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アイドルのあらぬ姿を盗撮しようとしたら、本人にバレた。「画面見せて」と言われた女は…

東京カレンダー

アイドルのあらぬ姿を盗撮しようとしたら、本人にバレた。「画面見せて」と言われた女は…

―…私はあんたより上よ。

東京の女たちは、マウントしつづける。

どんなに「人と比べない」「自分らしく」が大切だと言われても。

たがが外れた女たちの、マウンティング地獄。

とくとご覧あれ。

◆これまでのあらすじ◆
大嫌いなアイドル・凜香をパパラッチし、凜香のテレビ露出を減らすことに成功した真帆。喜々として食事会に出向くが、そこには笑顔の凛香が…。

▶前回:気合を入れた参戦した食事会、個室の扉を開けると…。そこにいた招かれざる客とは



真帆:「ムカつく…」


「凜香ちゃん、テレビで見るより現物のほうが100倍可愛いよね」
「顔小さすぎじゃない?」
「凜香ちゃん、芸能人だと誰が仲良いの?」

目の前にいる男たちは、誰も私に興味を示さない。

― 1人くらい、私に食いついてくれてもいいじゃない…。私だって可愛いし、モテるんだから…。

そんな私の心の叫びもむなしく、目の前では裏腹な現実が繰り広げられる。

所詮、私はただのOL。トップアイドルとして活躍する凜香には到底かなわない。その事実は私に冷たく振りかかる。

― 凜香のやつ、調子乗りやがって…。昔はヤンキーだったくせに…。

つい口からついて出てきそうな言葉たちを、必死に飲み込む。

凜香と、凜香に群がる男たちを苦々しい思いで眺めながら、ふとある考えがよぎった。

― …また、撮ればいいんじゃん。

『懲りずに繰り返す、男漁り』

見出しはこんな感じだろうか。また凜香のゴシップが世に出ることを想像すると、じわりじわりと楽しさが込み上げる。

けれど、私はどうにか表情に出さないように取り繕った。絶対にバレてしまってはいけない。

私はつまらなそうな顔をキープしたままスマホを開き、自然な雰囲気を装ってカメラを凜香に向けたのだが──。

次の瞬間。

凜香は思いもよらない行動に出た。


堂々とその場で再度パパラッチしようとした真帆に、凜香は…

「ねぇ、真帆!もしかして、私のこと隠し撮りしようとした~?」
「えっ…」
「こわ~い」

聞いたこともない甲高い声で、凜香は私を挑発する。

今まで男たちと話に夢中になっていたというのに、一瞬の私の行動を見逃さなかったのだろうか。

「違うよ…」
「じゃあ、今すぐそのまま画面見せてよ?カメラアプリ開いてないか、見せてよ~」

― ヤバい。

凜香はいじけるように、可愛らしく言っているけれど、目が笑っていない。私を射抜くような目で見つめる。

― やばい。本当に、どうしよう。

その場の全員が私の次のアクションを待っている。凍った空気の中、一瞬で考えを巡らせて言った。

「ごめんごめん、スマホなんていじったりして。みんなで飲もう!」

私はホーム画面に戻しながら、スマホをテーブルに伏せて置いた。どうしても画面を見せることはできなかったし、拒否するのも怪しい。

どうにかその場をやり過ごす苦肉の策だったが、凜香からの鋭い視線は、ひきつづき私を突き刺し続ける。

「そうだね、皆でのもう!!」

男たちがその場をとりなしてくれたのだが、凜香はまだ引かない。

「ねぇ。真帆のスマホ、没収して?」

私の1番近くに座っていた男に、そう指示したのだ。また、空気が少し凍る。

「…え?」
「だから~、真帆のスマホ。没収して?」

可愛らしく、ねだるように男を見つめる。

「だって、私最近パパラッチされたばっかだから、また撮られたらマジでヤバいの。…だから、どうしても不安になっちゃって…」

少ししょげた表情を見せた凜香に、男たちはすぐさま納得の表情を見せる。

「そっかそっか。俺らとはわけが違うもんね、凜香ちゃん」

男はそう言って、私が伏せたスマホをテーブルの真ん中に持ってきた。

「ごめんね。ま、一応さ」

とにかく凜香に気に入られることしか眼中にないその男の行動が、私の神経を逆なでする。

― アイツ…。

