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なぜ、彼女たちは「女性用風俗」へ。その深層に迫る。

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ルポ 女性用風俗(筑摩書房)<amazonで購入>

 「欲しいのは、『男の体』ではない」――。女性用風俗、略して「女風」。昨今、この「女風」が密かにブームになっていることをご存知だろうか。

 「女風」をきっかけに処女喪失した会社員。子育て後、性衝動が湧き上がってきた主婦。DV夫と離婚し、女性としてもう一度花を咲かせたいシングルマザー……。男女ともに未婚率が上昇し、性交未経験者の割合も増加。女性たちの性のありようも多様化しているという。

 菅野久美子さんの『ルポ 女性用風俗』(ちくま新書)は、「買う女」たち、「買われる男」たち、店の経営者たちへの取材を通して、彼女たちは何を求めてやって来るのか、心の内には何があるのか、手にしたものは何だったのかを探る1冊。

色褪せた現実からの脱出

 まず、「女風」とはどういうものなのか。

 たとえば、女性用風俗情報サイトで好みのセラピストを選び、ホテルに呼ぶ。利用方法はさまざま。イケメンとお泊りデートをしたり、疑似恋愛をして癒されたり。中には、ハグのみで6時間過ごしたり、アブノーマルなプレイに酔いしれたり、処女喪失の予行演習をしたりする女性も。

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 「女風」をめぐり、これまでにない地殻変動が起きているという。10年前の客層は有閑マダムのような女性たちだったが、最近は大学生、専業主婦、会社員などの「普通の女性たち」。

 かつて「男娼」と呼ばれた男性従事者は「セラピスト」と呼ばれ、癒しを前面に押し出したイメージに。SNSでの情報発信や低価格化もあり、気軽に利用できるサービスへと変貌し、市場が拡大してきているという。

 著者が強い好奇心を抱いたのは、「一般の女性たちが『買う側』へと次々と乗り出していったという現実」だった。その背景に何らかの切実な動機があるのでは……と考えた。

 「『買う女性』たちは、ごくごく普通の会社員や、専業主婦など私たちの身近にいる人たちである。(中略)もはや世の男性たちからはとても期待できないであろう、数多の欲望に応えてくれる女性用風俗という新潮流に心を躍らせ、色褪せた現実からの脱出を企てようとしているのだ」

「冒険」をした53歳の主婦

 ここでは、「四十路後半、子育て後に湧いてきた欲望――幸子さん(五三歳)」を見てみよう。

 「今思うと、これまで妻や母として生きるのに必死で、ずっと女の面を封印してきたんでしょうね。それが息子が離れた途端、突然自分の内部に溢れ出してきた。性欲がぶわっと湧いてきて(後略)」

 夫が大病を患ったこともあり、かれこれ20年以上セックスレスだった。欲望を持て余していたとき、ネットで「女風」を知った。若い子に裸を見られることに抵抗があり、年齢の高いセラピストを希望した。平日の昼間、清潔感のある40代のセラピストとともに、都心のラブホテルへ……。

 その日は不完全燃焼に終わったが、他の店で指名した元AV男優のセラピストに胸がときめいたことも。その後、別のセラピストとの疑似恋愛にハマった。「女風」に初めて行ったときは何も感じなかったのに、夫への罪悪感がそのとき初めて湧いたという。

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