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ハムスターの遺伝子を編集したら超凶暴なモンスターが誕生してしまった件

カラパイア


 ジョージア州立大学の研究者が遺伝子編集技術で、可愛らしいハムスターの社会行動を制御するシグナル伝達経路を遮断する実験を行った。

 その結果、同性に対してやたら攻撃的で狂暴なモンスターが誕生してしまったのだ。

 生物の社会的行動を司るメカニズムは、これまで考えられてきたよりずっと複雑である可能性を示唆しているという。

遺伝子編集技術で社会性に関連する回路を遮断

 ジョージア州立大学の研究グループは、遺伝子編集技術「CRISPR-Cas9」で、哺乳類の社会行動の制御に重要とされるシグナル伝達経路のスイッチを切ってみた。

 CRISPR-Cas9はDNAの二本鎖切断を原理とする遺伝子改変ツールだ。このツールが開発されたことで、遺伝子研究はこれまで以上に加速している。

 研究グループは、ペプチドホルモンの一種「バソプレッシン」とそれが結合する「Avpr1a受容体」のシグナル伝達経路を遮断した。

 このシグナル伝達経路は、つがいの形成、協力行動、社会的なコミュニケーション、さらには支配や攻撃性にいたるまで、幅広い社会行動をコントロールしている。

photo by iStock

同性に対してやたら攻撃的なモンスターに変貌してしまう

 だからこのスイッチを切ってしまえば、ハムスターの社会行動は消えてしまうだろうと予測されていた。ところが逆のことが起きた。ずっと社交的になってしまったのだ。

 だが、より興味深かったのは、オスもメスも同性に対してやたらと攻撃的なモンスターに変貌してしまったことだ。

photo by Pixabay

シグナル伝達経路は想像以上に複雑なメカニズム

 研究グループは直感に反する今回の結果について、「このシグナル伝達経路について、思っていたほど理解していなかった」と語っている。

 確かにバソプレッシンは社会行動を促進する。だがこのシグナル伝達経路の全体的な作用は、実は抑制するよう働いているかもしれないのだ。

 また神経伝達物質受容体とそれが関与する行動のスイッチを個別に切り替えることはできないかもしれず、それをやるのは危険である可能性すらある。

 なお今回実験に使われた「ゴールデンハムスター」は、社会活動や攻撃性、あるいはストレス反応などがより人間に近いことで知られている。

 つまり今回の実験結果は、他の実験動物を使ったものよりも、より人間に当てはめて考えやすということだ。

 とはいえ、「遺伝子編集ハムスターの作成は簡単ではなかった」と、研究グループは控えめな表現で語っている。もし同じようなことを人間で試したいと思っているのなら、少し考えてもらいたいものだ。

 この研究は『PNAS』(2022年5月5日付)に掲載された。

References:CRISPR-Cas9 editing of the arginine–vasopressin V1a receptor produces paradoxical changes in social behavior in Syrian hamsters | PNAS / Scientists Gene Hack Hamsters Into Hyper-Aggressive Monsters / written by hiroching / edited by / parumo

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