「ありがとう~」

凜香は、男にこれでもかというほど色っぽい目線を投げかけ、男もそれにデレっとしていた。



つい数十分前までは、せいせいしたと思っていたのに…。これでしばらく凜香を視界に入れなくて済むと思っていたのに…。

私が、独身最後の生活にラストスパートをかけているというタイミングで、突然の私の目の前に現れ、私よりチヤホヤされるなんて…。私の行動を支配しようとするなんて…。

私はまた、どうしても凜香が許せなくなってしまった。

― 私があんたより下なワケないでしょ…。

昔の凜香と、自分が今置かれた状況を思い、じわじわと怒りが込み上げてきた。


凜香と真帆の因縁。高校時代の2人に、何があったのか…



私たちは、神奈川のはずれにある高校で出会った。

凜香は、確かに綺麗な顔立ちをしていたけれど、入学式のときにはすでに金髪で、軟骨ピアスまで開いてた。

地元の不良グループとも交流があって、れっきとしたヤンキーだったのだ。

一方の私は、ガリ勉タイプ。

第一志望の私立高校を落ち、しょうがなく地元の公立高校に行ったこともあり、勉強ができず遊んでばっかりの凜香みたいなタイプを心底見下していた。

というより、そんな人間と同じ高校に通っているという事実を受け入れたくなくて、「私はあんたとは違うのよ」と主張しつづけていただけかもしれない。

凜香も凜香で、私のような優等生タイプは気に食わなかったようだ。そのことはすぐに彼女の態度でわかった。

そして高校2年生のある時、事件が起こる。



それは、文化祭の準備期間中のことだった。

クラスで出店する店で何を売るか話し合っていたとき。たこ焼きを売りたいと主張する私と、お好み焼きがいいと主張する凜香で、大喧嘩に発展したのだ。

今思い返せば、本当にしょうもない争いだったと思うし、きっとお互い本当はどっちでも良かったんだと思う。

ただただ、気に食わない相手と喧嘩する材料が欲しかった私たちは、そんな些細なことをきっかけに取っ組み合いの喧嘩をしたのだ。

「うっせーーぶす」
「おめえ頭わりんだよおおおお」

普段は比較的おとなしくしていた私の暴言に、男子はドン引きしていたことをよく覚えている。けれどその時の私にとっては、同級生にモテることより、気に食わない相手を打ちのめすことの方が数百倍大事なことだった。

結局、私たちの喧嘩は学年主任が仲裁。

「どっちも同じ粉ものでしょ!!」

意味のわからない先生の一撃により、私たちの喧嘩は強制終了させられたのだ。

けれど、それはあくまで休戦だった。

それから、私たちは冷戦状態に。周囲の人間も「あの2人を交わらせたらヤバい」と、なにかと私たちを接触させないようにと気を使っていたことがよくわかった。

それ以来、お互いが大嫌いなまま、一言も交わすことなく高校を卒業した。



顔を突き合わせなければ、どんなに憎くても徐々に相手のことは忘れていく。

けれど、こうして対峙してしまうと。勝負をけしかけられてしまうと。どうしても当時の熱いものが再燃してしまったのだ。

もう、ここまで来たら休戦している場合じゃない。いっそのこと、決着をつけてしまいたい。

私はその日の帰り道、食事会のLINEグループから凜香を友だちに追加。

凜香個人に、LINEを送った。

<真帆:来週木曜。食事会、どう?>

別に、取り繕う必要もないだろう。こちらが何を考えているか、向こうもわかっているはずだ。

これは、宣戦布告。

<凜香:了解。場所と時間決まったら教えて>
<凜香:あ、撮るのマジでNGだから>

もしかしたら、この前の週刊誌へリークしたのが私だとバレているのだろうか。であれば、凜香のあの態度も納得だ。

でも、それなら話は早い。

決戦だ。


▶前回:気合を入れた参戦した食事会、個室の扉を開けると…。そこにいた招かれざる客とは

▶1話目はこちら:清純派のフリをして、オトコ探しに没頭するトップアイドル。目撃した女は、つい…

▶Next:5月29日 日曜更新予定
次回:今度は真帆が凜香を食事会に誘う。さて、真帆は何を企む?


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