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毒親に育てられた女性「初めての彼氏」にドン引きされた理由

幻冬舎ゴールドライフオンライン

※本記事は、埼玉工業大学心理学科教授・袰岩秀章氏の書籍『毒親の彼方に』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

【前回の記事を読む】家に居場所がないから元彼の家に…母との関係に苦しむ大学生

転機と新たな苦難

アルバイトと勉強の日々だった。学業は優秀で、3年次にゼミに入るときも競争率が高いゼミに入ることができた。大学は楽しかったが、経済的にきついことやアルバイトが大変だということを打ち明けられる友だちはなく、人付き合いは広がらない。大学では図書館や生協が彼女の居場所であり、バイトが終わるとファストフードで勉強をしたり時間をつぶしたりするのが常であった。

この間の生活で特筆すべきことは、ゼミの友人たちとの合コンでボーイフレンドができたことだろう。高校の寮にいるときから、誘われればグループ交際に顔を出すことはあったが、そもそも出かける金がないので、ほぼ寮で過ごしていた。合コンで異性と話し込むのも初めてなら、一対一も初めてである。

高校のときと違い話が上手な異性を相手にして、付き合った当初は夢中になり、家にいづらいことなど忘れていた。彼も彼女が自分に首ったけなのをまんざらでなく想っていたようだが、少し家の様子などを話したり、会いたがるそぶりが次第に増えていくと、なんだか彼が引いてしまったようで、自分のことは誰にも話せないという索漠とした気持ちになり、心理的には距離ができてしまった。彼女は面接では元彼、という言い方をしていた。

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初めて付き合った相手が、彼女の打ち明け話に引いてしまったのは不運であった。しかし、

「悪い人じゃないんです、一緒にいると話は面白いし、行きたい映画はないかとか聞いてくれるし」

と、彼女が言うように、この元彼は、女の子と付き合いたい若い普通の男の子であろう。その彼に、人生の深い苦悩に対して適切で思いやり深い関与を求める方が、酷というもの、ではあるまいか。

家にはなるべく寄らず、寝に帰るだけにしていたが、やはり心身ともに疲れ果てて、この夏に母が米国に行って不在時の折には、不眠を理由に心療内科を受診した。怖い夢を見るなどの話をすると向精神薬を処方された。服用してみると、一気に意識がなくなるものの目覚めるときには不快感が強く、起きたあともすっきりしないため、飲むのはやめてしまった。

一人でいるのがつらいので元彼のところに身を寄せる機会が増えたが、気持ちを聞いてもらうことはできず、なんとなくセックスフレンドのようになってしまった。

友人とは仲が良いが、家庭のことを話すと引かれてしまうと思い詳しいことは何も言えず、一応課題である共同プロジェクトの話や恋バナなどはするものの、特にそれ以上親密になる友人はおらず、自分をわかってくれる人など誰もいないというあの索漠とした気持ちが強くなった折に、薬を処方量より大目に服薬して昏睡してしまった。気づいたらベッドの上で、枕元に妹のメモがあった。

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