top_line

【 最新ニュースをアプリでサクサク読むなら! 】

【小説】軽いキスや首筋、耳朶は許すが…「男をあしらう手順」

幻冬舎ゴールドライフオンライン

本記事は生田仁真氏の書籍『ミレニアムの黄昏』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部抜粋・再編集したものです。

【前回の記事を読む】「真理と一定の距離を置く」という不文律を互いに破り…

来栖・葛城・真理の三角関係

会っていなかった期間もある上に、以前には葛城を含め、常に三人で会っていた。周りからはカップルと見られる形で会うとなると、全く勝手が違った。中年になりかけの男がまだ若さが残り溌剌としているといっていいほどの女性を相手にしている。来栖は不慣れな中学生か高校生のように他人行儀でぎこちない接し方で真理とデートを始めようとしていた。

そもそもデートと呼べるのかそれも疑問で、二人が会ってから話す内容も、座る形まで変わった。店に入ってカウンター席が空いていたりすると、以前は三人仲良く並んで座るのが常だったのだが、二人となると、どういうわけか対面式で普通に座るほうが圧倒的に多くなった。

デートの座席配置としては当たり前の正調スタイルだが、いつも相手の顔が目の前にあるということになり、少なくとも来栖には心底うれしいことなのだが、ことコミュニケーションでの意思疎通となると、かえって二人共に面映ゆく窮屈な思いをしていた。

広告の後にも続きます

二人きりでのつき合いができるようになったにもかかわらず、来栖のほうは相も変わらず彼女の顔に見とれているだけで満足しているのが常だった。ごく稀にだが彼にも真理を対象にセックスへの欲求が突然出てくることもあったが、真理のほうは意識的にそうしているのか、来栖のそのような欲求をそれとなく示している物腰に気づかないという対応でやりすごそうとした。

二人で旅行に出かけホテルに宿泊するなど深みに入っていくようなつき合いには至らず、表面上二人のつき合いは淡々と続いていくといった状況だった。まれに彼が少し強引に接触を試みようとしても、彼女のほうは時にはキスですら許そうとはせず、彼をはねつけた。それでいて、いつも約束の場所を提案し、会えば誘惑するような仕草を見せるのは真理のほうからだった。

しかし男女の肉体関係ということとなると、彼女と来栖は一度も最後の段階にまで達しなかった。彼には彼女が仕掛けてくる仕草が彼女独特のコケットリーというか思わせぶりな性癖からでてくるもので、男をあしらう手順とみなして能動的に振る舞うのかと思っていた。

彼女は性的な興奮を呼びさますようないちゃつきまでは相手にも自分にも許容する余裕があるというのだろうか、男女の触れ合いはむしろ積極的に受け入れる。おまけに相手にも能動的に振る舞うというか、積極的に近づこうとすることもあった。

もっとも一定限度内というような尺度をおいているようで、その基準というものが来栖にとってはっきりとはわからない。はっきりと分かることは、将来の結婚相手以外には性的関係そのものは絶対に持たないことにするという、彼女流の人倫道徳めいた基準を設けているようだということぐらいだった。

ほかにも二、三人の男友達がいたようだが、来栖を相手にすると、彼女は唇への軽いキスや首筋、耳朶に相手が触れたり軽く噛むといったところまでは許すのだが、それ以上の体の触れ合いとか密着となると、全く受けつけなかった。

  • 1
  • 2

TOPICS

ジャンル