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熱中症が起こりやすい環境

高校野球ドットコム


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 本格的な夏の到来を感じさせる毎日が続いていますが、皆さんは体調など崩さずに過ごしていますか? 上級生にとっては高校野球生活の集大成ともいうべき大会を控え、いろいろな思いがあることでしょう。自分のベストを出し尽くせるように体調管理に気をつけ、よいコンディションを保つようにして心がけてくださいね。さて今回は熱中症が起こりやすい環境について考えてみましょう。環境を知ることで事前に対策をとり、熱中症を予防することにつながればと思います。

夏の暑い時期だけとは限らない

持ち運びに便利な熱中症指標計を活用しよう

 熱中症は体温調節がうまく働かないために起こるものですが、体温を上手に逃がすこと(熱放散)ができれば熱中症を防ぐことができます。外気温が高い夏の時期は、熱放散がしにくい環境であると想像できますが、この他にも湿気が高くジメジメとした日や、風がほとんどない暑い日なども熱放散をしにくいため、熱中症が起こりやすいと考えられています。さらに梅雨の晴れ間や、梅雨明けを迎えて急激に気温が上昇したときなどは、体が暑さになれていないことが多く、体温を上手に逃す機能(発汗等)がうまく働かないために熱中症になりやすいことが指摘されています。

 毎朝の天気予報で天候や気温を確認することはもちろんですが、湿度や前日との気温差、風の有無などもあらかじめ知っておくと「熱中症になりやすい環境かどうか」が判断しやすいと思います。

暑さ指数(WBGT)を知ろう

 気温だけではなく、さまざまな要因が熱中症になりやすい環境をつくり出すため、近年は熱中症の判断基準となる暑さ指数(WBGT)が注目されています。

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 暑さ指数(WBGT)とは人間の体温と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、気温、湿度、日射・輻射熱(ふくしゃねつ)、風の要素をもとに算出される指標です(輻射熱とは地面や建物・体から出る熱のことで、温度が高い物ほど多く発生します)。計算式は「気温:湿度:日射・輻射熱」=「1:7:2」(屋外)、「湿度:日射・輻射熱」=「7:3」(屋内)と、それぞれの環境で多少違いがあります。ちなみに通常の天気予報で発表される気温は一定の気流のもと、日陰で測定されていることを覚えておきましょう。WBGTは気温と同じく「℃」で表示され、28℃を超える場合は熱中症になるリスクがかなり高い環境であるという判断になります。

運動時の目安となるWBGT

キャッチャーは防具が熱放散の妨げとなることがあるので特に注意しよう

 WBGTを知るためのツールとしては熱中症指標計があります。本格的なものであれば7000円程度~、簡易的なものであればそれよりも安価で購入することが可能です。WBGTを用いた指標としては、日本スポーツ協会による「熱中症予防のための運動指針」があり、暑さ指数に応じて注意事項が示されています。

《熱中症予防のための運動指針より》
・31℃以上(運動は原則中止)…特別な場合をのぞき、運動は原則中止を推奨する。特に子供の場合は中止すべき
・28~31℃(厳重警戒)…激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。こまめな水分・塩分補給を行う。体力レベルの低い人、暑さに慣れていない人は運動を避ける
・25~28℃(警戒)…積極的に休憩をとり、適宜水分・塩分を補給する。激しい運動を行う場合は30分を目安として休憩をとる。
・21~25℃(注意)…運動の合間に積極的に水分・塩分補給を行う。WBGT21℃以上では、熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。
・21℃未満(ほぼ安全)…熱中症の危険性は少ないが、運動時の水分・塩分補給は必ず行うこと。

熱が体にこもりやすいキャッチャーは要注意

 熱中症が起こりやすい環境は気温だけではなく、湿度や輻射熱、風などさまざまな要因が挙げられます。とりわけキャッチャーはそのポジション特性から熱中症のリスクが高いことが考えられます。その理由としては、キャッチャーは防具をつけてプレーをする機会が多いため、運動によって体温が上昇しても防具が熱放散を邪魔してしまい、熱が体にこもりやすいこと。そして野手の中でも唯一座ったポジションをとるため、地面からの距離が近く、日射・輻射熱の影響を受けやすいことなどが挙げられます。

 熱中症は、環境、個人のフィジカルコンディション(体調)、実際の行動(運動や水分補給など)の条件によって発症リスクは変化します。選手の皆さんができることは、まず自分自身のコンディションを整え、熱中症対策としての水分・塩分補給などを行うことです。そしてスポーツ現場にたずさわる皆さんが熱中症が起こりやすい環境を知っておくことは、熱中症の予防や対策に役立ちます。暑さ指数などを目安にしながら、十分に配慮してプレーを行ってくださいね。

参考ページ)
・熱中症環境保健マニュアル(環境省)
・熱中症予防情報サイト(環境省)
・熱中症予防のための運動指針(日本スポーツ協会)

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