彼らをやり過ごし、私は再びソファーに腰をかけた。30分ほどして見舞いを終え、ロビーに姿を見せた3人を直撃する。立ち話ではあったが、入院中の沢田の様子を聞くことができた。
京都に入ってから3日目。これから東京に戻って、原稿締め切りだ。玄関先でタクシーに乗り、煙草に火をつける。するとラジオから流れてきたのが、沢田が歌う新曲「灰とダイヤモンド」だった。このなんとも出来すぎたシチュエーションに、思わず苦笑いしたことは言うまでもない。
山川敦司(やまかわ・あつし):1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。