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「元妻が結婚する」と聞いて焦る34歳男。手っ取り早く再婚相手を見つけようとして取った、最低な行動

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「元妻が結婚する」と聞いて焦る34歳男。手っ取り早く再婚相手を見つけようとして取った、最低な行動

ハイスペ男に“選ばれる女”は、一体何が違うのか?

「俺は結婚に向いていないし、結婚しなくても十分幸せだ…」

と、思っていたバツイチ男が“ある女”と再婚した。

彼の結婚の決め手は何だったのか――。

6人の女性の中から、彼に選ばれたのは誰?

◆これまでのあらすじ

2016年にバツイチとなった桜井和真は、2021年までの間に6人の女性とデートを重ねていた。

しかし元妻・桜井佑子の婚約者と腹を割って話すことで、和真は「再婚したい」という思いが芽生えていく。そして過去の女性たちと、もう一度会ってみることにしたのだった。

▶前回:Case6(回答編):2021年の桜井和真(34歳)



2021年の玉城玲奈(34歳)


「もう二度と結婚する気、ないんじゃなかったの?」

虎ノ門の『鳥与志』で玲奈は意地悪そうに言った。

5年前に出会った彼女とは海外旅行をともにする仲だったが、恋人関係になることはなく、今は何でも話せる異性の友達だ。

「あれだけ、俺は結婚に向いてないって言ってたのに」

和真は元妻・佑子の婚約者と会って、語り合った経緯を聞かせる。

「想定外だよ。まさか俺が再婚したいなんて思うとは…」

「そうそう。人生は、何事も想定外」

玲奈は悟りを開いたかのように言い、大きくなったお腹をさする。彼女は今春“おめでた”が発覚し、入籍していた。あと2ヶ月ほどで予定日を迎えるという。

「まさか和真がウチの部下とこっそりデートしてたなんて、かなり想定外だったし!」

それは昨年ステイホーム中に出会い、リモートデートを続けてリアルに対面しないまま破局した沙耶のこと。この話には和真も驚いた。

たしかに2人とも不動産会社に勤務していたが、なんと上司と部下の関係だったのだ。

「で、再婚相手を“過去の女”のなかから探すつもりで、全員に声をかけたわけ?」

「そういうわけじゃないけど、そう思われても仕方ないよね…」

正直、なぜそれぞれの女性たちともう一度会おうと思ったのか、和真は自分でもわからない。

「でもその作戦は悪くないかも。男も女も気づいてないだけで、結婚相手なんて想定外な人物だったりするからね。現に私がそうだった」

玲奈は大きくなったお腹をさすりながら、穏やかに微笑んだ。


和真が選ぶ、想定外の再婚相手は…?

2021年の行野澪(27歳)


「申し訳ないけど、和真さんの再婚相手は私じゃありません」

『リナストアズ表参道』で澪はきっぱりと言い切った。その強い口調には、付き合っていたころの面影はない。元恋人の変化に、和真は戸惑った。

「久しぶりに連絡が来て、和真さんと会おうと思ったのは…。私、今は幸せなんだって伝えたかったからです」

澪は和真と別れたあとに6人の男性と真剣交際し、そのたびに幸福感は強くなっていったらしい。そして今は大学生と付き合っているのだという。

「年下ですけど、会話とか趣味がすごく合うんですよ。結婚もしたいと思ってて。…ていうか、結婚の約束してます」

「そうなんだ。いつ籍を入れるの?」

「それは…」

澪は口ごもる。ここまで強い口調で主張してきた彼女の態度が、一変した。

「そのうち、です」

大学生の彼はまだ、結婚に対して現実味がないのかもしれない。

「そっか。じゃあ何かキッカケがあれば、すぐに結婚するかもね」

「…どんなことが、キッカケになるんですかね」

澪は弱気な表情で、本当の答えを求めるかのように聞いてくる。それにスラリと答えた和真は、即答できた自分に驚いた。

「想定外のことが起きたらじゃないかな?」

和真の心には、1週間前の玲奈の言葉が深く刻まれているようだった。



2021年の椎名由起子(32歳)


「椎名さんとは本当に、想定外のことが多くて」

恵比寿の『こんぶや』で和真は笑いながら由起子に語る。

「突然告白したことですよね。ごめんなさい…」

彼女は、顔を真っ赤にして謝ってくる。由起子とは2018年に仕事で出会い、会話の波長が合うのでプライベートでも飲んでいたが、毎回複数人がいる会だった。

それなのにある夜、いきなり「結婚を前提に付き合ってほしい」と言ってきたのだ。

2019年になって初めて2人きりで会うようになり、10回ほどデートを重ねたものの関係は進展せず…。結局、彼女のほうから「もう2人で会うのはやめたい」と告げられていた。

