだ。

 選手権の静岡代表を決める試合と、JFL第14節で行なわれた試合がオーバーラップして、見に来た彼らに昔のほろ苦い場面を思い出させた。

 同級生たちが見に来ていることは、試合中は忘れていた。19時に近所の焼肉屋で待ち合わせ、乾杯の音頭。乾杯(完敗)はサッカーの世界では御法度(ごはっと)だから、発声は「ゴール」でお願いします。とスタートさせ、じゃあ帰るわ!まで

「勝利を見せたかった」とずっと思っていた。

 39年ぶりに会うにはピッタリな嫌、皮肉な試合だった。同級生は皆、あの頃よりも老けていた……。でも、心はそのまま純粋なサッカー小僧。

 彼らは「また来る」と言って帰った。

 次は必ず勝利を見せたい。それか正直に「もう見に来ないでくれ!」と頼むか……。

 彼らの前で良いサッカーが出来なかった。悔しい辛い夜に、しかし笑いが舞った。そんな変わった夜だった――。

2022年7月5日
三浦泰年
 

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