6月23日から26日まで開催された、自転車競技・ロードレースの全日本選手権大会。前回の全日本に続き、広島空港に隣接する中央森林公園サイクリングコースを舞台に開催された。
同時開催の「2022全日本パラサイクリング選手権・ロード大会」は24日、個人タイムトライアル(12km)が行われ、各カテゴリーの日本一を争った。
実力者の藤田がライバル対決を制す
13人が出走したパラサイクリングは、男子C1-5(自転車競技)の藤田征樹(C3)が一番手でスタートしてそのまま先頭を譲ることなく、一番でフィニッシュした。

時折、強い風が吹いたが、ベテランは落ち着いていた。大粒の雨が降ったり、太陽が照りつけたり、12㎞を走る中で天気も目まぐるしく変化。「雨は少しひやっとしたが、路面が濡れる前に止んでくれたので、影響はなかった」と振り返り、昨年からタイムを約16秒短縮する18分34秒29でフィニッシュ。難コースのポイントを暗記して挑んだだけに、「もう少しタイムを伸ばしたかった思いはある」と悔しさをのぞかせた。
それでも、右足一本で自転車を漕ぐ川本翔大との勝負に勝ち、連覇したことに話が及ぶと、笑顔が広がった。「勝負に勝つことが今大会で大事なことだった。川本選手のタイムもよく、(係数をかけたタイムでは)僅かな差だったけれど、2連覇できてうれしいです」
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勝負にこだわるのは、7月のワールドカップ、8月の世界選手権を見据えているからだ。
「世界戦のロードレースでは最後のスプリント勝負でヨーロッパ勢に負けている。メダルに絡めるよう準備をしたい」と力を込めた。

ロードの女王も進化を止めない
さらに、東京パラリンピックのロードで2つの金メダルを獲得した杉浦佳子(C3)も、“パラサイクリングの顔”として自身の進化をアピール。昨年からタイムを約54秒縮め、連覇を「5」まで伸ばした。

国内では敵なしの杉浦だが、フィニッシュ後、「怖かったよー-!」と叫び、正直な気持ちを吐露した。
中央森林公園のコースは、アップダウンに富み、道幅も狭く急カーブもあるテクニカルなコースだ。そのため、コーナーでもスピードをいかに落とさずに走るかがタイム短縮のカギとなる。
前日に試走したコースレイアウトを頭に浮かべ、恐怖と戦いながら難コースを攻め終えた安ど感は相当なものだったに違いない。