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元モデルが“ドローン”に見出した活路「稼げるような土壌を作りたい」

日刊SPA!

元モデルが“ドローン”に見出した活路「稼げるような土壌を作りたい」

 農薬散布や輸配送、映像撮影などさまざまな用途で使われるようになった「ドローン」。最近では、一般向けにも多種多様なドローンが発売されており、まさにムーブメントを巻き起こしている状況と言えよう。

 そんななか、ドローンの操縦技術や知識を教えるインストラクターであり、ドローン事業の会社を経営する女性が小池夏子さんだ。

「ドローンアーティスト夏知」という名のもと、YouTubeやインスタグラム(@drone_nachi)でドローンにまつわる発信を積極的に行っている。ドローンに興味を持った経緯や、ドローンの空撮現場における実情について小池さんへ伺った。

◆モデルや芸能関係の仕事から「ドローン」の道へ

 小池さんは、もともとモデル事務所に所属していた過去を持つ。2005年くらいから約4年間ほど芸能活動を行い、広告モデルとして活躍していたという。

 そこから、ウォーキングやポージングを教えるモデルスクールを始め、モデルの育成に従事することに。人材教育の観点から、ときに外部のプロ講師を呼んで女性向けのセミナーも開催していたそうだ。そのほか、地下アイドルのプロデュースやキャスティングなど、多岐にわたってビジネスを実践してきた。

◆芸能事務所を立ち上げるが、所属タレントが結婚や出産を機に退所

 なぜ、モデル活動にとどまらずにさまざまなチャレンジをしてきたのだろうか。

「昔から、漠然とですが経営に興味を持っていました。当時は個人事業主としてやっていて、モデルやアイドルとして活躍したい女性の後押しができればと思い、芸能事務所を立ち上げてビジネスを行っていたんです」

 その後、事務所所属の女性の多くが、結婚や出産を理由に退所するようになったことで、芸能の仕事にひと区切りつけ、求人広告のライターに転身したそうだ。

◆コロナ禍で仕事が激減、テレビを見て「これだ!」と思った

 しかし、2020年に起きたコロナパンデミックにより、委託先の会社で任されていたライターの仕事がなくなってしまったという。

「突然の出来事だったので、これからどうしようか……。そう思っていた時期でしたね。そんなある日、偶然テレビを見ていたときのことでした。『海開きしない海岸の安全を守るために、ドローンがライフセーバーの役割を果たしている』というニュースが目に飛び込んできたんです。人命救助しているシーンを見たとき、『これだ!』と思ったんです。

 昔からパズルゲームやRPGゲームなどが好きで、『ゲーマーの自分に合うかもしれない』と考えたんですよ(笑)。また、ドローン自体がまだ未知なるものだったこともあり、将来性を非常に感じました。これはやるしかないと思い立ち、そこから情報収集をしていったんです。そして、まずはドローン操縦士(パイロット)を目指そうと決心しました」

 ドローン操縦士のライセンスを取得するためにドローンスクールへ通い、操縦知識や技術を学びながら、室内で飛ばせるトイドローンも購入。自宅でもドローン飛行の練習を繰り返したという。

◆ドローンの素晴らしさを人に伝えたい

 さらに、SNSを使ってドローンの発信も始め、本格的にドローン一色の生活を送るようになった。

「スクールへ通い始めてから4日後にライセンスを取り、次いで屋外でドローンを飛ばすための申請を行いました。1週間後くらいには無事に許可が下り、晴れてドローンを外で飛ばせるようになったときはすごく嬉しかったですね。

 最初は『動くもの』を撮りにいこうと、馬を撮影したり、沖縄の海に出て船の上から空撮したりと、とにかく楽しかったことを覚えています。ただ、今の状態から仕事にどうやって仕事に繋げていくかを考えたときに、『ドローンの素晴らしさを人に伝えるためには、もっと自分で努力する必要がある』と感じ、2021年3月からドローン操縦士のインストラクターとして携わるようになったんです」

◆ドローン仲間と意気投合し、事業会社を設立

 インストラクターとして、ドローンの知識や操縦技術を受講生へ教えるようになった小池さん。そんななか、受講生からは「ライセンス取得後はどうしたらいいのか」、「卒業後の仕事はあるのか」という相談を多くもらっていたという。

 こうした受講生の声を聞くうちに、小池さんは「ドローンビジネスを本腰入れてやっていきたい」と考えるようになり、会社を立ち上げるに至ったそうだ。

「ドローンをやり始めた頃からお世話になっており、普段から一緒にドローンを飛ばしていた畠山真吾(BAN)と共同で、2021年6月にZEROMUS(ゼロムス)合同会社を創業しました。映画や企業のPR動画、ドラマなどの空撮事業、ドローン事業のコンサルティング、ライセンスを取った人向けに行う実践的な講習の主な3つを事業の主軸に据えています。

