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ローカル線は「残すことが目的化」? 存続ありきに懐疑的な意見も…国交省有識者会議が示す「方向性」

J-CASTニュース

人口減少やコロナ禍で、多くのローカル線が存続の危機に立たされる中、国土交通省の有識者会議で地方交通のあり方に関する議論が進んでいる。

2022年5月13日に行われた第4回会合では、出席者から「(このような議論を行う際は)鉄道を残すことが目的になってしまっている」として「地域の方々が快適なモビリティサービスをどう受けられるか、移動するときにどう利便性を保てるか」が重要とする声が出る一方で、多くのローカル線を抱える広島県の湯崎英彦知事は、都市や集落の規模によって鉄道の位置づけが異なるとして「それぞれの特性に応じた議論をする必要がある」と主張。多くの自治体の意見を聞くように求めた。7月には、これまでの議論をとりまとめた上で「提言」が発表される見通しだ。

輸送密度だけで鉄道廃止を決める方向性には否定的

鉄道路線のあり方を判断する基準のひとつが「輸送密度」だ。1日に1キロあたり何人を運んだか示す指標で、1987年の国鉄民営化の際には「4000人未満」がバス転換の目安とされた。JR旅客6社では、1987年の発足時は「4000人未満」の路線の割合は36%だったが、19年度には41%に上昇。コロナ禍に突入した20年度は57%に跳ね上がった。これまで、JR各社は利用が多い路線で得た利益を少ない路線に回して維持を図ってきたが、コロナ禍で鉄道全体の利用者が減り、それも難しくなりつつある。

有識者会議は「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」。これまでの議論では

「一定の輸送密度以下は一律に鉄道特性がない(編注:大量輸送という鉄道の特徴が生かせないので他の手段に転換すべき)、という見方は適当ではなく、個々の地域の輸送実態を踏まえ、丁寧に見ていく必要があるのではないか」

といった意見が出ており、輸送密度のみを基準にして鉄道を廃止する方向性には否定的だ。

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5月13日に行われた第4回会合で配布された資料では「出口論」として、大きく4つの方向性が示された。1つ目が「地方公共団体による支援の一層の推進」。具体的方策として「欠損補助(編注:赤字部分を自治体が補助金で埋め合わせること)、上下分離(同:列車の運行主体(上)と線路などのインフラ管理の主体(下)を切り離すこと。鉄道事業者がインフラ管理の負担から解放される利点がある)、土地等の譲渡」などが例示されている。次が「ローカル鉄道の利便性・持続性の向上に向けた鉄道運送の高度化とその支援の必要性」。乗り継ぎの改善や新駅開業が奏功した、あいの風とやま鉄道の例などを念頭に置いている。3番目の「ローカル鉄道の利便性・持続性の向上に向けた運賃制度の見直しの必要性」は、値上げや他モード(バスやBRT=バス高速輸送システムなど)との共通運賃、観光列車の設定などによる「柔軟な運賃設定」を指している。4番目の「BRT導入の課題、制度的・財政的枠組みの設置の必要性」では、利便性や持続性を高める方策、デジタル技術の活用が検討課題だとされた。「その他の取り組み」では、上下分離や観光鉄道化、貨物専用鉄道化の可能性が言及された。

座長を務める竹内健蔵・東京女子大教授(交通経済学)は、

「こういう時は、どうしても目的と手段の取り違えがよく出てくる。鉄道を残すことが目的になってしまっている」

と指摘し、

「地域の方々が快適なモビリティサービスをどう受けられるか、移動するときにどう利便性を保てるかが(有識者会議での議論の)目的。あるいは住みよい町、町作り、都市をどうする、そうするために鉄道に何ができるか、ということだと思う」

などと話し、これまでの議論では「『鉄道を残さなければならない』という金科玉条」がある、とも述べた。

湯崎知事、都市の規模別に「それぞれの特性に応じた議論をする必要」

3月の第2回会合に続いて出席した湯崎氏は、大都市部と中規模都市、中山間地域では、それぞれが抱える事情が異なることを指摘した。大都市であれば「鉄道などを利用しながらどういう町にするのか」といった議論が可能な一方で、中山間地域では「むしろ、移動手段の確保というところにかなり近くなってくる」。そのため「輸送のあり方ということに関して、それぞれの特性に応じた議論をする必要がある」と話した。さらに、

「(前提条件を共有するための)入口論の整理がこれまで十分になされていなかったところが大きい課題ではないかと思うので、そういうところをきちんと整理した上で議論することが求められるのではないか」

と指摘した。

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