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ミランはあまりにも強すぎた。ボロボロだった3年前が嘘のよう…“王者の強さ”を取り戻せた理由は?【分析コラム】

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ミランはあまりにも強すぎた。ボロボロだった3年前が嘘のよう…“王者の強さ”を取り戻せた理由は?【分析コラム】

 では、なぜミランは優勝が懸かった大一番でここまでの大勝を収めることができたのだろうか。

●凄まじかったのは…

 先述したことからも分かる通り、ミランは前半で勝負を決めた。その理由として挙げられるのは、凄まじいプレス強度である。

 アレッシオ・ディオニージ監督率いるサッスオーロは、ボールポゼッションを大事にする集団だ。これは前任者であるロベルト・デ・ゼルビによる影響が大きく、実際今季セリエAにおける平均ポゼッション率で、サッスオーロはナポリやインテルなどに次いで全体5位という高い位置につけている。

 そのサッスオーロに対し、ミランはいつも通りハイプレスを仕掛けた。しかしその強度は、優勝を掴みかけていたことも影響しているのか、普段以上に凄まじいものがあったと言える。

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 7分には後ろ向きでボールを受けたマテウス・エンリケに対しサンドロ・トナーリがしつこくプレッシャーにいき、詰まらせたところでジルーがサンド。敵陣深くでボールを奪いきり、最後はラファエル・レオンの決定機に繋げていた。

 その後ミランは3点をマークするのだが、これは全て相手のボールを奪ったところから生まれている。

 1点目はマキシム・ロペスに対しラデ・クルニッチが寄せて外側に追い込んだところでレオンが詰めてボール奪取。そのままゴール前に侵入し、最後はジルーのゴールをお膳立てしている。

 そして2点目は、深い位置でボールを持ったジャン・マルコ・フェラーリに対しレオンがプレスを与えボール奪取。そこからドリブルでボックス内に侵入し、またもグラウンダーでジルーの得点を演出したのである。

 そして3点目。サッスオーロがGKコンシーリまでボールを下げると、ジルーが猛ダッシュでプレッシャー。そこからボールはM・ロペスに繋がるのだが、ここにクルニッチが詰めたことでまたも外に追い込む。この時点でトナーリ、レオン、そしてダビデ・カラブリアは目の前の敵を捕まえることができていたので、追い込まれたM・ロペスからすると逃げ場がない状態。そうこうしているうちにクルニッチがボールを奪いきり、右サイドを駆け上がったレオンにパス。そして最後はグラウンダーのクロスをケシエが押し込むことになった。

 ボール支配を基本とする相手に対し、まずはマンマークで制御し、詰めたところで2人目が素早く反応し奪いきる。ミランのこの強度は、サッスオーロにとって脅威でしかなかった。

 もちろんそれを可能にしたのは、前線の選手だけの頑張りに留まらない。最終ラインもしっかりと連動し、全体を間延びさせなかったことでサッスオーロを窮屈にさせた。実際、トモリとカルルの両センターバックは下がった位置でボールを引き出そうとするジャンルカ・スカマッカを何度も捕まえていた。

 先述した通り後半はさすがにペースが落ちていたが、前半で3点を奪えればそれも大きな問題にはならない。最初の45分間におけるミランは、本当に最強だった。

●今季のミランの強さの理由は?

 チャンピオンズリーグ(CL)では他クラブに力の差を見せつけられる格好となったが、今季のミランの国内における戦いぶりは実に安定していた。最後は6連勝フィニッシュ。その中の対戦相手がラツィオやフィオレンティーナ、アタランタなどの難敵ばかりだったことを考えれば、素晴らしすぎる成績だ。

 では、なぜミランは長く続いた暗黒期を抜け出すことができたのか。その主な理由は3つあると言えるだろう。

 まず今季に関しては守備陣の安定感が凄まじかった。ミランは決して得点力があるチームではないが、それでも安定してポイントを稼げたのは後ろがしっかりしていたからに他ならない。とくに、メニャン、トモリ、トナーリの貢献度は大きかった。

 しかし、やはり忘れてはならないのがカルルだろう。アレッシオ・ロマニョーリが不調、シモン・ケアーが長期離脱を強いられる中、彼の覚醒がなければミランのスクデットはなかったかもしれない。センターバックとしてあれだけのパフォーマンスを示したのは、ミランにとってビッグサプライズだった。

 そして2つ目はパオロ・マルディーニ氏、リッキー・マッサーラ氏、ジェフリー・モンカダ氏の存在だ。近年のミランは補強がことごとく当たっているのだが、その理由は彼らの“慧眼”に他ならない。彼らが能力を認めたテオ・エルナンデスやレオン、カルル、メニャン、トナーリといった選手は、今やチームには欠かせない存在。また若手だけではなく、ジルーやアレッサンドロ・フロレンツィといったベテラン選手も、チームに絶大な影響力を与えている。

 とくにミラン最高のレジェンドであるマルディーニ氏のフロント入りは、結果としてクラブを大きく変えたと言っていいだろう。サッスオーロ戦後にトナーリが「マルディーニは勝者。彼を見るとミランと勝利を思い出すんだ。素晴らしいマネージャーであり、人物でもあるよ。僕たち選手にとって、彼のような人たちが不可欠だ」と話していることからも、それは明らかだ。

 そして3つ目は、やはりイブラヒモビッチの帰還である。圧倒的なカリスマ性を持つ同選手は加入後すぐにチームを変え、それまで結果が出ず苦しんでいた若手に自信を持たせるキッカケを与えた。それが近年のミランの勢いを生んだことは間違いない。勝負の世界を知り尽くしてきたイブラヒモビッチがいなければ、ここまでの強さは取り戻せなかったはずだ。

 サッスオーロ戦後にイブラヒモビッチは「俺は復帰記者会見でミランをトップに戻すと言った。多くの人が笑ったが、今ここにスクデットがある。多くの犠牲を払ったが不可能なんてない」とコメントしている。この勝者のメンタリティーこそ、若いミランイレブンをガッシリと支えていたと言えるだろう。イブラヒモビッチとは、ただの選手の枠には収まらない存在なのである。

 スクデット獲得という形で、ミランはようやく暗黒期を抜け出した。ただもちろん、ここが終着点ではない。その先のセリエA連覇、そしてCL優勝に向けた歩みはここからスタートする。

(文:小澤祐作)

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