 そのほか、ドローンビジネス全般に関することの無料相談を受けるLINE公式アカウントも持っていて、ドローンを始めたいと思う方のサポートをしています」

◆山頂での過酷な空撮ロケ   

 芸能、求人広告ライターを経て、ドローンに活路を見出した小池さんだが、まだまだドローンビジネスの市場は未成熟であるゆえ、苦労したことはあるのだろうか。

「事業をやっていく上では、苦労よりもやりがいを感じることが多い」と語る小池さんは、空撮ロケで大変だったエピソードを話してくれた。

「鹿児島県の山で空撮ロケがあったんですが、山頂でドローンを飛ばすために朝早くから登ったのにもかかわらず、予定していた撮影スケジュール3時間が、天気待ちで6時間くらいに延びたこと。撮影に適した天気を待っているのが正直ツラかったですね。

 また、近くにトイレがないので、迂闊に水分もとれない状況で……。空撮ロケもさまざまな現場がありますが、過酷な環境下で実施する案件は忍耐力が求められるなと感じています」

 こうしたなか、この案件じゃないと撮れない場所での空撮や、火山火口から出ているケムリのモクモクした様子などを撮影できたこと。そして、雲が抜けて陽の光が入った瞬間を狙って撮れた時は、クルーの一体感や感動、やりがいを感じたという。

◆仕事は「事前準備が8割」

 現在は、時期によるものの月に3〜4件ほど空撮の仕事をこなしているという小池さん。実際のところ、ドローンを使った空撮の現場はどのような感じなのだろうか。「ドローン空撮は事前準備が8割と言えるくらい、大事になってくる」とし、次のように説明する。

「ドローンのメンテナンスはもちろん、予備のプロペラやバッテリーを用意することやロケ地の撮影許可取り、万が一ロケ場所のコンディションが悪い場合に備えてロケハンをしておくなど、とにかく事前準備が大切になってきます。

 当日の現場では、風向きや電波の状況などを見ながらドローンを飛ばすわけですが、事前準備がしっかりできていないと、クライアントに迷惑をかけてしまいますし、特にドラマや映画などの作品づくりの場合はかなりの丁重さが求められるんです」

 空撮現場では、監督の指示やイメージコンテのような画を忠実に再現するのが絶対条件となっている。

 当日の現場の状況によって当初予定していた内容が変わることもあるので、「臨機応変に対応できるスキルも身につけておくのが必須」だと小池さんは言う。

 また、プロ向けドローンの『Inspire 2(DJI社)』を使うことが多いんですが、ツーオペレーション(ドローンの操縦とカメラワークを分担すること)は阿吽の呼吸が大切になってきます。現場では私と畠山が協力して、クライアントの意向に添いながら空撮を行っているような状況ですね」

◆屋根点検や動画制作の仕事は努力すれば獲得できる

 そんな小池さんに、ドローン操縦士として活躍するためには、まず何から始めれば良いのか聞いてみた。

「作品撮りはセンスが問われる一方、屋根点検やPRの静止画の撮影であれば、テクニックよりも安全かつ丁寧な操縦が求められます。ライセンスを取得してドローンの基本的な操縦方法と法規制を抑えていれば、努力次第で仕事を得ることはできるでしょう。

 もちろん、営業が必須になるので、自己アピールにつながるポートフォリオ(ドローンで撮影した作品集)を作ることが大事になります。ドローンに興味があれば、まずはスクールに通ってみたりトイドローンを購入してみたりして、実際にドローンに触れてみるのがいいと思います」

 今後は自社で手がける講習をリニューアルし、空撮に特化したドローンスクールを開校するために準備を進めているそうだ。複数のスクールを開校する予定で、30万坪(東京ドーム20個分以上)の広大な場所にもドローンスクールを開くという。

「ライセンスの取得ができるのはもちろん、空撮のテクニックを学ぶことが可能です。より現場で役立つ知識・技術の指導や実際の空撮案件のマッチングなども行っていきたい。私が歩んできたようにドローンの素晴らしさを人に伝え、ドローンの知識や操縦技術を教えるとともに、インストラクターを目指す方やスクール事業をやってみたい方のサポートもやっていければと思っています」

 最後に今後の展望について小池さんに伺った。

「ドローンは自分にとって、天職だと思っています。まだ道半ばではありますが、最近では私がSNSで発信しているのを見て、ドローンに興味を持つ女性も増えています。ドローンビジネスを始めたいと思う方には、ラジコン好きやカメラ好き、タクシーのドライバーなどいろんなバックボーンを持っていて、それぞれ目標を持ちながらドローンを学びに来ています。人材教育という観点から、今後は脱サラや副業など、ドローンで稼げるような土壌を作っていければと思っています」

<取材・文/古田島大介>

【古田島大介】
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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