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芝翫×菊之助らの名作義太夫狂言に、梅玉×孝太郎の多幸感溢れる舞踊劇『四月大歌舞伎』第二部観劇レポート

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今回、十次郎を勤める菊之助も存在感を放っていた。最初は真っ赤な着物に紫の裃で登場する。武士(もののふ)のイメージと直結しづらい初々しさと、浮世離れした美しさだった。梅枝の初菊と揃うと、二人の若さはより際立ち、不安なほどの儚さ。深傷を負って帰ってきてからは、着物や抜き身の刀についた生々しい血痕さえ美しいものにみせていた。それらは芝翫、東蔵、魁春らが手堅く構築するお芝居に、鮮烈な色味を重ねていた。

先月行われた取材会で、芝翫は「光秀は役者により、色々なやり方のある役」と語った。額の傷痕は「演じる役者によりカーブの向きが違う」と説明しており、観劇時、芝翫の傷も前回公演とは逆向きのカーブで描かれていた。俳優ごとのバリエーションは、登場時の顔を上げた時や、竹槍の仕上げ方、中の様子をうかがう時の動きなどにみられるという。歌舞伎としての初演は、1800(寛政12)年 。それ以来、220年にわたり過去の名優たちが工夫を重ねてきた。試行錯誤を重ね名作として受け継がれる、現在進行形の古典の今を見逃さないでほしい。

■仲良し夫婦の風俗舞踊『団子売』

梅玉が本興行で杵造を勤めるのは、1966年4月の歌舞伎座以来、55年ぶり2度目。孝太郎は10回目のお臼役だが、梅玉の杵造とは初共演だ。

浅黄幕が振り落とされると、そこは大坂の天神橋前。団子売の夫婦、夫の杵造(梅玉)と妻のお臼(孝太郎)が登場し、臼を出し、杵と臼でお餅をついてお団子を作る。一人ずつの柔らかな舞踊、二人の息のあった舞踊、そしてにぎやかな演奏に心が弾む。

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おめでたい演目とされる理由は、歌詞にある。仲睦まじい夫婦を描く中で、杵を夫に、臼を妻に、そこから次々にでき上がるお団子を子どもに見立てて子づくりをイメージさせたり、夫婦の和合を想像させるフレーズも含まれているのだ。“そういう目”で見はじめると、杵造の男ぶりに色気が増す気もするし、お臼のふとした愛らしい仕草がさらに艶っぽく見えてくるような気もする。しかしそこに猥雑さはない。大人向けのユーモアは、江戸時代の大らかな空気を想像させる。惜しみなく振舞われる二人の幸せオーラに、 ほんわかと心が満たされる一幕だった。

■2021年『四月大歌舞伎』は28日まで

歌舞伎座は感染症対策として、現在も客席使用率を50%とし、一部の並び席を除いて前後左右が空席となる。各部が終わるごとに客席の消毒が行われる。開場中は、客席での私語や食事を控えるよう案内スタッフがパネルや館内放送で呼びかけていた。『四月大歌舞伎』は東京・歌舞伎座で4月28日(水)千穐楽まで。

取材・文=塚田史香

※公演が終了しましたので舞台写真の掲載を取り下げました。

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