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【小説】レイプされたことを父に告白…その1週間後の衝撃!

幻冬舎ゴールドライフオンライン

瑠衣は、一月後半にある後期実技試験に備え、曲目をバッハの「管弦楽組曲第二番」に決め、弦楽器専攻の友達数人とピアノ専攻の友人に声をかけ、アンサンブル練習に励んでいた。

後期実技試験前最後のレッスンでは、アンサンブルのメンバーに頼んで時間をとってもらい、大学の小ホールで本番の試験さながらの演奏を坂東に聴いてもらって直接アドバイスを受けた。テンポ、音程や表現力について少々注意されたが、瑠衣にとって満足のいくものであった。試験当日、瑠衣はやや緊張したがなんとか最後まで吹き切った。

瑠衣は、試験終了の一週間後がレッスン日となっていたので、わざわざ遠回りして中央線沿線の有名洋菓子店でカマンベールチーズケーキを買い、坂東の自宅へと向かった。坂東は、瑠衣を心待ちにしていたかのように上機嫌で迎えてくれた。

その日は珍しく奥様が留守とのこと、自ら淹れたてのコーヒーで歓待してくれた。十年近く通っていたが初めての経験であった。普段のレッスンは厳しく、合間に自分で持ってきたペットボトルの水を飲むのが精いっぱいだった。だが、その日の坂東は違っていた。

「瑠衣ちゃん、今日は女房が友達と温泉に行って泊ってくると言って出かけたので、たまにはゆっくりお話ししよう。ところで、実技試験の演奏素晴らしかったよ」

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普段坂東は、学生を褒めたことのないことで学内では評判だったので、瑠衣は面映ゆい気がした。

「あの曲は、フルーティストの実力を試すのにもってこいの曲だけど、見事に最後までリラックスして吹けたね。君の透き通った音色は、バッハに向いているかもね。欲を言えば、弦楽器、ピアノとのアンサンブル練習をもう少しやっとくと、もっといい演奏ができたと思うよ。

本当は、ピアノがチェンバロだともっとよかったんだけどな。チェンバロを専攻している学生がいないから、ないものねだりだね。君なら、順調にいけば卒業演奏会の一員として選ばれ、全日本音楽コンクールにも出場し本選まで残ると期待してるから……。そのつもりで頑張ってね」

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