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【小説】薄暗い構内を歩く女性に突如背後から声をかける男。女を驚かせた目的は…

幻冬舎ゴールドライフオンライン

※本記事は、深月雪瑛氏の小説『願わくは今この瞬間が、ささやかな幸せのはじまりでありますように』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

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「真弓」

ようやく休憩に入ることができた真弓と愛結香は、疲れと空腹で休憩室のパイプ椅子にぐったりと腰掛け、放心状態になっていた。

「あいつー、仕事増やしてくれちゃって……なんて名前だっけな?」

愛結香がため息交じりに言った。真弓は思わずプッと吹き出してしまった。

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「愛結香ちゃんニコニコして『大丈夫ですー』とか言ってたじゃない!」

「そうなんですよねー。男子相手だとつい愛想よくしちゃうんですよね。私」

愛結香が頭をコリコリとかきながら笑った。真弓は愛結香のこういうところが憎めなくて好きだった。

愛結香は二十七才で子持ちのパート社員だ。二才の子供を保育園に預けて働くママだ。真弓が彼にふられて傷心していた年齢に愛結香は出産していたのだ。

真弓はかわいらしい童顔の愛結香を見つめた。なぜだかすごく頭が下がる思いがする。私はいったいなにをしていたんだろう。そして今も、なにをしているんだろう。なんともやるせないような、ちょっと胸がつまるような気持ちになった時、愛結香がサンドイッチを両手に一つずつ持って言った。

「佐々木さん、かっこよかったですよ!」

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