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年収1,000万の28歳女。結婚相談所の相談員の男に思わず…?

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年収1,000万の28歳女。結婚相談所の相談員の男に思わず…?

年収“8ケタ”(1,000万円以上)を稼ぐ女性たち。

給与所得者に限っていえば、年収8ケタを超える女性の給与所得者は1%ほど。(「令和2年分 民間給与実態統計調査」より)

彼女たちは仕事で大きなプレッシャーと戦いながらも、超高年収を稼ぐために努力を欠かすことはない。

だが、彼女たちもまた“女性としての悩み”を抱えながら、日々の生活を送っているのだ。

稼ぐ強さを持つ女性ゆえの悩みを、紐解いていこう――。

▶前回:年収1,200万円・商社勤務の36歳女。週末の韓国弾丸旅行の代わりに見つけた“新しい目標”とは?



File3. 亜紀、年収1,000万円。製薬会社の研究員が欲しいもの


― 今日は新薬開発の実験計画書のレビューだわ。再レビューにならなければいいけれど…。

朝、目覚めて早々にこんなことを考えながら、亜紀はベッドから出て洗面台に向かう。

「ホント、我ながら何て薄い顔なのかしら…」

洗面台で顔を洗いながら、思わずつぶやいてしまう。

亜紀は、新卒で入社した製薬会社の研究員として働いている。仕事柄、ほぼノーメイクが原則。ネイルなどもちろんNGだ。

「ホントは私だって、もっとメイクしてキレイにしたいのに…」

以前は、この顔立ちをさらに悪目立ちさせてしまう薄化粧で、電車に乗るのが苦痛で仕方なかったのだ。

コロナ禍の今は、自分の薄い顔をマスクが覆ってくれることが、心底ありがたいと思っているほどだった。



亜紀が就職活動で製薬会社への入社を決めたのは、大きな理由がある。

それは、一定のニーズが常にある職種のため、高年収が約束されていること。

製薬会社の研究職は毎年高倍率だが、理系の大学院を優秀な成績で卒業した亜紀は、その狭き門をくぐり抜けて入社することができた。

もちろん、製薬会社の研究職として働くにあたっては、トップレベルの医学・薬学・理化学の知識が求められる。最新の情報を集めながら、通常業務と並行して研究活動をしていくことも必須だ。

でも、その仕事で得られる充実感と高年収と比べれば、そんな努力など当たり前だと亜紀は考えていた。


高年収の亜紀が決断した“あること”とは…?


新型コロナウイルスの影響で多くの企業が業績を落としている中、ワクチンや新薬開発で数少ない「勝ち組」といえる製薬業界。

そして多分に漏れず、亜紀が勤務する大手製薬会社も業績は絶好調だった。

「今年のボーナス、去年より30%アップらしいよ!」

ボーナス時期を前に、社内ではそんな噂が流れている。

― 去年もよかったけど、今年はさらに多くボーナスがもらえそう…!

製薬研究員という専門職、そして業界全体の活況から、亜紀は28歳にして年収1,000万円を超えている。

亜紀の年齢、しかも女性で、年収1,000万円の大台に乗るのは極めて稀。

そして、高額な年収を誇りながらも、特にお金のかかる趣味を持たず無駄遣いもしない亜紀は、すでに貯蓄もそれなりに築いていた。

製薬会社での新薬研究の仕事は、時に多忙を極めることもあり決して楽とは言えない。

だが、仕事を通じて世の中に確実に役に立つことができ、自分の能力を存分に生かすこともできていて、とても充実したキャリアを築いていると自負している。

しかし、その一方で…亜紀のプライベートは悩みだらけだった。



亜紀の悩み。

それは、恋愛がかなりご無沙汰になってしまっていること。

28歳という年齢もあり、亜紀の周りでも結婚する友人が増えてきている。友人の結婚報告を受ける度に、『おめでとう』と送るメッセージとは裏腹に、心の寂しさを感じずにはいられない。

「今どき、結婚という形になんて、こだわる必要はない」

こんな世論が存在するのはもちろん知っている。しかし、夫という1人の男性に愛されて必要とされる友人たちがうらやましくて仕方がない。

― 寂しいと言ってばかりではダメ!自分から出会いに行かないと!

亜紀には、こういった“出会いスイッチ”が入る時が、定期的に訪れる。しかし、食事会に励みたくても、多忙を極める亜紀はどうしても仕事で遅れての参加になりがちだった。

何より、自他ともに認める「中の下くらいの、地味であか抜けない女子」の亜紀は、ファッションやメイクで武装する他の女子たちの完全な引き立て役になるのがお決まりだ。

そんな亜紀は、食事会に参加しても男性からお誘いを受けることは皆無。

そして、たまに食事会でいいな!と思う人ができても、亜紀から追っかけては男性に引かれてしまうのが通例だった。

― 仕事も楽しいけれど、それだけじゃイヤ。私だって男性に必要とされたい。もう恋愛に悩みたくない。20代の今なら十分間に合う!

