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培養肉の次は培養木材。植物細胞を培養して木材を作ることに成功

カラパイア


 動物の細胞組織を培養して作る培養肉は、未来の食肉として注目を集めているが、同様の細胞培養技術は植物でも可能のようだ。

 木材は私たちの暮らしに欠かせない素材だが、それを得るために樹木を切り倒して加工するのは自然に優しくないし、効率的でもない。

 そこで米マサチューセッツ工科大学(MIT)のグループは、植物の細胞を培養して、3Dプリンターで好みの形状の木材に印刷する技術開発を行っている。

 このままうまくいけば、いずれは家具や建築用の板材も生産できるようになるかもしれない。

培養肉と同じように木材を培養

 木材は再生可能な資源だが、今のところそれが消費されるペースは再生されるペースを上回っている。

 森林が伐採されてしまうと、野生生物に甚大な影響を与え、温暖化の影響も悪化させる。だから今後も木材需要が変わらないのならば、それを入手する方法を変えねばならない。

 そこで近年着目されているのは、実験室で木材を育てる方法だ。木そのものではない、素材としての木材である。家畜のかわりに、動物細胞を培養して食用肉を生産するという試みがあるが、これに似ている。

 筆頭著者であるMITのアシュリー・ベックウィズ氏は、その培養木材は「必要な形にぴったり育てることができるので、その後加工する必要がない。エネルギーも廃棄物も減らすことができる」と説明する。この技術を発展させれば、3次元構造の木材も作れるようになるだろうという。

photo by Pixabay

植物の細胞を培養して、好みの形に3Dプリント

 培養木材を作るには、まずキク科の「ヒャクニチソウ(学名 Zinnia elegans)」の葉から細胞を採取する。これを培養液で2日間培養し、それからゲル状の培地(培養対象に生育環境を提供もの)にうつして成長させる。

 次にこの細胞入りのゲル状の培地を3Dプリンターで好みの形に印刷する。

 そのまま暗室で3ヶ月培養すれば、乾燥して木材のような素材が出来上がる。例えば、今回の研究グループは、木のような形に成形することに成功している。

 形だけでなく、培養木材の物理的・機械的特性も好みに変えられる。そのためには、培地に含まれる栄養と2種類の植物ホルモンを調整してやるだけでいい。

 ホルモンの濃度を薄めれば、密度が低く、丸い開いた細胞になる。反対に濃度を濃くすれば、有機高分子リグニンの成長が促進されるので、小さく高密度に成長する(つまり硬い)。

 どちらがいいということではなく、用途に応じて柔らかく軽い素材に仕上げることも、硬く頑丈に仕上げることもできるということだ。

photo by Pixabay

次の課題は木の細胞で培養木材を作ること

 研究グループが目指すのは、木を切り出して加工する従来のやり方ではなく、3Dプリントして木製品を作る新しい技術の開発だ。

 最初はダボや装飾品のような小さな製品しか作れないだろうが、いずれは家具や建築用の板材も生産できるようになるかもしれない。

 次のステップは、今回の技術をほかの植物の細胞に応用することだ。今回使われたヒャクニチソウは木ではない。だがパイン(マツ)などで同じことができれば、大きな技術的進歩になるだろうとのことだ。

 この研究は『Materials Today』(2022年3月7日付)に掲載された。

References:Toward customizable timber, grown in a lab | MIT News | Massachusetts Institute of Technology / written by hiroching / edited by / parumo

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