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大切な情報は「意識せずとも聞こえる」…驚きの聴覚の仕組み

幻冬舎ゴールドライフオンライン

本記事は西園孝氏の書籍『「意識」と「認識」の過程』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部抜粋・再編集したものです。

【前回の記事を読む】複数の音の中から「自分の名前」を優先して聞き取れる訳とは

ミスマッチ陰性電位とカクテルパーティー会場

ここで、カクテルパーティー会場で誰かと会話している状況を考えてみますと、聞こえてくる種々雑多な音声を、ある意味で定常的な状態と考えると、その中で急に耳に入る「自分の名前」は、定常状態とは異なった状況として、またある意味で何らかの変化として感知することとなると思われます。

この「自分の名前」を言われたはじめの時点では、それに全く注意が向いていない状態と考えられますので、最初の一文字目からリアルタイムに聞こえることは理論的には考えにくいので、「自分の名前」がすべて発音され、それが鼓膜から聴覚皮質に到達し(はじめから注意を向けていれば、ここではっきり聞こえるわけですが、注意を向けていない場合はここではまだはっきりとは聞こえないはずで)、前帯状皮質からMMNが生じ、これは前注意的(自動的)な処理過程(注意の転換)で、この直後に(またはほとんど同時に?)注意的な処理過程に進む(おそらくは前頭前野背外側部などが関係してくるのではないかと思われます)といわれているわけですが(二段階仮説※1)(これによって受動的注意が能動的注意に移行するといわれています※1)、この際の上位機構が聴覚情報処理を調整しているとのことです※1(このことは感覚情報保存に伴って聞こえるということではないかと考えています)。

まとめますと、非注意状態での聴覚情報→MMN(自動的な注意の転換)→上位機構による(感覚情報保存に伴う)聞こえと注意処理過程(意識をもった能動的注意)への移行、ということになると思います。また、感覚情報保存がされているのは聴覚野ではないかとは考えますが、まだはっきりわかっていないと思います。

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この場合のカクテルパーティーでの状況に関しては次のことがいわれています。「多様な音が混じり合って聞こえてくる騒々しいパーティー会場の中で自分の名前を呼ぶ者がいると、その声は他の音よりも明瞭に聞こえてきます。聞こえてくる情報が周囲の声や雑音よりやや小さくても記憶や受動的注意の働きによって自分に重要な情報に対して能動的注意を向けることが可能になります※1」。

私はこの中で、他の音よりも明瞭に聞こえてくるということに関しては、感覚情報保存でいったん保持された音声が、タイムラグのあとで聞こえてくる際に明瞭に聞こえるということと考えています(タイムラグといっても、MMNの直後ということですと、ほんの100―200ミリ秒後程度と思われます)。

また自分の名前だけではなく、近くの人の話し声の内容に関しても、気になる話題(フレーズやワードなど)が聞こえてくることがあるように思います。

このときも、誰かと会話している最中であれば、はじめの一語から注意を向けて聞いているわけではないので、リアルタイムに聞こえるというわけではなく、ある程度意味をもつ内容として発話されてから、それに急に注意が向いて聞こえるということになるのではないかと思いますが、その場合も同様の機序で、注意転換後のタイムラグのあとに聞こえてくるということではないかと思われ、感覚情報保存が関与していると考えています(この場合もその気になったフレーズが何となく他の音声よりもはっきりと聞こえるような印象をもっています)。

MMNは、進化の過程において、敵が近づいてくる音(通常とは異なる音)に対してすばやく注意を向けるという機能に関係していると考えられているようです。

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