
Apple社のAirTagは、コインサイズのデバイスで、鍵や財布などの持ち物に取り付けて、置き忘れた場合には、スマホの「探す」アプリで簡単に探し出すことができる「忘れ物タグ」だ。
だがこれを悪用するケースが相次いで報告されている。勝手に持ち物に入れられて、位置を追跡されるといったストーカー行為が横行しているのだ。
先日、アメリカのインディアナ州で、AirTagを利用して、恋人男性を追跡した女が、浮気現場にかけつけ、その恋人を車でひき殺すという殺人事件が発生した。
Indy woman is arrested for murder after running over boyfriend three times outside North side pub
AirTagで恋人の浮気現場を特定し、車でひき殺す
6月3日の午前0時半頃、インディアナ州インディアナポリスにあるパブ「Tilly’s」の駐車場で、アンドレ・スミスさん(26歳)が車にひかれて死亡した。車を運転していたのは、アンドレさんの恋人とされるゲイリン・モリス(26歳)。この日ゲイリンはアンドレさんの浮気を疑い、GPSとAppleのAirTagを使用してアンドレさんの現在地を追跡していた。
そしてついに、アンドレさんが別の女性と会っているパブを特定した。
パブに着いたゲイリンは、アンドレさんが別の女性といるのを見て激昂し、空のワインボトルを掴んで女性の頭に打ち付けようとしたが、アンドレさんが止めたため、浮気相手の女性は怪我を免れた。
結局、3人は店のスタッフから退出を求められ店の前にある駐車場に出たのだが、ゲイリンは駐車場に止めた車に乗り込み、アンドレさんを3回ひいた。

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通報により駆け付けた警察が、車両の下の地面に横たわるアンドレさんを発見した時には、既にアンドレさんは死亡していたという。
車から降りたゲイリンは、更にアンドレさんと会っていた女性を追いかけようとしたが、警察に取り押さえられ、その場で逮捕された。
その後、ゲイリンは殺人罪で起訴され、現在マリオン郡刑務所に拘留中ということだ。

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もし不審なAirTagを見つけたら?
AirTagは、500円玉を少し大きくしたサイズで、BluetoothでiPhoneと連動させることで、アプリから位置情報を知らせてくれる便利なデバイスだ。AirTagを登録したiPhoneから離れた時も、周辺にいる人のiPhoneと接続して位置を把握する機能が備わっている。
その為、ストーカーが、追跡したい相手の持ち物やポケットにAirTagをこっそり忍ばせて、その人の行動を追跡したり、住んでいる場所を突き止めようとしたりするといった悪用が増えているという。

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Appleもさまざまな形でAirTagの悪用対策を実施している。
例えば「セーフティ通知」は、自分のiPhoneと、自分のものではない不明なAirTagを一定時間、一緒に持ち歩いている場合には、iPhoneから通知がくるようになった。これにより不正利用されているAirTagが見つけやすくなる。
また「正確な場所を見つける」機能を使って、iPhoneのBluetooth圏内(約10m以内)にある不明なAirTagまでの距離と方向を確認できるようにし、AirTagを探す際に流れる音を「最も大きく聞こえるトーン」に変更する調整も行われる予定だ。
もし自分のものではない不審なAirTagを見つけたら、電池を外してしまえば追跡されることはなくなる。
電池を外したAirTagの内側にはシリアル番号が記載されており、Appleがその番号から所有者を特定できるようになっているので、もしもの時に備えて番号を控えておこう。
私は猫に着けとけば迷子防止に良いかも!と思ったんだけど、猫にはちょっと大きすぎて邪魔そうなので、猫専用のAirTagを開発してくれないかしら。
References:Woman Allegedly Used Apple AirTag to Track and Kill Her Boyfriend