top_line

【 最新ニュースをアプリでサクサク読むなら! 】

「帰る希望捨てていない」 ウクライナから避難、生活のため飲食店開いた一家が語る母国への思い

J-CASTニュース

ウクライナ料理店「Babusya REY(バブーシャ レイ)」が2022年4月28日、東京の吉祥寺駅近くにあるビルの2階にオープンした。ロシアの軍事侵攻が始まって、ウクライナ東部のドネツク州から避難してきたエウゲニアさん(35)や、日本に在住している妹のヴィクトリヤさん(29)、2人それぞれの夫の4人が主に店を切り盛りしている。土日祝日の11時~15時限定で開くこの店は、本格的なウクライナ料理が食べられるとSNS上でも話題に。J-CASTニュースは、「Babusya REY」を開くまでの経緯や今後の展望などについて、店で働く4人にインタビューした。

「ロシアが軍事侵攻してくるなんて絶対にないと信じたかった」

「ロシアが軍事侵攻してくるなんて絶対にないと信じたかった」。エウゲニアさんは2月24日、戦争が始まったことをニュースで知ったという。避難する予定は当初なかったが、自宅から700~800メートル離れた場所に爆弾が落ちてきたり、知人が戦禍に巻き込まれて犠牲となったりしたことで「ここにはいられない」と感じ、妹のヴィクトリヤさんが住む日本への避難を決断した。

エウゲニアさんの両親であるヴィクターさん(60)とナターシャさん(57)は、ウクライナからの避難を渋っていたという。体に不調を抱えるナターシャさんの母(88)は、長距離の移動が出来ず、6月現在もドネツク州に住んでいる。母を置いて逃げることは出来ないとナターシャさんは最後まで渋ったが、ヴィクトリヤさんが何とか説得し、両親は3月9日に家を出た。

両親に続き、3月20日に家を出たエウゲニアさんは、長男のチョーマくん(12)を連れて他国を経由して避難した時、「銃撃音がずっと聞こえる状況が続いていた」と話した。3月28日に日本に着いてからも、ニュースで流れるウクライナの情勢を見て、常に母国を心配し続けている。エウゲニアさんの夫・アントンさん(36)は、軍事侵攻が始まった時に手術をしており、5月18日に日本に着いた。

「自分たちで出来ることをやりたい」

「Babusya REY」を開業しようと提案したのは、ヴィクトリヤさんの夫である小笠原裕典さん(30)の母だ。小笠原さんは「ぼくたちが保証人になっており、身寄りがある人にはお金が出ないんですよね 。生活していくためにはお金が必要です」と話し、生活を守るためにも店を開くことを提案したのだという。各社報道によれば、国内に身元保証人がいないウクライナ避難民には出入国在留管理庁から1日最大2400円が支給されるが、身元保証人がいれば対象外となる。

広告の後にも続きます

エウゲニアさんらも「みんなにサポートしてもらってばかりではなくて、自分たちで出来ることをやりたい」という気持ちがあった。小笠原さんはウクライナ料理を食べて「自信を持ってこれだったら日本の人に勧められる」と確信したと言い、料理店に決めたという。

小笠原さんの母が経営するバーの場所を借りて、ナターシャさんが仕込んだ料理を、ヴィクトリヤさんやエウゲニアさんら4人が店で調理している。「Babusya(バブーシャ)」はウクライナ語でおばあちゃんという意味で、バーの店名「REY-II」の「REY」を繋げた。ヴィクトリヤさんは「もっとたくさんの人にウクライナ料理を味わってほしい」と話し、小笠原さんは「日本にウクライナ料理が根付けば、もっと日本の食文化が豊かになるんじゃないか」と話す。

エウゲニアさんらには「もし帰れるようになるのであればウクライナに帰りたい」という思いもある。アントンさんは「店で働く時間は『家族を支える時間』です」と話し、元々船乗りをしていたため、本当は自分の仕事を見つけたいのだという。小笠原さんも「まずは今みんなが生活をしていくために出来ることをやっている」と話している。

エウゲニアさんらの生活については、日本に避難してから都営住宅に入居し、平日は週に4回、語学学校に通っている。長男のチョーマくんも5月から近所の中学校に通っているという。今後どうなるか分からない状況の中で不安を抱えつつも「帰る希望は捨てていない」と、エウゲニアさんは話した。

TOPICS

ジャンル