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【小説】レイプされたことを父に告白…その1週間後の衝撃!

幻冬舎ゴールドライフオンライン

※本記事は、安達信氏の書籍『一闡提の輩』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

【前回の記事を読む】見つかった父親の変死遺体…警察の調査で浮上した謎とは

一闡提の輩

警察は裏付けを取るため、死亡時刻と推定される時間帯に瑠衣を見かけたことがないか、近所の家々を一軒一軒訊き回った。その結果、瑠衣がその時間帯、「自宅の出窓にいたのを見た」との近所の複数の人たちの証言が得られた。

警察は、「直之が、ハイキングコースから外れ城跡への近道を登ろうとし足を踏み外し、急な斜面を転げ落ちたあと後頭部を強く岩に打ち付け、大量出血し死亡した」と結論付けた。警察は事件性がなく、事故死と断定した。警察署から木村家に連絡があり、喜一郎が手配した葬儀社の車で遺体と遺留品が自宅に運ばれた。

当主の木村喜一郎は、今後の段取りを決めるべく家族を集め、村の主だった人たちも加わって話し合った。その結果、お通夜は自宅、葬儀は木村家菩提寺の浄穏寺で執り行うことに決まった。

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お通夜は、浄穏寺住職青山浄証の読経のもといとなまれた。村のならわしに従い、近所の婦人たち数人が集まり料理を作った。住職はじめ親戚、次から次と弔問に訪れる人たちに「お斎」が振る舞われ故人を偲んだ。

お通夜が終わり自室に戻った瑠衣は、事故死と断定されたものの、父が自ら死を選んだのではないかとの疑念がぬぐい切れなかった。私の写真と「父の日」にプレゼントしたボールペンを持って、「なぜ?」と瑠衣はつぶやいた。

一週間前、瑠衣はレイプされたことを父に告白し、やり場のない憤りや怒りをぶつけた。その勢いで、衝動的に救いを求め父の身体にしがみついた。

レイプした相手は、瑠衣が通っている都内の関東音楽大学特任教授の坂東栄一である。坂東は日本のフルート界では著名なフルーティストであり、大学ではフルート専攻学生のレッスンと器楽科演習科目であるウインドオーケストラの指揮者を兼任していた。

また坂東は、都内の自宅で音楽教室を開き、「若き才能発掘」と称して幼稚園児から大学生に至るまで幅広い年代層の受講者にフルートを教えていた。加えて吹奏楽界にも食指を伸ばし、地区大会入賞校や全国コンクールに出場する常連校に招かれては荒稼ぎすることでも有名であった。

瑠衣は、幼稚園のときから近所の音楽教室でピアノを習い、小学二年からフルートの個人レッスンを坂東から受けていた。中学、高校では吹奏楽部に入り、それでも週に一回のペースで坂東の自宅に通っていた。瑠衣は高校卒業後、坂東から薦められるまま関東音楽大学器楽科に進学し、現在二年生である。

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