「響、テレビはいったん消してさ、お肉に塩、胡椒してくれない?」
それはある週末の、大胡田家の光景。
エプロン姿の父・誠さん(45)に呼ばれて、長男・響くん(9)が台所にやってきた。耳をそばだてるようにして、息子が隣に立ったことを確認すると、父は「はい、これ」と2つの調味料入れを手渡す。だが、大好きな野球中継を中断させられた小学4年生は、少しむくれた顔でそのうちの1つを突き返した。そして、少しぶっきらぼうにこう告げた。
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「パパ、違うよ、これ塩じゃない」
そんな2人のやりとりを眺めていた長女・こころさん(11)が、すかさず口を挟む。
「パパ、せっかくだからさ、おいしいほうの塩、使おうよ」