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ジュディ・ガーランド生誕100年記念(Part 6)スタジオ録音のベスト「ジュディ・イン・ラヴ」~「ザ・ブロードウェイ・ストーリー」番外編

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オーディションを受けた頃、13歳のガーランド Photo Courtesy of Scott Brogan


 続くバラード〈捧ぐるは愛のみ〉はスタンダードの名歌。「あなたの誕生日には、ささやかな贈り物さえプレゼント出来ないけれど、愛だけならたっぷりあるわ」と、ペーソスを滲ませて優しく歌う。以降も、スウィング系ナンバーとバラードを歌いまくるガーランドに魅了されるが、やはり特筆すべきはリドルの秀逸なアレンジだ。彼女の明朗な声質とダイナミックな唱法を把握し、手の込んだ華やかな編曲で彼女のヴォーカルを完璧にサポートしている。そればかりか、歌い手と同じレベルで歌詞の重要性を理解していたリドルは、楽曲の持つストーリー性と歌詞の意味がリスナーにきちんと届くように、アレンジのみが突出しないよう留意した。錚々たる歌手たちから、引く手あまたなのも当然だったのだ。

リドル指揮のオーケストラをバックに歌える、いわばカラオケLP(1959年リリース)


■TVスペシャルとの連動企画「ジュディ」

 他には、「愛に見捨てられたと思っていたら、今度こそ本物の恋が訪れた」と高揚感を露わにする〈ディス・イズ・イット〉や、「トランペットを高らかに吹いて。私は愛されているから」と宣言する、コール・ポーター作詞作曲の〈アイ・アム・ラヴド〉など、日本ではあまり知られていない曲も、ガーランドによる小細工なしの直球型快唱で、聴き応えのあるヴァージョンとなった。歯切れ良くスウィングするビッグ・バンドのサウンドも圧巻で、前者では間奏に軽やかなヴィブラフォンのソロを絡めるなど、緩急自在の編曲に唸らされる。

これもリドルとのセッションより Photo Courtesy of Scott Brogan


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 今回の生誕100年記念リリースには、もう一作リドルとの共作が含まれている。それが、1956年3月録音の「ジュディ」(日本初CD化)。「ジュディ・イン・ラヴ」と並び、ファン必携の一枚として評価が高い。こちらは、同年4月8日に全米で放映された、ガーランドのTVスペシャル「ジェネラル・エレクトリック・シアター」と並行して企画されたもの。番組は、アルバムからの楽曲を中心に構成された(音楽監督もリドルが担当)。現在この番組は、Youtubeで確認出来るが、ファッション写真で名高いカメラマン、リチャード・アヴェドンをヴィジュアル監修に招くなど演出に工夫が見られるものの、肝心のガーランドの歌に口パクが多く(喉を痛めていた)、生放送にも関わらずリアル感を欠く仕上がりに終わったのは惜しい。
 

■コンサートの定番となったナンバー

 「ジュディ」も、オープニングの〈カム・レイン・オア・カム・シャイン〉で一気に惹き込まれる。このアルバムの好評を受けライヴでも歌い、番外編VOL.2で取り上げたカーネギー・ホールのコンサート(1961年)では、満場総立ちのショウ・ストッパーとなったナンバーだ。ガーランドは、「誰にも負けないほどの深い愛情で、あなたを愛し続けよう。雨が降ろうと陽の光が照り付けようと」と、ありったけの情熱を込めてヒートアップ。彼女の歌を誘発し、競うように盛り上げるリドルのアレンジも実にスリリングだ。作詞作曲は、ジョニー・マーサー(詞)とハロルド・アーレン(曲)。アーレンは、「オズの魔法使」で彼女が歌い、終生のテーマ曲となった〈虹の彼方に〉の作曲家で、ガーランドが最も敬愛するソングライターだった。

「ジュディ・ガーランド/ジュディ」(UCCU-45039)¥1,980(税込)


 〈カム・レイン~〉以外にも、〈アイ・フィール・ア・ソング・カミング・オン〉と〈ラッキー・デイ〉が、このアルバムをきっかけにライヴ・ショウの十八番曲となる。余程編曲との相性が良かったのだろう。加えてバラード系も充実しており、〈ジャスト・イマジン〉や〈エイプリル・シャワーズ〉、クラリネット奏者ベニー・グッドマンの名演で知られる〈メモリーズ・オブ・ユー〉など、しっとりと情感を滲ませた歌唱も聴き逃せない。余談だがジャケットの写真は、冒頭でも触れた「スタア誕生」のハイライトとなった、約15分に及ぶ大メドレー〈トランクがゆりかご〉の中で、〈マイ・メランコリー・ベイビー〉を歌うガーランドだ。

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