そんな気持ちを抱えた亜紀は、意を決して結婚相談所に申し込むことにしたのだった。


結婚相談所で、まさかの出会いが!?

結婚相談所でのカウンセリング初日。

「はじめまして、カウンセラーの柏木と申します。よろしくお願いします」

端正な顔立ちにスマートな物腰で亜紀を出迎えたのは、柏木という男だった。

「相談所のカウンセラーは自分より相当年上に違いない」と勝手に想像していた亜紀。自分とさほど年齢が変わらないように見える柏木を前に、一気に緊張が走ってしまう。

「はじめまして…。金井亜紀と申します。よろしくお願いいたします」
「緊張されなくても大丈夫ですよ、どうぞお掛けください」

― 何てイケメン!この人、とっても好み!

切れ長の目と180cm近い身長の柏木に見とれていた亜紀だったが、そんな平和な時間もつかの間だった。



「金井さん、早速ですがご結婚に際してどのようなお相手をご希望ですか?

ご自身としてどうしても譲れないポイントがあると思いますが、定性的にも定量的にもお伺いしたいと思います」

― こんなにズバズバと聞かれるものなの…?

こんなにもストレートに聞かれると思わず、亜紀はしどろもどろになりながら答えた。

「ええっと…、そうですね…。年齢は自分と同い年か、少し年上くらいでしょうか?年収も、そうですね…。自分と同じ位は稼ぐ人がいいかな…」

明らかに面食らう亜紀を前に、柏木は亜紀の回答をタブレットのフォーマットに入力しながら、淡々と質問を続けた。

「では条件を具体化していきましょう。少し上とは、何歳までですか?」
「そ、そうですね…。32歳、いや、35歳くらいまでかな?どうでしょうか?」

その亜紀の発言を聞いた柏木は入力の手を止め、左の口角を微妙に下げながらこう言った。

「金井さん、ご自身のことですよ?私に『どうでしょうか?』などと聞かないでください。ご自身で決めることです。

では質問を変えましょう。お相手の職業や勤務先、勤務地のご条件をお聞かせください」

「……」

“ピシャ”という音が聞こえてきそうな柏木の口調に、亜紀は何も言えなくなってしまった。

「金井さん、あなたは結婚したいという思いからこちらにいらっしゃったはずです。私はプロとして、金井さんのご結婚のために最善を尽くしたいと思っています。

ですが、金井さんは『こういう結婚がしたい』というイメージをまったくお持ちではないようですね。そんなことではいいご縁など現れるはずはありませんよ!」

― ちょっと、さすがに言いすぎじゃない?だいたいこっちがお金払っているのに、なんでダメ出しされなきゃいけないのよ!

亜紀はさすがにムッとしていた。それが顔に出ていたのか、柏木は亜紀にこう言った。

「金井さん、初回から少々厳しいことを申し上げてしまいましたね。ですが、すべて金井さんのご結婚のためです。

認識していただきたいのですが、婚活には明確な意志と戦略が必要です。亜紀さんの武器は28歳という年齢です。時間を有効活用しないとあっという間に女性の若さは失われます。

さらに、亜紀さんは同年代の女性にしては高年収ですがこれも厄介で、ある程度であった男性を冷静に判断できるようにならないと、ご自身より年収の低い男にいいように使われてしまいますよ」

柏木の的確な指摘に、亜紀は返す言葉がない。

しばらく2人の間に重い沈黙が流れた末に、柏木が口を開いた。

「金井さんは、おそらく今までずっと『真面目でいい子』で生きてきたのでしょうが、真面目なだけではダメですよ。ご自身の性格もあるかもしれませんが、もう少し戦略的に生きることをお勧めします。

このままでは、結婚相談所でなくても男性にいいように扱われてしまいますよ」

その言葉は厳しいが、柏木が自分のことを思って言ってくれている……瞬時にそう理解できる言葉だった。

― この人、何て素敵なのかしら…。もしかしたら、私の相手はこれから条件で引っ掛けて出会う男性ではなく、柏木さんなのかもしれない。

一瞬そう思いかけたが、即座に「男性にいいように扱われてしまう」という柏木の言葉を思い出した。

柏木にとっては、自分はただのクライアントの1人にすぎない。クライアントの成果を出すために彼は淡々と仕事をしているだけだ。

― あぁ、私ってこういう安直なところがダメなんだな…。

柏木に惚れてしまいそうになるのを思い止まり、1人苦笑した亜紀だった。


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