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「結婚したくても離れられない」「体調が回復するまで待ってもらえないか」研修医たちが苦しむ奨学制度“地域枠”

ABEMA TIMES

 「専門医を目指すとなると働き方が厳しくなると先輩に聞いたので、体調が回復するまで、そのプログラムに乗るのは難しいと感じている。奨学金の規定には疾病による猶予があるものの、双極性障害は完治の難しい病気。問い合わせるのも怖い部分がある。連続して9年ではなく、何歳になっても戻って来ることが認められるなら、いつかは当直勤務をして、義務を果たしたい。決して地域から逃げたい人ばかりじゃないし、制度を使ってよかった、サポートしてもらえているなと思えるような制度になってくれたら嬉しい」。

 しおりさんもまた、入学前に“説明不足”があったと感じている。「留学にも興味があったが、その期間も義務年限に含まれるという説明があったので安心していたが、実際の医師の働き方や医局の実態は高校生の自分には想像できなかったことも多かった。もっと面談などをして話せるような仕組みがあるといいと思う」。

■高校3年生に決めさせて、ダメだったらペナルティというのはどうなのか

 医療制度に詳しい弘前大学医学部講師の本田宏医師も「国が医療費を抑制するため、必要な医師数を意図的に増やしてこなかった。地域枠の学生たちは、ある意味でその犠牲者だと思う」と指摘する。

 「アメリカではメディカルスクールといって、他の学部を卒業した学士が4年間で医療を勉強する医科大学院がある。つまり日本で言えば大学卒が医学部に入るということだ。なぜそうなっているかと言えば、高校卒業の時点で自分に医師として適性があるかどうかを判断させるのが酷だという考えからだ。

 それは私自身も医者をやっていて思うことだが、最近では地域枠に加えて“あなたは将来、産婦人科の医者になりなさい”という決め事まで入れている地域があると聞いている。高校3年生の時にそんなことを決めさせて、ダメだったらペナルティとしてお金を返せというのはどうなのか。

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 また、地方で働くことが魅力的だと思えるよう、働きやすい環境を整える方向に持っていかなくてはいけない。例えば大学のある地域だけではなく、親の面倒を見る場合は実家のある地域でも認めるとか、初めの4年は別なところで研修をして、残りは地元に戻ってくるとか、柔軟なやり方を取り入れられたら良い。あるいは海外にあるような医師の働き方をサポートする医師補助職を入れるなど、様々なアイディアもある」

 その上で本田医師は、次のように訴える。

 「医師不足は地域枠という問題だけでなく、医療事故、たらい回し、最近では女性受験者の差別問題といった問題も生み出したことも忘れてはいけない。2004年に“新卒後研修制度”が導入され、卒業した医師がその大学の医局に入らず病院に行き、そこで研修することにした。すると今度は大学に派遣能力がなくなり、医療崩壊が起きた、ということで大問題になった。

 かつて“無医村”という言葉があったが、これを解消するために医学部の定員を増やしたが、その後また減らしてしまったため、日本全体の医師数はOECD加盟国に比べて13万人も足りていない。そこに地域性の問題が出てくる。もちろん、地域に医師が充足しているのであれば、あえて枠を設ける必要はないし、都市部では人口当たりの医師数が多いが、実は過労死ラインの倍以上の労働時間だという現実がある。だから地域枠の制度を改善するだけの余裕もない。実は厚生労働省は23年度からさらに医学部の定員を減らす予定だった。こんな状況にした責任は大きい」。

 全国の医学生で作る自治体組織「全日本医学生自治会連合」(医学連)去年11月、厚生労働省に改善を求める意見書を提出している。田村大地書記長は「この数年間で締め付けは非常に強くなっていて、高額な利息や違約金をつけたり、国が専門医として認めないというような話が出てきたりと、離脱をさせないためにありとあらゆる手段が取られている」と訴えている。(『ABEMA Prime』より)

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