top_line

【 最新ニュースをアプリでサクサク読むなら! 】

脂肪肝が「肝硬変や肝がん」に繋がるワケ…体内で起こる「怖い変化」【医師が解説】

幻冬舎ゴールドオンライン

いまや日本人の3人に1人が脂肪肝であり、放置すると肝硬変や肝がんへと進行する――。にわかには信じられないことかもしれませんが、これは最近の研究で明らかになった事実です。なぜ脂肪肝が肝硬変や肝がんへと繋がりうるのでしょうか? 最近の研究でわかってきた事実を基に見ていきましょう。みなと芝クリニック院長・川本徹医師が恐ろしい「炎症」について解説します。

「お酒によらない脂肪肝」の1~2割がなる“重症タイプ”

脂肪肝の中には、肝臓の炎症が慢性的に起こるようになり、徐々に肝臓の線維化(組織が硬くなっていくこと)が進んでいくケースがあります。それが非アルコール性脂肪性肝炎「NASH(ナッシュ)」です。

非アルコール性脂肪性肝疾患「NAFLD(ナッフルディー)」の多くは、ほとんど進行しない単純性脂肪肝・NAFL(ナッフル)です。しかしなかの10~20%は重症タイプのNASHを発症します【図表】。さらにNASHになると5~20%程度が肝硬変に、肝硬変に移行した人の15%が肝がんに移行すると見られています。

【図表】脂肪肝の分類 脂肪肝は、「お酒を原因とするもの」「お酒を原因としないもの」に大きく分けられる。近年、お酒を原因としないもの=「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/ナッフルディー)」が確実に増えてきている

■「脂肪性肝炎」は「さまざまな疾病の原因」の一種

実はこの肝炎の状態である“炎症”というのがクセ者です。最近の研究では体内で起きている慢性炎症が、さまざまな病気を誘発し全身の老化にも関わっているという驚きの事実が明らかになってきました。

慢性炎症とはいわば小さな火種のようなものです。大火事のようにいきなり大惨事にはならないものの、じわじわと広がって全身に影響を及ぼし、やがてさまざまな疾患へとつながっていきます。慢性炎症は、アレルギー疾患、動脈硬化や糖尿病、アルツハイマー、がんなどのさまざまな疾病の原因であるとされており、脂肪性肝炎も慢性炎症の一種であるため、決して見逃せるものではありません。

広告の後にも続きます

病気になりたくなければ、できるだけ慢性炎症を抑える対策が必要です。

本来、「炎症=体の防御反応」だが…

胃炎、腸炎、肺炎、皮膚炎、関節炎…。「炎」という字は、臓器名や組織名にくっつくと、何やらよくない病態を表す意味になります。痛み、かゆみ、赤く腫れるなどの症状を連想する人もいるかもしれません。

すべてそのとおりで例えば、ハチに刺されるとその部分が赤く腫れて痛みや熱っぽさが出たりします。風邪をひくと喉が腫れて唾を飲み込むときにズキッと痛んだりします。これらは炎症の典型的な徴候で、「熱感・発赤・腫れ・痛み」は炎症の4徴候と呼ばれています。現在は本来の機能が低下するという意味の「機能障害」も加えられ、5徴候となっています。

本来ならば炎症は悪いものではありません。体が有害な刺激を受けたり、体の中に異物が侵入してきたりしたときに、自らを守るために起こる防御反応のことをいいます。人体には、自然免疫と獲得免疫という2段階の防御システムが備わっていますが、異物が侵入するとすぐさま反応して攻撃するのが自然免疫、炎症が治まらない場合に抗体という武器を使って敵を排除するのが獲得免疫といいます。これらが働くことで、外敵から身を守っているのです。

熱が出たり患部が腫れたりするのは、体の中で免疫細胞が戦っている証ともいえます。

また炎症状態が回復していくときには、体内で死んでしまった細胞を取り除いて、新しい細胞に作り変える作業が行われます。これも生体恒常性(ホメオスタシスのこと、体の外部からの刺激や変化にかかわらず体内部の状態を一定に保とうとするしくみのこと)という体本来の働きです。このような過程で起きているのが炎症反応というものです。

  • 1
  • 2

TOPICS

ジャンル