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前橋育英監督が選手に伝える“後輩”山本昌の継続力。「1日15分を変えると人生劇的に変わる」を体現

ベースボールチャンネル

前橋育英監督が選手に伝える“後輩”山本昌の継続力。「1日15分を変えると人生劇的に変わる」を体現

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 いよいよ全国各地で甲子園予選がスタート。群馬県でも7月9日から熾烈な出場争いが繰り広げられる。2013年に全国制覇を成し遂げ、甲子園常連校にも数えられる、荒井直樹監督率いる前橋育英高校は今年も甲子園出場が期待されている。6月21日に発売となった『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(田中夕子構成)から内容を一部抜粋して公開する。

 

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情報過多の時代に

 あの頃はこうだった、と昔話をするのは好まない。何しろ、私が現役時代という大昔と比較するまでもなく、前橋育英の監督に就任した当時と今を比べれば、取り囲む環境も含め、むしろ変化したことばかりだ。
 
 たとえば情報量。パソコンやタブレット、スマートフォン、いつでも気軽にインターネットで世界中の情報をリアルタイムで収集することができる。それこそ監督の話やアドバイスなど聞かなくとも、必要な情報を得ようと思えばいくらでも得られる時代だ。かつては専門書を開かなければわからなかったことも、映像で見ることができるし、トップ選手の映像もリアルタイムでテレビにかじりつかなくても、見たいものだけをピックアップして見られる。何とも恵まれた環境だ。
 
 とはいえすべてがいいことばかりではない。情報量が莫大になればなるほど、何が必要かわからなくなることもある。
 
 典型的なのが、練習中に「どうだ?」と声をかけるたび、毎日違うことを答える選手だ。

 同じことを、同じように聞いても、昨日はこう言っていたのに、今日はこう答えるか、とこちらが聞き間違いかと思うほど、答えが変わる。裏を返せば、正解がわからないけれど情報だけはある。あれもこれも、と入ってくるものすべてを試したい。試さなければいけない、と混乱している証拠でもある。
 
 そういう選手に対してどう接するか。まずはどんな情報を見ているのかを聞く。「見るな」と言っても無理だ。むしろこの時代に「情報を遮断しろ」と言うほうがはるかに難しいのだから、見ている動画の種類を聞き、さりげなく加える。
 
「そうか、それもいいけどYouTubeを見るなら山田哲人のバッティングとか、見逃し方を見たほうがいいんじゃないか」

情報溢れる今でもあえて話す、山本昌の継続力

 そこにプラスして、昔話は好きではないが、自分のことではなく、かつて一緒にやってきた選手の具体例を伝える。よく例に挙げるのが、日大藤沢高の後輩である山本昌と、いすゞ自動車の後輩キャッチャーの松本洋介の話だ。
 
 1学年下の山本昌は高校時代、コントロールはよかったが身体も細く、力がある選手かと言えばそうではなかった。そのためリストを強くし、身体を鍛えるために、トレーニングを勉強し、2キロのダンベルを二つ、購入したという。そしてそのダンベルを使ってできるトレーニングから7〜8種目をピックアップし、その中から寝る前には毎日必ず3種目程度を右、左、それぞれで行ってきた。
 
 時間にすればわずか5分ほど。「それぐらいなら自分にもできる」と思うかもしれないが、彼はそれを高校時代だけでなく、中日ドラゴンズに入ってから引退するまで毎晩続け、常にどんな遠征へ行く時もダンベルを持って移動するため、移動用のバッグが壊れて叱られたこともあった、と言うほどだ。

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 継続は力なり、とはまさに言ったもので、プロ野球選手を引退するまでの35年間同じことをやり続ける。「1日15分を変えると人生劇的に変わる」と言われたことがある。たとえば草むしりを、1日15分やるのと1年に3日半やる。かける時間は同じだが、ずっときれいな庭を見れば心はきれいになる。まさにその姿勢こそが、山本昌のすごさと強さであり、その具体例を出すだけで選手にも「継続の大切さ」は伝わるはずだ。

昔の選手がやってきたことを「今の情報に融合して」ヒントに

 いすゞの松本も、山本昌とはまた別の意味で見習うことの多い、面白い選手だった。
 
 いすゞが休部後、西濃運輸へ移籍し、キャッチャーとしてマスクをかぶり続けた。「ワンバウンドしたボールはどう止めるんだ?」と尋ねると、「バウンドした場所を見ればどこに来るかわかるんです」と答える、天才的な感性を持った選手だったが、それだけよく「見る」ことを大切にしていて、この1球だけは絶対逸らすわけにいかない、と思えばたとえバッターが振るバットに頭が当たろうと、身体を投げ打ってでも捕りに行く覚悟がある。そんな強さと熱さを持った選手だった。
 
 何より彼のすごさを感じたのは、打たれても絶対にピッチャーのせいにしないことだった。現に都市対抗野球に出場して、一番大事な場面で決勝打を打たれた後、彼はピッチャー陣が集まっている場に行ってこう言ったそうだ。
 
「俺が悪かった」

 昔はこうだった、といつまでも言い続けるのは好まないが、昔の選手がやってきたことから伝えられるものはある。自分の話を振り返れば失敗談しかないし、言えるような話はないが、今の情報に融合して何かヒントとなるならばいくらでも提供する。
 
 ただし「今の若いモンは」と言い出したら負けだ。実にかっこ悪い(笑)。それだけは、何があっても言わないように心がけている。

 
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