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耳鳴りと睡眠に関連性があることが判明。睡眠の質を変えることで改善も

カラパイア


 世界では15%の人たちが「耳鳴り」で悩んでいると言われている。この症状はただ気になるだけでなく、ストレスやうつの原因になるなど、心にも深刻な悪影響を及ぼす。

 今のところ耳鳴りの治療法はなく、一度発症すると数年経っても消えないことも多い。

 オックスフォード大学の研究グループによると、耳鳴りは睡眠と強い関係があるという。そもそも耳鳴りとは、ないはずの音が聞こえる幻聴だ。普通、幻聴や幻覚が起きるのは睡眠中だけだが、耳鳴りの人には目が覚めているのに幻聴が聞こえてしまう。

 『Brain Communications』(2022年5月5日付)に掲載された研究では、そんな不思議な耳鳴りと睡眠の関係について科学している。耳鳴りと睡眠の関係性を解明されれば、新たな治療も誕生するかもしれない。


眠りの種類と段階

 睡眠はレム睡眠ノンレム睡眠の異なる2種類の睡眠状態に分けられる

 レム睡眠は閉じたまぶたの下で眼球が動く急速眼球運動を伴う睡眠で、身体は休息した状態だが、脳の活動は起きている状態に近いことから夢をよく見る。

 ノンレム睡眠はレム睡眠ではない眠りという意味で、脳が休息した状態となっており、眠りの深さによって4段階に分けられる。

 ノンレム睡眠は段階が上がるごとに眠りが深くなり、3、4段階目の「徐波睡眠」で最も眠りが深くなる。

 ノンレム-レム睡眠周期は90~120分間で、寝ている時間が進むにつれ、ノンレム睡眠の持続は短くなり、睡眠徐波の出現は減少する。

眠りが深い状態の「徐波睡眠」で行われていること

 「徐波睡眠」では、脳のさまざまな領域で特徴的な「波」が現れ、記憶や音の処理を司る領域など、大きな領域がまとめて活性化する。

 昼間に消耗したニューロン(神経細胞)が回復し、私たちが休んだと感じるのもこのステージだ。さらに記憶にとっても重要であるとされる。

 徐波の強さは領域によって違う。一番はっきりと現れるのは、起きている間に酷使される「運動機能」や「視覚」に関係している領域だ。

 だが時折、それ以外の領域でもやたらと徐波が活発になることがある。実はこの現象は「夢遊病」のような睡眠障害の患者で起きていることだ。

photo by iStock

睡眠と耳鳴りの関係

 同じことが、耳鳴りにも言えるようだ。オックスフォード大学のリナス・ミリンスキ氏らによると、耳鳴りの患者の脳では、眠っているはずの領域が過活動になっていると考えられるのだという。

 このことは、耳鳴りの患者がしばしば不眠や夜驚症( 睡眠中に突然、恐怖や興奮で叫び覚醒してしまう病気)であることとも関係するかもしれない。

 耳鳴り患者は、眠りの浅い時間が長いことでも知られている。その理由をごく単純に考えると、耳鳴りに邪魔されて深い眠りに不可欠な徐波が作られず、そのせいで眠りが浅くなったり、途中で目が覚めたりすると思われる。

 その一方、平均すると耳鳴り患者は眠りが浅いのだとしても、耳鳴りの影響をほとんど受けない深い眠りがあることもわかっている。その原因は、もっとも深い眠りは耳鳴りをも抑制してしまうことかもしれない。

photo by iStock

耳鳴りも勝てない深い眠りがある

 睡眠中に耳鳴りが抑制されるメカニズムはいくつかある。その1つは「ニューロン(神経細胞)」と関係がある。

 昼間の間ずっと活動を続けたニューロンは、回復するために徐波活動モードに切り替わろうとする。そうしたニューロンが増えるほどに、脳の残りの部分も休息をとろうという欲求が強くなる。

 この欲求が十分強くなると、ニューロンはやがて徐波活動モードに切り替わる。そしてこれは過活動状態にあって耳鳴りを起こしている領域も同様だ。だから、深い眠りに入れば耳鳴りも抑制されると考えられる。

 さらに徐波活動は脳領域同士のコミュニケーションを邪魔することも明らかになっている。徐波がもっとも強く生じる一番深い眠りでは、そのおかげで過活動領域は他の領域に干渉できなくなる。

 だから耳鳴りがあるからといって、絶対にぐっすり眠れないということではない。

 また睡眠は、ニューロン結合の変化を通じて、記憶が定着するためにも重要だ。こうした睡眠中の脳の結合の変化は、難聴などをきっかけに発症した耳鳴りがいつまでも治らない要因でもあると考えられている。

photo by iStock

耳鳴りの治療

 耳鳴りの強さは、1日の間に変化することがある。睡眠中の脳を調べれば、耳鳴りの強さを変えている原因を突き止められるかもしれない。

 それは患者の睡眠の質を改善する手がかりであり、おそらく耳鳴りの新しい治療法にもつながるだろう。

 例えば、不眠の治療として、本当に眠くなった時だけ眠るように指導することがある(睡眠制限療法)。

 こうすると睡眠の妨げとなっている要因を減らして、徐波活動を促進できる。ぐっすり眠れるようにしてやれば、睡眠が耳鳴りに与える影響の理解も深まるかもしれない。

 ミリンスキ氏によると、耳鳴りに一番影響を及ぼすのは、深い眠りであるそうだが、レム睡眠など、睡眠のステージは他にもあり、それぞれに特徴的な活動が見られる。

 同氏らは今後、そうした睡眠ステージと耳鳴りの関係を調べることで、普段の脳の活動が耳鳴りをどう軽減するのか明らかにしたいとのことだ。

References:Tinnitus seems linked with sleep – understanding how could bring us closer to finding a cure / written by hiroching / edited by / parumo

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