古本の街として知られる東京・神保町駅のすぐそばに「未来食堂」はある。雉子橋通り沿いの日本教育会館地下1階。昭和のにおいのする飲食店街のいちばん手前だ。
5月24日午前9時。店舗の前には6箱もの段ボール箱が所狭しと広げられ、その日の“まかないさん”の田中さん(62)が、タアサイの傷んだ外葉をむしっていた。
「おはようございます。今日は朝8時半ごろから、掃除をしたり、野菜の下ごしらえをしています」
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そう話す田中さんと記者が挨拶を交わしていると、店内から声が届いた。
「すみませ〜ん。もう朝の仕込みに入っちゃってるんで、勝手に写真も撮ってください」
元気な声の主は、未来食堂の店主・小林せかいさん(38)だった。ジーンズに黒のポロシャツ、頭には手拭い、マスク姿。足元は靴下。