「いえいえ、一番の想定外はそれではなくて」

それは由起子も含めた4人のメンバーで、深酒をしたときのこと。翌朝、早い時間から仕事があった彼女のために「電話で起こします」と約束したのだ。

とはいえ、酔っ払った状態。帰宅後に寝落ちして、和真はすっかり昼まで寝過ごしてしまう。

「守れない約束をすること」は元妻が最も嫌ったことだった。世の中のほとんどの人間もそうだろう。だから和真は青ざめた。

その後、すでに出社していた由起子に慌てて電話して謝罪すると、なんと彼女からも謝られたのだ。

「あのとき由起子さんは『友達と楽しそうに飲んでいたのに、最後のほうの私は眠くて不機嫌そうにしてしまいました』って言ってきたんです。想定外というか、衝撃でした」

「でも、その直後に私から逆プロポーズするんですよね。せっかくいい意味でビックリさせられた直後だったのに…。もったいないですね」

「そんなことないですよ!」

和真はすぐに否定する。

「僕の方こそ、それから1年も口説かずにデートを重ねたんですから。本当にもったいないことをしました…。男として情けないです」

ポロリと和真の本音がこぼれる。すると、それまで笑みを絶やさなかった由起子の表情が変わり、真剣な眼差しで告げてきた。

「桜井さんにずっと言いたかったことがあるんです」

「なんですか?」

「『男として』とか『男たるもの』みたいなこと、桜井さんはよく言うんですけど、そういうのやめたほうがいいです。口説いたり告白するのは、男だけの役目じゃないですから」

たしかに由起子は、和真にプロポーズしてきた。

「10回デートしても私たちが進展しなかったのは、私も和真さんを口説きたいって思わなかったからですよ」

彼女の言葉が、心にグサリと刺さる。

「それでも私の不躾なプロポーズに対して、和真さんは真剣に向き合ってくれて、嬉しかったです」


過去の女たちに、否定され続けた和真は…

2021年の黒木彩(32歳)


「相変わらず女性へのリスペクトがないんですね。過去の女から再婚相手を探そうなんて、虫がよすぎる」

目黒にある『トラットリア・デッラ・ランテルナ・マジカ』に呼び出され、席に着いた途端。外資系CAの彩に、呆れたように笑われた。

「失礼なことは重々承知しています。僕は、どの女性とも中途半端に終わっていて。だからケジメをつけたいというか…」

「そんなの、ただの言い訳でしょ?」

笑みを浮かべながらも射るように見てくる彼女に、どうにも抗えない。

「…はい。ただの言い訳ですよね。最低な男です、俺」

「ようやくわかってきたじゃない」

彩は冷たく笑った。

「でも、やっと素直に認めてくれたし。私からすれば一度は惚れた相手だから、教えてあげる。『どの女性とも中途半端に終わった』って言ってたけど、1人だけ始まってもない人がいたでしょ?」

沙耶のことだ。和真は瞬時に理解する。

「リモートでデートして付き合って、リアルに対面しないまま別れるなんて、想定外すぎるでしょう。彼女とは、しっかり向き合ったほうがいいんじゃない?」



2021年の石川沙耶(27歳)


「やっと会えましたね」

沙耶とはキンプトン新宿の『ディスクトリ・ブラッスリー・バー・ラウンジ』でランチをした。日中ならば、息子の虎徹を保育園に預けることができるというからだ。

「でもどうして急に、私と会おうと思ったんですか?」

和真は嘘をつくつもりもなく、すべて正直に伝えると決めた。この5年間で、デートしてきた女性たちの話を。

元妻と再会し彼女の婚約者と話したことで、自分も再婚したいと思ったこと。そのため中途半端に終わっていた女性たちと、もう一度会ってみたいと思い立ったこと。

沙耶は驚くことも呆れることもなく、淡々と聞いていた。

「それは、ただのジェラシーじゃないですか?」

「えっ…」

「前の奥さんが再婚するから悔しくて、自分も再婚したくなっただけ」

和真は返す言葉がなかった。

「私もバツイチですが、元夫が再婚するって聞いたときは本当に悔しくて。再婚したいって思いました」

「…そうですね。沙耶さんのおっしゃる通りかもしれません」

「和真さんって仕事もできるし、一見するとハイスペ男子です。どんな女性でも和真さんに惹かれると思います。だからって無意識のうちに、相手を選べる立場だと誤解してませんか?

相手がいて初めて結婚したいと思うもので、そうでもないのに結婚したいと思っている和真さんは、なんだかおかしいですよ」



女性たちと再会したあとで


― 全員に、けちょんけちょんに言われたな。でも、そりゃそうだよな。

和真は自分がいかに最低な男だったか、あらためて気づく。

「俺は結婚には向いてない。そして再婚相手を選べる立場じゃない、か…」

この5年。結婚に対する考えは、ずっと堂々巡りだった。

でもニューノーマルな生活も1年を超え、時代は変革している。和真もまた、自らの考えを変化させる必要があると感じた。

これまでの交際も最初の結婚も、いつだって受け身だった自分。そして受け身を装い、相手を選ぶ立場を保っていた自身には、もうウンザリだ。

― あの人にもう一度、会いたいかも。

そして想定外だったが、辛辣なことを言われてもなお、また話したいと思える女性がいた。それが今回、再会して確認できたこと。

和真は、彼女にLINEを送った。

『先日はありがとうございました。自分にもう一度だけチャンスをいただけませんか?デートしてください』


▶前回:会ったこともない男から、職場に突然電話が掛かってきて…?そこで告げられたゾッとする要求とは

▶1話目はこちら:結婚願望のないハイスペ男が“結婚”を決意。絶対手に入れたかった女とは

▶Next:5月29日 日曜更新予定
和真がもう一度デートしたいと願った女性は、誰?


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