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【小説】2万年先へタイムカプセルを…「中身」に何を入れる?

幻冬舎ゴールドライフオンライン

「百聞は一見に如かず」というが、宇宙観測の進歩で人類は宇宙の果てまで覗き見し、すべてを知ったかのような現代文明を作り上げたが、それはまだほんの入り口でしかなかった。

この計画の中で人類が確実にわかっていることはわずか数パーセントでしかない。心配しだしたら切りがない。未知への冒険とはこのようなことである。

ウラシマが、太陽系外の未知の宇宙に旅立つ日が現実となってきた。

6人の主人は、開発の拠点となった竹取村の研究所に最後の集合をした。

ウラシマが発進した後は、この研究所も閉鎖になる予定である。

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6人の主人は、研究所の閉鎖に合わせてウラシマの操舵室に飾るのと同じ6人の肖像画の顕彰碑を、研究所の正面広場に建てた。

台座は花崗岩を使い、そこに銅板で作られた6人の胸像と、背景にオリオン座のモチーフが描かれている。

顕彰碑の下には、タイムカプセルを埋設することにした。このタイムカプセルが開封されるのは2万年先と表示した。

カプセルは厚さ3センチもあるステンレス製で、大きさは1メートルほどの球体である。そしてその周りを50センチほどの厚さのコンクリートで固め、その上に顕彰碑が乗っている。

織田が、このタイムカプセルの中に入れるものは何にしようと切り出した。

真面目な本多が「それは今の最新科学、医学、芸術などの文献にするのが道理でしょう」

星野が、これまた大真面目に「現在の状況がよくわかるように、学校の教科書や、現在の雑誌週刊誌、新聞、CDなどを入れておくのが、後世の人のためになると思うんですが」と言うが早いか、織田が、

「そんなの面白くないなぁ、このカプセルを開ける未来の人が、過去の人間はなかなかユーモアにたけた人たちだったんだなぁと思わせるものがいいと思うんだが」と言うと、中本が「そうだ、2万年も先のことだから、恥もへちまもない。何て馬鹿なものが入っているんだとがっかりするようなものの方が面白いよ」

織田が笑みを浮かべながら「よし決めた。皆が今一番趣味にしているものを持ってきてくれ。それを入れよう。未来の人たちが、ワクワクしながらこのカプセルを開けるときの顔を見たいもんだ」

堀内が「海賊のお宝みたいに金の延べ棒か、宝石みたいなものが入っていると期待しながら開封するに違いない。きっと期待外れでがっかりするのを通り越して大笑いになるな」と、想像を巡らし高笑いをする。

織田が「ピラミッドのように墓荒らしに遭うといけないから、何を入れるか2週間ほど展示して、くだらないものを入れることを告知してから、埋めることにしよう」と、決めた。

そして、その顕彰碑の横には記念植樹として、長く旅の無事を祈るかのように縄文杉の小さな苗が植えられた。

植樹を終えて6人の主人は、太平洋に向かって並び立った。

その眼下には真っ青な空の下に広がる段々畑。その畑には小さなクリーム色のミカンの花が満開に咲き、海まで続いている。その先にはキラキラとまばゆいほどに輝く大海が、遥か水平線のかなたまで続いていた。

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