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国内ハイテク産業を「潰した」白川元日銀総裁の過ち…救世主は台湾?

幻冬舎ゴールドオンライン

本連載は、武者リサーチが2022年5月2日に公開したレポートを転載したものです。

懲罰的円高から恩典的円安の時代へ

日本の競争力を根底的に破壊した懲罰的円高の時代ははっきりと終わり、日本に恩典を与える実力以上の円安の時代が始まっている。

何が懲罰的で何が恩典的かは、購買力平価(=円の実力)と実際の為替レートとの倍率で観察できる。図表2に見るように日本円は1980年代後半から2001年、および2009~2013年にかけて購買力平価をピーク時には100%、平均でも3割以上も上回る懲罰的円高に見舞われ、日本の競争力は著しく劣化し貿易黒字はあっという間に消えた。

[図表1]購買力平価とドル円レートの推移ー内外価格差と逆内外価格移
[図表2]内外価格差倍率(PPP/市場スポット)推移

ハイテク産業に死亡宣告を与えた“白川日銀”

特にリーマンショック後の2008~2012年の超円高は、すでに困難な状況にあったハイテク産業(半導体・液晶・TV・携帯電話・PCなど)を破たんに追い込んだ。

2011年3月東日本大震災時の1ドル80円台突破に際して10年振りのG7協調介入がなされたのに、白川総裁当時の日銀の消極的金融政策のためにその後2年間にわたって(黒田日銀総裁登場まで)超円高が是正されず、2012年3月には日本産業の宝ともいえた最先端半導体企業エルピーダメモリが破たんし、マイクロンテクノロジーに買収された。また最後の力を振り絞って投資されたシャープの液晶工場も挫折した。

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このようにハイテク敗戦は産業・雇用・国益音痴の金融政策の敗戦そのものであった。図表3に見るように過去6回実施されたG7の協調介入はすべて直ちに極端水準にあった為替を大転換させたが、2011年だけはそれが起きなかった。白川日銀の間違った金融政策が日本の産業と国益に与えた被害は甚大であったと言える。

[図表3]為替レートとG7協調介入(6回)の推移

当時、韓国ウォンはリーマンショック前に比べて3割低下していたのに対して日本円は3割の上昇となり、2008年から2012年にかけて韓国ウォンは日本円比5割弱の減価となった(図表4参照)。

[図表4]主要国通貨の対円レート推移

政府の支援もあり既に十分に産業基盤と競争力を整えていた韓国企業により日本企業はなぎ倒されることとなった。韓国が未だ参入していなかった半導体製造装置、半導体材料、電子部品などを除き日本のハイテク産業のコア部分は瓦解した。

円高で瓦解したハイテク産業集積…復活の鍵は日台協力

しかし今、日本が貿易赤字国に転落したことで、恩典的円安の時代に入っていくのではないだろうか。

すでに懲罰的円高は2014年頃より解消しており、日本産業・企業の復活は進行している。企業利益は史上最高、海外生産はすでにピークを越え低下し始めている。また生き延びたハイテク周辺産業において日本企業の改革・新ビジネスモデルが台頭している。

[図表5]日本企業の売上高経常利益率
[図表6]製造業海外生産比率推移

恩典的円安の時代とは、購買力平価から相当程度(3割以上)安い為替レートが定着し、日本の価格競争力に為替面からの恩典が与えられる時代である。

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