
アメリカのペンシルベニア州で、未成年者が飼い犬に他人の飼い猫を襲わせるという事件が発生した。犬の激しい攻撃を受けた猫は瀕死の状態となった。
世界中の人々が回復を祈り、治療費にと多額の寄付が集まった。その思いは猫に届き、バディという名の猫は、奇跡的に一命を取り留めた。
現在回復段階にあるというバディ。治療費を差し引いて余ったお金は、「バディ基金」として他の虐待された動物の治療費や世話に使われることになるという。
少年2人が犬を猫にけしかけ、猫が重傷を負う
3月22日、ペンシルベニア州イースト・フランクフォード地区で、民家の玄関先でくつろいでいた飼い猫が犬に襲われるという事件が発生した。12歳と17歳の2人の少年は、猫の姿を見つけると、散歩させていた犬のリードを放し、故意に犬に猫をけしかけて襲わせたという。
騒ぎを聞きつけた住人が外へ出て、介入したことで攻撃は止んだが、バディという名の猫はひどい重傷を負った。
バディはすぐに病院へ搬送されたが、命の危機が迫っていた。
事態を知ったペンシルベニア州SPCA(動物虐待防止協会 以下PSPCA)のスタッフは怒りを露わにした。
この残虐な行為は、明らかな意図で行われ全てにおいて凶悪です。玄関先に座っているだけの無実の動物が、いかなる理由もなく命を失う可能性があるのです。
動物は私たち家族の最愛の一員であり、そのように扱われるべきです。
動画から少年の身元が特定、起訴される
少年の犬がバディを攻撃している映像は残されており、その中で少年の1人がバディを攻撃する犬に対して「いいぞ!」と声を発している。残虐極まりない動画はネット上では削除されているが、当時PSPCA側は動画をシェアして少年の身元特定への協力を呼びかけていた。
その結果、事件から3日後の25日に少年2人は逮捕され、動物虐待など数件の罪で起訴された。
ゆっくりと回復に向かうバディ
瀕死の状態にあったバディだが、治療や懸命な看護により一命をとりとめた。バディの事件がメディアで報じられると、ソーシャルメディアで拡散し、バディへの励ましのメッセージが世界各地から寄せられた。
世界中から寄付が集まり、余ったお金は他の虐待動物支援へ
PSPCAは、バディの高額な治療費を捻出するため「Save Every Buddy」と書かれたTシャツやステッカーを販売したところ、世界中から購入者が殺到し、Tシャツだけでも約400万円以上を売り上げた。更に、治療費の為の寄付金を募ったところ、世界中から10万ドル(約1300万円)もの寄付が集まった。PSPCAスポークスマンは、「過去10年に1匹の動物に対してこれほどまでの寄付金はありませんでした。過去最高です」と驚きを隠せない。
このお金はもちろんバディへの治療に使われるが、余った分は「バディ基金」として他の虐待された動物の治療費や世話に使われることになるという。
バディは獣医師に引き取られることに
4月1日から、バディは最初に緊急治療を施した獣医師ケイティさんの家で世話を受けている。これから先も長きにわたる治療が必要となるため、ケイティさんは、バディを家族として迎え入れるつもりだという。現在、ゆっくりとだが回復しているバディは、ケイティさんの飼い猫テディと寛いだ様子を見せている。
奇跡的にバディの命が救われたことに喜びを露わにしているPSPCAは、このように話している。
悪夢のような出来事を乗り越えたバディは、多くの人の支援を受けて命を救われました。written by Scarlet / edited by parumo
基金を設立することもできました。悪いことが良いことを生み出したのです。世の中には、まだ良いことがあるのです。