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元きのこ帝国・佐藤千亜妃の【リリカルな世界観】の原点とは?インタビュー

ホンシェルジュ

さまざまなプロフェッショナルの考え方・つくられ方を、その人の読書遍歴や本に対する考え方などから紐解いていくインタビュー。今回はメジャー1stアルバム『猫とアレルギー』をリリースした、きのこ帝国のヴォーカル・佐藤千亜妃さんに登場して頂きました。(この記事は2015年に公開したものです)

すべては児童文学からはじまった――佐藤千亜妃の原点

繊細だけれど凛としていて、温かいけれど憂いを帯びている。憎しみや愛や後悔は、きのこ帝国のヴォーカルで作詞作曲も手がける佐藤千亜妃によって時に愛らしく、時に頬を殴られるような作品になる。どのジャンルにも固定されないオンリーワンの疾走感。そんな作品群を生み出す彼女を、作り上げてきた本とは。

―― 今日は読書遍歴をお聞きして、きのこ帝国が持つ独特な世界観を知ることができればなと。

佐藤千亜妃(以下、佐藤) 音楽遍歴じゃなくて読書遍歴。良いですね、新鮮です(笑)。

―― まず『クレヨン王国 月のたまご』。個人的には小学生の頃、日曜の朝に見ていたアニメ『夢のクレヨン王国』のイメージが強いんですけど、同世代の佐藤さんとしてはどんな思い入れがありますか?

佐藤 クレヨン王国、実はアニメは興味がわかず、観てないんですよ……(苦笑)。原作はたくさんのシリーズがありますが、今回セレクトした『クレヨン王国 月のたまご』は、1作目が発売された1986年から約20年という歳月を費やして書かれた大作。完結編が出たあたり(2005年)はもう小学生でもなかったんですが、すぐに買って読みました。

著者福永 令三 出版日1986-01-10

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―― 今改めて読むとキャラクターひとりひとりの個性が際立っていて、物語も重厚です。

佐藤 この作品って、さまざまな出会いが描かれているじゃないですか。でもPART1だけを読むと結局は「別れ」にスポットが当てられた悲しい物語。その終わり方が美しくて悲しくて、自分的には「やられた」と。なんか、ちょっとずつ不穏な空気は作中で流れていたんですが……。キャラクターでいうと、主人公のまゆみが作中で何度かポエムを挟んでくるんですけど、それが当時の自分にはすごく斬新でした。

―― まゆみの心情を詩として表しているんでしょうけど、美しい詩だなと思いました。感性が揺さぶられるような。

佐藤 それがもう本当に大好きすぎて(笑)。まだ詩っていうものをあまり知らない小学生が、こんな感じなんだなと初めて知るわけじゃないですか。それはもう衝撃的で。そのあと、詩が好きになって色々読んだりしたんですけど、「詩」というものを初めて認識したのがこの作品でした。

Photograph by Taku Katayama (以下、同)

―― そこから色んな詩を読み漁ったとか。

佐藤 読書家だった兄の部屋に勝手に入って、本棚に並んでいる本を読んでいたんですけど、そこに室生犀星やエドガー・アラン・ポー、リルケとか色々な作家の詩集があったんです。その中で、室生犀星に夢中になって読みふけり、のめり込みました。大学の卒論もそれにしようと思ったくらい。

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